昨年の中心選手がそのまま残った東亜学園
昨年は春高バレー準優勝だった東亜学園。
準優勝という結果はもちろん誇っても良いものなのだが、決勝の相手が最大のライバル校である駿台学園となると、そうはいっていられないだろう。同じ東京地区のライバル校で、手の内はお互いに知り尽くした相手。
だがこの大舞台では、セットカウント1-3と力の差を見せつけられての敗退となってしまった。しかも駿台学園はこの春高を制覇したことにより、インターハイ・国体・春高の3冠を達成。目の前で快挙を見せられてしまっている。
しかし、今年は駿台学園を打ち破るにはこれ以上ないチャンスだ。村山豪をはじめとして、昨年の駿台学園の中心選手はほとんどが3年生。今年はメンバーががらりと変わっている。
一方で東亜学園は昨年から2年生が中心だったチーム。実際にインターハイ予選では、東京の第1代表の座を勝ち取り、本戦でも優勝候補と予想されていたほどだ。そしてもちろん、春高でも彼らは優勝候補に違いない。
基礎を徹底的に叩き込むのが東亜学園バレーの伝統
東亜学園のバレー部といえば、徹底的な基礎練習に重きを置いていることで有名だ。佐藤俊博監督の元、パス1つにしても、指の使い方や、膝・肘の角度まで徹底的に練習する。パス、レシーブ、ブロック、スパイク、コンビネーション。これらの基礎練習だけで夜になってしまうこともあるほどだ。
この方針は、2014年に亡くなった小磯監督の時代から同じだ。相手のサーブをきちっとレシーブし、セッターがトスを上げ、スパイカーが決める。だが強いチームが相手になると、この一連のプレーのどこかが崩されてしまうことが多い。そして、そこに付け込まれてしまい、連続得点を許してしまうのだ。
しかし、東亜学園の選手たちは、もともとの能力が高い選手に、徹底的に基礎を叩きこんだため、どんな相手でもこのバレーを貫くことができる。それこそが東亜学園の強さなのである。
昨年の主力がそのままそのまま3年生に
今年の東亜学園には、非常に能力の高い選手たちがそろっている。昨年の春高でも先発出場していた小田島卓也や内藤雄太、竹沢淳之介、神戸周馬などは、そのままメンバーとして残っている。
背番号1を着けたキャプテンの小田島に、国体でも良い働きをしたサウスポーの内藤、187cmの長身からパワフルなスパイクを放つ竹沢、好守バランスの良い神戸。リベロを務める栗田楓の守備力も高い。
1学年下には、竹沢と同じく187cmの高身長を誇る武藤茂や、セッターの篠原勇介など、やはり春高を経験しているメンバーがいる。選手たちの能力の高さでは、全国屈指といえるだろう。
ミスによる失点が目立ったインターハイ
有望な選手がそろっている東亜学園だが、今年は周囲の期待とは裏腹に、やや苦しんでいる印象だ。第1代表の座をつかみ、自信を持って挑んだインターハイ。もちろん狙うは優勝であったのだが、残念ながら3回戦で東海大札幌に敗れ、姿を消すこととなってしまった。
この試合では、東亜学園のミスによる失点が非常に目立っていたように思う。サーブやスパイクでコースを狙いすぎたのか、ギリギリのところでアウトになってしまうボールが多かった。
もちろん相手が強いというのもあった。相手のスパイクやブロックは上手く決まるシーンも多く、特に第2セットのセットポイントを決めたのは、東海大札幌のブロックであった。だが、相手にとって良い流れを作ってしまったのも、東亜学園のミスからだ。これは春高までの大きな課題となるだろう。
国体も制覇し、続く春高にも期待がかかる
10月に行われた国体では、東京選抜(東亜学園・駿台学園・早稲田実業・都立上野)として優勝を達成しており、やはり選手たちの能力の高さは証明されている。余談ではあるが、ライバル校である駿台学園の選手とは、普段は仲が良いようだ。駿台学園の中等部から東亜学園に進学した選手もいる。
だが春高のタイトルがかかるとなると、話は別である。前回春高での先輩たちの雪辱、そしてインターハイでの自分たちの雪辱、次回の春高では、その両方を果たさなければならないのだ。