グラチャンバレーとは
グラチャンバレーの正式名称は『バレーボール・ワールドグランドチャンピオンズカップ』といい、オリンピックの翌年、日本で開催されるバレーボールの世界大会だ。オリンピックと同じく4年に1度の開催となっており、2017年大会で7回目となる。
グラチャンバレーに出場できるチームは
・開催国 - 1カ国(毎回日本が開催国)
・4大陸 - 4カ国(各大陸ランキング最上位チーム)
・国際バレーボール連盟推薦チーム - 1カ国
の全6カ国で、全チームの総当たり戦で勝敗を決する。
オリンピック・世界選手権・ワールドカップに比べると出場国は少ないが、グラチャンバレーは世界四大大会の1つに数えられ、重要な大会となっている。
中田久美監督の意気込み
中田久美監督はかつて、天才セッターとして活躍しており、指導者としても優秀だ。2008年にイタリアのセリエAでコーチとして就任すると、帰国後は久光製薬スプリングスのコーチから監督に就任した。
天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会、Vプレミアリーグ、黒鷲旗全日本男女選抜大会、日韓Vリーグトップマッチ、2012年ぎふ国体を制覇し、5冠を達成する強さを見せつけた。
全日本代表監督に2016年10月に就任すると、FIVBバレーボール・ワールドグランプリ2017で前年チャンピオンのブラジルを破る快挙を成し遂げた。確かな指導力を日本中に知らしめた。
そんな中田監督が「日本らしさを出して次に繋がるいい大会にしたい。優勝したい」と意気込むグラチャンバレーは、世界選手権たワールドカップとは違い、選ばれた代表の国同士の総当たり戦だ。
負ければお終いではなく、常に緊張の糸を張り巡らせておかなければならない。感情のコントロールやプレッシャーも選手を育てる大切な要因であると語った。
先発メンバーにも変更が見られ、アジア選手権で活躍した古賀紗理那選手、石井里沙選手に変わり石井優希選手、堀川真理選手がスターティングメンバーに加わった。天才セッターと名高い宮下遥選手は、アジア選手権に続き怪我のため出場を見送られた。
世界の壁に届くか?白熱した試合の数々 1
9月5日グラチャンバレーが開幕した。中田監督が率いる、2017年全日本女子チーム「火の鳥NIPPON」の初戦相手は宿敵ともいうべき韓国。日本は多彩な攻撃、ブロックなどで韓国から点をもぎ取っていく。追いつかれそうな苦しい展開もあったが、結果は3-0(25-23、25-21、26-24)のストレート勝ちで初日を終えた。
9月6日は世界ランキング5位のロシア。ランキング6位の日本にとっては同格のライバルと呼べる負けられない相手だ。果敢に攻めるがロシアの壁は高く、幾度も拾われてしまう。拾っては繋ぎ、繋いでは打ちの日本と、要所で確実にスパイクを決めるロシアとの戦いでは、1-3(25-22、18-25、22-25、26-28)と日本は勝ち星を取り逃した。
9月8日。1-1で迎えた3日目は世界4位ブラジルだ。ブラジルの強烈なスパイクを受けながらも、日本は慎重に幾度も拾い、チャンスを逃さず攻撃を続ける。長いラリー展開で競り勝つ場面もあったが、要所でお互いにミスも目立つ試合はフルセットを迎える。
第5試合は日本の攻撃が冴え3-2(25-18、25-27、25-15、16-25、15-6)で強豪ブラジルを破った。
世界の壁に届くか?白熱した試合の数々 2
2勝1敗で迎えた9月9日、相手は世界2位のアメリカだ。この試合に勝つと日本のメダル獲得が確実になる重要な試合だった。気合十分で挑んだ日本のスパイクやブロックは冴えていた
。高さや速さで負けるアメリカに引けをとらない試合を見せ、点数をもぎ取ってゆくがアメリカのブロックやスパイクは相変わらず強烈だった。
一進一退を繰り返しながら、試合はフルセットを迎える。第5試合は日本のポイントで始まるが、アメリカの強打が次々と決まり点差が開いたまま、最後まで追いつくことが出来なかった。2-3(25-22、21-25、28-26、21-25、12-15)と悔しい惜敗になった。
最終日の9月10日に迎える相手は世界第1位を誇る中国だ。日本のメダルへの道は、この王者を倒せるかどうかにかかっていた。とにかく中国のスパイクは強烈、壁は高い。そんな王者相手に日本は最後まであきらめることなく食らいついた。結果は1-3(22-25、26-24、18-25、16-25)と勝つことが出来ず、王者中国は5戦全勝で優勝、日本は2勝3敗の5位でグラチャンバレーの幕は閉じた。
結果は5位だが、惜敗も多くメダル獲得は遠くないと感じる試合が多かった。中田監督と共に「火の鳥NIPPON」が目指すのはもちろん2020年の東京オリンピック。グラチャンバレーの試合はまだ40%だと語る中田監督の言葉に、日本のさらなる伸びしろを感じる。東洋の魔女の目覚めは近い。