「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

ATPツアー序盤で最も勢いに乗る22歳、アンドリー・ルブレフとは【男子テニス】

2020 2/21 11:00橘ナオヤ
アンドリー・ルブレフⒸゲッティイメージズ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒゲッティイメージズ

2020年シーズン、勢いに乗る意外な若手

2020年、いよいよ若手がBIG3に挑む年だと言われたこのシーズン。開幕から2カ月が経ち、勢いを見せるのは、若手勢でも意外な一人、アンドリー・ルブレフ(ロシア)だ。確かに昨シーズン、成長の兆しを見せていたが、それでも現在見せるような目覚ましい活躍を予想できるほどではなかった。ルブレフは現在、ATPのレースランキング(Race to London、ATPの年間ランキング)で上位につけている。

昨シーズンまでは活躍するライバルの後塵を拝したが

現在、新時代を担うとされる若手は次の6人。

・アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
・ダニル・メドベージェフ(ロシア)
・ステファノス・チチパス(ギリシャ)
・デニス・シャポワロフ(カナダ)
・カレン・ハチャノフ(ロシア)
・アンドリー・ルブレフ(ロシア)

なかでもズベレフ、メドベージェフ、そしてチチパスは昨シーズンの最終ランキングでトップ10に入り、ATPファイナルズに出場。チチパスは初出場初優勝の快挙を果たした。目覚ましい活躍に、2020年シーズンは、ロジャー・フェデラー(スイス)、ラファエル・ナダル(スペイン)、ノヴァク・ジョコヴィッチ(セルビア)、BIG3の時代も終わるのではないかとささやかれるほどだった。

一方でルブレフはタイトル数やグランドスラムでの成績をみても、目立った結果は残せず、注目されることはあまりなかった。2019年は負傷明けだったこともあり、調子が戻ったのはシーズン終盤。タイトルも母国開催のクレムリンカップ(ATP250)の1つにとどまった。

2004年以来となる開幕2連勝

そのうっ憤を晴らすかのように、2020年序盤、最も勢いに乗っているルブレフ。1月には開幕戦となったカタールオープン(ATP250)、翌週のアデレード国際(ATP250)で優勝。男子ツアーで開幕からの2週連続優勝は実に2004年以来のことだ。

続いて挑んだ全豪オープンでは、自己最高の4回戦出場。4回戦では同世代のズベレフに敗れたものの、開幕から11連勝は文句なしのスタートだ。2月に入ってもロッテルダム(ATP250)でベスト8に入るなど、15試合で13勝2敗と好調を維持している。

2020年2月21日時点のATPランクは自己最高の14位、レースランクでは4位。全豪ファイナリストのジョコヴィッチ、ドミニク・ティーム(オーストリア)の後を、同じく2週連続優勝を果たしたベテランのガエル・モンフィス(フランス)とともに追走している。

メンタルに課題を抱えた時期も

ルブレフはパワーを前面に押し出した攻めるスタイルのベースライナーだ。その最大の武器は強力なサーブとフォアハンド。特に走り込みながら放つフォアは強力で、ベースライン上を走り回る無尽蔵ともいえるスタミナとともに、粘り強くつなぎ、パッシングショットを放つ。ルブレフの得点の多くはこの形から生まれる。

一方で、時にそのアグレッシブさが行き過ぎてしまうこともしばしば。精神面での落ち着きを失い、強打に固執してアンフォーストエラーを積み重ね、自滅する試合もあった。また2017年にクロアチア・オープン(ATP250)で初タイトルを獲った後、パワーヒッター故に痛めた手首や腰のケガに苦しみ、同年代のズベレフらに後れを取ってしまった。

心身の成長

2020年、ルブレフはどう変わったのか。ひとつはケガの治療のために失ったフィジカルが戻ってきたことだろう。持ち味のパワーヒッティングを抑えることなく全力で放てるようになった。また2019年シーズン終盤から、少しずつプレーの幅が広がってきたことも好調の一助となっている。器用に打ち分けるタイプではないが、それでも少しずつ剛柔打ち分けるシーンが見られ、持ち前のパワーをさらに活かすプレーができるようになった。

もうひとつ、彼自身も課題に上げるメンタル面の成長が、すでに見て取れる。思うようなプレーが出来ないとコート上で怒りを露わにすることが多かったルブレフだが、今シーズンは冷静さを維持する必要性を自覚しているという。インタビューでは、「次のレベルに到達するためには、(感情の爆発を)払拭しなければ」とコメント。プレーに幅が見られるようになったのも、こうした精神面でも成長を心掛けている成果だと言える。

若手勢の争いはし烈

ルブレフがこのままの勢いで行けば、昨シーズンのチチパスのようにBIG3以後の時代を背負う選手の一人になれるだろう。だがそう簡単ではない。ライバルは上述した5人だけではない。前年ファイナルズ出場を果たしたマッテオ・ベッレティーニ(イタリア)、フェリックス・オジェ=アリアシム(カナダ)、キャスパー・ルード(デンマーク)らが力をつけている。

また、まだまだシーズンは序盤で、ここからクレー、グラスとサーフェスが変わっていく。適応に失敗すると、ランキングを落とすことになるだろう。若手世代の争いはますますし烈になっているが、ルブレフがこうした環境の変化に冷静に対応し、メンタル面を中心にペースを維持できるかに注目したい。

おすすめの記事