得意の全米で結果を残せず
日本の錦織圭が全米オープン3回戦に登場したが、初対戦となったA・デミノー(オーストラリア)相手に、2-6、4-6、6-2、3-6で敗れ、4回戦進出とはならなかった。
第1セットから錦織は2つのブレークを許す苦しい展開。自身のミスの多さと相手の粘りで波に乗れない錦織は第1・第2セットを連続で落とす。第3セットになると、ようやく錦織がミスを修正して相手を左右に揺さ振り、主導権を握って6-2で奪い返した。
しかし、流れをつかみかけた錦織だったが、第4セットでも第1ゲームで先にブレークを許してしまう。続くゲームではブレークバックを奪うが、第7ゲームで錦織のフォアハンドのミスやデミノ―のボレーのスーパープレーなどもあり、痛恨のブレークを許した。
錦織はいら立ちから、ラケットを叩きつける場面もあり、結局追いつくことができずに、セットカウント1-3で敗戦。得意の全米で3回戦敗退と物足りない結果に終わってしまった。
2018年のウィンブルドンから続いていたグランドスラム連続8強以上への進出は途切れ、世界ランキングのポイントも大きく失ってしまう結果となった。
とにかくミスの目立った錦織
それではここからは錦織とデミノ―のスタッツを比べてみる。
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スタッツを比べると、まず目立つのは錦織のミスの多さである。特にフォアハンド側でのミスヒットが目立った錦織はデミノーと比較すると2倍ものミスを犯している。これは勝負どころでも見られ、特に第2セットではブレークバックで追いついた直後の第9ゲームで自ら流れを手離す原因となった。
計60本のミスのうち、錦織は18本を第4セットで叩いており、デミノーの2本に対して、大きく差が開いてしまった。追いつかなければならない終盤のミスが敗戦にもつながってしまった。ウィナーの数は錦織の方が多かったが、1stサーブポイント獲得率、レシーブポイント、トータルポイントで差をつけられ、錦織がデミノーのストロークの前に終始得点を取るのに苦労していたこともうかがえる。
また、錦織の1stサーブのスタッツを見ると、成功率では56%とわずかにデミノーを上回っているが、平均速度が164.8kmと本調子とはいえず。大会前から懸念されていた肘の状態があまり良くなかったのかもしれない。これがポイント獲得率の低さにもつながったと考えられる。
とにかくサービスゲームに安定感がなかったことに加え、錦織はデミノーの粘るストロークにリズムよく得点を取ることができなかった。
前哨戦からの不安を拭い切れず
錦織は全米の前哨戦2大会でいずれも初戦敗退を喫し、思うように試合勘をつかめないまま全米に臨んでいた。「今一番欲しいのは自信」と述べていた錦織は、1回戦は相手の棄権、2回戦は苦しみながらも何とか勝利をものにした。
しかし、肘の痛みからかサービスに安定感がなく、2回戦では第4セット5-1と勝利寸前から4ゲームを連取される事態を招いた。全米前のインタビューでは「肘が万全ではない」と語っていただけに、肘の状態の悪さがミスの多発やサービスの不安定感の原因となったのだろうか。
次に錦織が出場するのは9月末に日本で開催される楽天ジャパンオープン。なおここからは昨年稼いだ世界ランキングのポイントを守らなければならない大会が続くため、錦織にとっても正念場となりそうだ。