ナダルが錦織を圧倒
6月4日に行われた全仏オープン準々決勝。3回戦と4回戦でフルセットマッチを戦った錦織圭はナダルに圧倒されてしまった。
ナダルは序盤から積極的に攻め続け、抜群のプレースメントで錦織に時間を与えない。第1セット、第1ゲームから錦織は自身のサービスゲームをブレークされ、そのまま流れを取り戻せずにゲームカウント1-6で第1セットを失った。
続く第2セットに入ってもスピン量の多いナダルの強烈なショットに錦織は対応しきれない場面が目立った。
第1ゲームからブレークを許してしまうが、第2ゲームでは錦織がリターンの位置を変化させ、ベースラインより前でのプレーを見せたことによってブレークバックに成功。しかし、第3ゲームですぐさまブレークを奪われると、そこからナダルのスーパープレーなどもあり、第1セット同様、1-6で第2セットを失った。
後のなくなった第3セットでは錦織も必死にサービスゲームをキープしにいくも、第4ゲームではフォアのミスも重なってブレークを奪われた。その後、第6ゲームを錦織がキープしたところで雨天のため試合が中断。再開後、第8ゲームをキープし望みをつなぐも、ナダルは最後まで錦織に流れを渡すことはなかった。
第3セットも3-6で落とし、日本男子86年ぶりの全仏ベスト4をかけた戦いは1時間51分で幕を閉じた。
1stサーブ時の得点率に大きな差が
ここで錦織とナダルの試合全体のスタッツを比較してみる。
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上の表から、試合の勝敗を左右しやすいファーストサーブの成功率はほぼ互角だが、ファーストサーブが入った時の得点率に大きな差があることが見てとれる。錦織はファーストサーブ時の得点率が44%と半分以下しかポイントを獲得できておらず、この影響でサービスゲームでの得点率も46%と非常に低い数字となってしまった。
対するナダルはファーストサーブが入った時の得点率が76%で、サービスゲームでの得点率も70%を記録。また、ブレークポイントに関しても、錦織はブレークのチャンス自体が5回しかなかったのに対し、ナダルは11回あり、そのうち7回もブレークに成功している。
こういった差が大きく響き、1セットも奪えない完敗という結果に終わってしまった。
それでも執念のベスト8進出
敗れはしたものの、錦織が逆境を何とか切り抜けて全仏8強へとたどり着いたことは評価されるべきであろう。特に、3回戦は4時間を超える激闘、4回戦は2日がかりで最終セットまでもつれ込む長丁場の試合で、ともにリードを許す苦しい展開だったが、そこから逆転で勝ち切った。
これで錦織は、グランドスラム4大会連続でベスト8以上への進出を果たしたことになる。マイアミオープンやモンテカルロマスターズでの初戦敗退など、「例年より結果が出ていない」と自身でも評し、ファンの間でも前評判は決して良くなかった。
それでも今回の全仏ではフェデラーやナダルなどの錚々たる顔ぶれの中に名を連ねた。芝のシーズンは短いものの、7月のウィンブルドン選手権での活躍にも期待を持って注目したい。