「グランドスラム」ってなんのこと?
グランドスラムとは英語のgrand slamという言葉のこと。もともとはカードゲームで圧倒的な勝利を収めることを指していたが、テニスの場合は国際テニス連盟が決めた主要な4つの大会すべてに勝つことをグランドスラムと呼ぶ。また、4大大会そのものを指してグランドスラムと呼ぶこともある。
1年間のうちに4大大会すべてで勝つことが本来の純粋なグランドスラムだが、これはとても難しく、今までシングルで達成したのは5人のみ。現役の間に達成する生涯グランドスラムは、2016年にノバク・ジョコビッチが達成し話題になった。
グランドスラムその1、全豪オープン
年の始めの1月にオーストラリアのメルボルンで開催されるのが「全豪オープン」だ。会場となるメルボルンパークには26面のテニスコートがあり、開閉式の屋根付きコートも整備されている。
4大大会の中で唯一の南半球で開催される大会で、オーストラリアの1月は真夏にあたる。年の始めでコンディションを整えるのが難しかったり、暑さを考慮して試合時間が変更されたりと選手にとっては少し困難な状況が生まれることも多い大会だが、見る側としては番狂わせの多い魅力的な大会ともいえる。
2011年から19年までの9年間で、ジョコビッチが6回優勝している。
グランドスラムその2、全仏オープン
5月末から6月始めにかけて開催されるのが全仏オープンだ。しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、9月20日~10月4日に延期された。
会場は、フランス・パリにある森林公園「ブローニュの森」に隣接するスタッド・ローラン・ギャロス。以前は屋根のないコートだったため天候による影響を強く受けたが、2020年に屋根が設置された。また、コートはすべてクレーコート(赤土のコート)。
クレーコートのスペシャリストが優勝することが多く、グランドスラムを達成するうえで最難関とされている。現在、クレーコートを得意とするラファエル・ナダル選手が通算12勝をあげる独壇場となっているが、2015年にはスタン・ワウリンカ、2016年にはノバク・ジョコビッチが優勝している。
グランドスラムその3、ウィンブルドン選手権
通常、全仏オープンが終わるとウィンブルドン選手権が始まる。しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響を受け中止に。本来は6月最後の月曜日から2週間、イギリス・ロンドンにあるウィンブルドンで開催され、日本では「全英オープン」と呼ぶこともある。
1877年に初開催された格式の高い大会で、コートに立つ選手は白いウェアの着用が義務付けられている。賞金総額もハイレベルで、2019年の賞金総額は3800万ポンド(日本円で約55億円)となっており、イギリスでは競馬やゴルフと並んで最高峰の競技大会に位置付けられている。
地元イギリス出身のアンディ・マレーが2013年の初優勝で、イギリス人による77年ぶりのウィンブルドン制覇を成し遂げた。2016年には2度目の優勝を果たしている。
グランドスラムその4、全米オープン
グランドスラムの締めくくりは、アメリカ・ニューヨークで開催される全米オープン。会場はニューヨーク郊外のフラッシング・メドウにあるUSTAナショナル・テニス・センターで、8月最後の月曜日から始まる。
観客動員数が非常に多くなるため大会会場を変更しながら開催を続けてきた。だが、1997年には2万5千人以上を収容できる世界最大規模のテニス会場「アーサー・アッシュ・スタジアム」が建設された。球足が速いハードコートになっているのが特徴で、他とは違う展開が期待できる大会になっている。2014年は錦織圭がアジア人選手として初めて決勝進出を果たし、見事準優勝という結果を残した。