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要所でミス続いた錦織圭 得意のマイアミで初戦敗退

2019 3/25 15:00橘ナオヤ
錦織圭,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

得意のマイアミだったが失意の初戦敗退

3月19日から始まったATPマスターズ、マイアミ・オープンは、錦織圭にとって相性が良い大会だ。2014年にベスト4に入ると、以降ベスト8が2回、2016年には準優勝の成績を残している。

今シーズン開幕戦のブリスベン国際(ATP250)で優勝し、全豪オープンでもベスト8と幸先の良いスタートを切った錦織だったが、その後ドバイ・デューティー(ATP500)では2回戦、BNPパリバ(ATPマスターズ)では3回戦でホルカシュに連敗。マイアミで良い印象を掴んでクレーコートシーズンにシフトしたかったが、ここでも早期敗退を喫した。

2月以降は4大会で5勝4敗。9試合中6試合がフルセットで2勝4敗と、要所でミスをして勝ちきれない展開が続いている。今、錦織には試合をコントロールする力が求められている。

錦織とマイアミの縁は深いが…

錦織は今大会、第5シードに入った。マイアミ・オープンでは32名のシード選手は1回戦を免除されるため、錦織も2回戦からの登場。前回大会優勝のジョン・イスナーや現世界No.1のノヴァク・ジョコヴィッチら多くのトップ選手が出場する一方、ラファエル・ナダルやフアン=マルティン・デル・ポトロらが負傷により欠場している。

錦織にとってマイアミがあるフロリダ州は馴染みのある土地で、その縁は中学時代にさかのぼる。2002年にフロリダに拠点を置くIMGテニスアカデミーに短期留学すると、翌2003年には選抜生として渡米。これ以降、彼はフロリダのタンパを拠点としている。

またプロ転向後の初大会が、主催者推薦でダブルスに出場した2007年のマイアミ・オープンだった。同大会期間中には、ロジャー・フェデラーの練習相手を務め話題を集めた。縁深く実績もあるマイアミの地ならば、ドバイとBNPパリバでの失態のイメージを払拭できるはずと期待が寄せられていた。

リズムをつかめずミスが増える展開

だが、錦織はその期待に応えることができなかった。2回戦の相手はセルビアのドゥシャン・ラヨビッチ。錦織と同じく2007年にプロ転向してきた、バックハンドを得意とするベースラインプレーヤーだ。これまで2回対戦し、錦織が2勝している。

第1セットは2ブレークして6-2と先制。サービスの精度が高く、ミスも少ない幸先の良い滑り出しを見せた。だが第2セットからミスが増加する。第3ゲームでバックハンドのミスが連続しブレークを許すと、その後もペースをあげるラヨビッチに食らいつくことができず、第2セットを取り返されてしまった。

これまでの錦織であればファイナルセットで粘り強さを発揮し、勝利につなげるところだが、この日は正反対だった。要所でミスが目立ち、決めきれない。セット前半は辛うじてキープ合戦となっていたが、第7ゲームで均衡が崩れた。

錦織はゲームポイントを握ったものの連続ミスでその好機をふいにしてしまう。その後、1度はブレークポイントをしのぐも、またもや連続ミスを犯し、ブレークを許してしまった。続く第8ゲームでブレークバックのチャンスを迎えるも再びミスが続きブレークに失敗すると、第9ゲームではサーブ&ボレーなど攻勢を強めたがポイントにつながらない。最後はロングラリーの末に錦織がミスしてゲームセット。3大会連続で早期敗退となった。

3大会連続で「大事なところでミス」では厳しい

試合の立ち上がりは良いものの、徐々に調子を崩して逆転負け。これが3大会続いている。ラヨビッチは好プレーを見せていたが、錦織がお手上げというようなパフォーマンスだったわけではなく、錦織が自滅して敗れたという印象が強い。

実際、ファイナルセットのアンフォーストエラーはラヨビッチの倍以上の18本に及んだ。またブリスベン国際や全豪では強力な武器だったファーストサーブも、出だしは良かったものの徐々に精彩を欠き、試合全体では成功率が6割まで落ちている。本人も「大事なところでミスが出たり、取り切れなかったりしたところが勝敗に関わった」と試合を振り返っている。

だがトップ10を維持し、さらにもうワンステップ上に進むためには、取りこぼしをしないことが不可欠だ。また、第1セットを落としたラヨビッチが、第2セットから反撃してくるのは明白だったにもかかわらず、そこで相手の気勢を削ぐようなリズムを自分で作れなかったことも痛かった。錦織も29歳で、もう若い選手ではない。経験を積んだトップ選手として自分で試合をコントロールするプレーが求められる。

次の錦織の出場大会は4月中旬から始まるモンテカルロ・マスターズ(ATPマスターズ)。ここから錦織が苦手とするクレーコートシーズンが始まるが、昨シーズンはここで準優勝し、負傷からの復活を印象付けた。ここ3大会の不調が心身の疲労によるものなのであれば、次戦までの3週間でリフレッシュして改善できるかもしれない。