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円熟味増す錦織、4回戦進出  ウィンブルドンは2週目へ突入

2018 7/9 18:12SPAIA編集部
錦織圭,ウィンブルドン選手権,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

トップシードの半分が敗退する波乱含みの展開

グラスコート最高峰の大会、ウィンブルドン選手権は2週目に突入。7月2日から7日までの1週目では、トップシード8選手のうち半分が姿を消す波乱の展開となった。

第6シードのディミトロフは、ケガでランクを落としたワウリンカと、初戦で当たる不運なめぐり合わせで初戦敗退。そのワウリンカも2回戦でファビアーノに良いところなくストレート負け。まだまだ完全復活とはいかないようだ。

第7シードのティームは1回戦で途中棄権。2セットダウンで迎えた第3セット途中に背中を痛め、棄権を余儀なくされた。タフで負傷の少ないことで知られるティームだが、全仏のあとも精力的にツアー大会に出場していたことで疲労が溜まっていたか。

第4シード、4回戦で錦織と当たると目されていたA.ズベレフは3回戦で元世界10位のグルビスに敗退。胃腸炎を患っていたというズベレフは、第4セットを取り返されたあとプレー内容が急激に悪化。なんとか食らいつこうとするも、3時間20分に及ぶフルセットの末に力尽きた。

前回ファイナリストのチリッチは第3シードで今大会に臨んだが、2回戦でノーシードのグジャにフルセットの末敗退。2セット連取と優位に試合を進めたが、第3セットを取り返されると第4セットをタイブレークで失う。27本ものサービスエースを叩き込んだが、グジャの粘り強いテニスを攻略できず、早々に大会を去ることとなった。

ウィンブルドン選手権ドロー表第8日時点

連覇を狙うフェデラーは絶好調

●ロジャー・フェデラー
前哨戦で調子を上げて大会に乗り込んだ前回王者は絶好調だ。ここまでの3試合はラヨビッチ、ラツコ、ストルフをいずれも3-0のストレートで下しており、1時間19分、1時間30分、1時間39分と短時間で終えた。自身でも課題とするスタミナを温存して2週目に進んでいる。

またフェデラーはストルフとの3回戦でグラスコート通算175勝目を達成。アメリカのレジェンド、ジミー・コナーズ氏と並んでいた記録を更新し、グラスコート最多勝利記録を塗り替えた。

4回戦では第22シードのマナリノと対戦する。マナリノは2大会連続で4回戦に進出している実力者。今大会は比較的ドローに恵まれているフェデラーだが、連覇に向けてここからが勝負だ。

●ミロシュ・ラオニッチ
トップハーフでフェデラーの山の反対側は、チリッチが早期敗退したかわりにミロシュ・ラオニッチに注目が集まる。2017年は負傷に苦しみ、今シーズンもなかなか思うような結果が出せていないラオニッチだが、今大会は粘りを見せ4回戦進出を果たしている。

2回戦のミルマンとの試合はセットカウントこそ3-0だがすべてがタイブレークの激闘。キープ合戦の第1セット、ブレークの応酬となった第2セット、再びキープ合戦をいずれも制し3回戦へ進出。ノヴァクとの3回戦も2日間にわたる激闘となったが3-1で制した。

コンディションに不安はないようだが、次戦のマクドナルドも粘り強く勝ち上がってきた難敵。ラオニッチも「タフな試合になる」と見込んでいる。しかし2016年大会ファイナリストの実力はまだこんなものではないはず。今大会、ラオニッチの完全復活はみられるだろうか。

円熟味を増した錦織、初の8強を期す

●ラファエル・ナダル
第2シード、全仏王者のナダルも順調な1週目を過ごした。セラ、ククシュキン、デミノーを相手にすべてストレート勝ち。グラスコートシーズンはここまでツアー大会に出場していなかったが、全仏で抱えていた負傷も癒えた様子で、順調な勝ち上がりを見せた。3回戦でデミノーに勝利したことで、この大会後発表のATPランキングで1位の座を維持することが決まっている。

ナダルはこれまでグランドスラム優勝17回を誇るが、ウィンブルドンは2回しかない。2010年以来8年ぶりとなる戴冠を目指す今大会、幸先は順調だ。4回戦では第19シードのフォニーニを破ったチェコのベセリーと対戦。ここを突破できれば、準々決勝で第5シードのデルポトロ対シモンの勝者と対戦する。

●錦織圭
今大会の錦織は調子が良い。ここまでの3試合すべてでタイブレークを経験しているが、そのすべてをものにしており、体調は良さそうだ。また戦いぶりも円熟味を増している。

2回戦では難敵トミックを相手に、グラスコートでの定石ともいえる戦いを披露。トミックも強力なサーブで17本のエースを取ったが、錦織はそれを上回る24本。パワーではなく、コーナーをうまく狙い撃つサーブで試合のペースをつかんだ。また良いタイミングでネット前に出ていき、ネットポイントを18本積み上げた。

3回戦では悪童キリオスを相手に1時間37分という短時間でストレート勝ち。キリオスのトリッキーなサーブにも乱されることなくリターンを打ち込んだ。キリオスも「ケイは良いプレーをしていた。リターンが素晴らしかった」と称えた。

4回戦の相手は第4シードのA.ズベレフを破ったグルビスだ。ノーシードだが、かつてATPランキング10位に入った実力者。復活を期すグルビスがランク通りの実力でないことは確かだが、錦織も初のベスト8入り、そしてそれ以上を見据えて勢いを増している。

錦織は初のグランドスラムに向けて突き進めるか。第2週、ウィンブルドンはいよいよ佳境を迎える。