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レジェンドがいっぱい!米女子テニス界

2018 3/7 09:59跳ねる柑橘
セリーナ・ウィリアムズ
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テニス大国アメリカ

世界にはいくつか「テニス大国」と呼ばれる国があるが、とくにグランドスラムが開催される4か国が有名だ。テニスの母国イギリスやフランス、オーストラリアは大会ホスト国としてだけでなく、歴代の名プレーヤー達を輩出してきた。

今回取り上げるアメリカも同様である。世界屈指のスポーツの祭典と評される全米オープンの開催国だけではなく、ジョン・マッケンローやアンドレ・アガシ、ビリー・ジーン・キングやクリス・エバート、ウィリアムズ姉妹など、男女とも数多くの素晴らしい選手を送り出してきた。今回はその中でも女子プレーヤーにフォーカスし、伝説的選手から絶対女王、そしてその後継者候補を紹介する。

女子テニス界の礎を築いたレジェンドたち

女子テニス界では、アメリカはトップに君臨している。グランドスラム女子シングルスの優勝回数2ケタ記録は、2018年2月現在7人だが、そのうち5人がアメリカ人だ。女子テニス強豪国であるアメリカの選手を知るうえで欠かせないのが、20世紀に活躍し、女子テニス界の礎を築いた選手たちである。

グランドスラム女子シングルス優勝回数歴代4位のヘレン・ウィルス・ムーディーは1920~30年代に国際的な活躍を見せ、50年代前半にはモーリーン・コノリーが活躍した。コノリーは女子テニス選手史上初の年間グランドスラムを達成し、ウィンブルドンを三連覇するなどアメリカテニス界の伝説を築いたが、その直後に事故に遭い選手生命を絶たれた。

エバート、ビリー・ジーン・キングなどスターが続々誕生

アメリカのテニススター系譜は途切れない。60年代からはビリー・ジーン・キング、70年代にはクリス・エバートやマルチナ・ナブラチロワらが活躍。いずれもグランドスラム女子シングルスで優勝回数2ケタの記録を持つ偉大なレジェンドだ。

エバートはコート上で常に感情を表に出さないクールな選手だったのに対してナブラチロワは感情爆発型。正反対な二人は人気を二分するライバル同士だった。直接対戦の回数は80回あり、対戦成績はナブラチロワが43勝37敗で勝ち越している。

ビリー・ジーン・キングは女子テニス連盟(WTA)の創設者の一人でもあり、数多の功績をたたえて、全米オープンの舞台であるフラッシング・メドウズのテニスセンターにその名が冠されている。

今なお第一線で活躍するウィリアムズ姉妹

今も第一線で活躍しているのがウィリアムズ姉妹だ。姉ヴィーナスは1994年、妹セリーナは1995年にデビューすると、シングルス・ダブルス揃ってテニス界を席巻した。ダブルスは姉妹でペアを組みグランドスラム優勝通算14回、またオリンピックでも3度金メダルを獲得している。シングルスでは、姉ヴィーナスはグランドスラム女子シングルス7回優勝。妹セリーナは歴代2位の23回を誇り、1位のマーガレット・コートの記録にあと1つと迫っている。

ウィリアムズ姉妹は、ともにパワーテニスを女子テニス界にもたらした。フォア、バックハンドとも強烈で、サーブはパワフルなうえにコントロールも正確だ。ヴィーナスは、185cmの長身を活かしたサーブとしなやかなストローク、セリーナは男子顔負けの強力なショットとそれぞれの個性はあるが、不屈のメンタルと強靭なフィジカルで勝利を積み重ねてきた点では共通している。

妹セリーナはまさに絶対女王

最強姉妹と呼ぶにふさわしい彼女たちはストーリーに事欠かないが、圧巻の出来事は2000年初頭に起きた。2002年の全仏オープンから2003年の全豪オープンまでのグランドスラム4大会で、決勝が4連続で姉妹対決となったのだ。

妹セリーナが4連勝している。姉妹がグランドスラム決勝で対戦したのは9回で(2018年2月現在)、戦績は妹セリーナの7勝2敗。 直近の対決は両者とも35歳を過ぎた2017年の全豪オープンだったが、歴代最年長優勝を果たしたセリーナは、この時なんと妊娠していた。妊娠初期であの灼熱の全豪オープンを優勝してしまうという離れ業に、世界中が驚いた。
セリーナは9月に女の子を無事出産し、万全の状況に戻ったら本格復帰する意向だ。

新世代の台頭にも期待がかかる

アメリカ女子テニス界は、最強姉妹の時代が続いた反面世代交代が進まずにいたが、2017年いよいよ女王の後継者候補が台頭してきた。90年代生まれのマディソン・キーズ、ココ・バンダウェイ、そしてスローン・スティーブンスだ。セリーナ不在の2017年の全米オープンでは、彼女たち3人と大ベテランのヴィーナスの4人でベスト4を独占した。

この大会で優勝したスティーブンスはコートカバー能力に長けた選手で、手ごわい相手にも粘り強く勝機を伺う。準優勝のキーズはスティーブンスの親友で、178cmの長身から繰り出す高速サービスが武器だ。2016年にはWTAランクトップ10入りをするなど次世代女王の呼び声が高い。

ココ・バンダウェイもスポーツ一家に育った期待の選手で、2017年はグランドスラム2大会でベスト4進出、フェドカップでは8戦8勝の大活躍でアメリカの優勝に貢献した。力強いストロークと、強気にネットに詰め寄るプレーが魅力の選手だ。 女子テニス界のトップには常にアメリカ人選手の名前があった。セリーナの復活が期待されるとともに、新世代の活躍も楽しみだ。2018年の女子テニスもアメリカ勢から目が離せない。