テニス界に正月休みはない
波乱に満ちた2017年シーズンが幕を閉じたが、テニス界はもう次へと歩みを進めている。それもそのはず、ATPツアーもWTAツアーも年が明ける前から大会が行われるのだ。
12月はオフシーズンとはいえ、選手たちは休息もそこそこに、来シーズンに向けた体作りとトレーニングに余念がない。1月1日から各地で大会が催され、1月下旬にはシーズン最初の四大大会、全豪オープンが控えている。
前シーズンに長く戦列を離れた選手たちが復活を期して臨む2018年、その序盤のスケジュールを確認しておこう。
シーズン序盤の中心地は真夏のメルボルン・パーク
プロテニスにおける最大の舞台はグランドスラムだ。そのなかでシーズン最初にやってくるのが全豪オープン。2018年は1月15日から28日までの2週間、メルボルン・パークのハードコートで選手たちが躍動する。
この大会、実はかなり過酷な戦いでもある。南半球のメルボルンは真夏で、メルボルン・パークは灼熱ともいわれる暑さだ。現在は3つの開閉式屋根付きのスタジアムがあるが(ロッド・レーバー・アリーナ、ハイセンス・アリーナ、マーガレット・コート・アリーナ)、それ以外のコートでは炎天下の下でテニスをすることになる。
以前、コンディショニングが間に合わなかった選手が体調を崩してしまったことで、熱中症対策が課題となり「エクストリーム・ヒート・ポリシー」という大会独自ルールがある。それにより、条件次第で試合開始時間の変更や、上記の屋根付き会場では屋根を閉めてから試合が行われている。
新シーズンは年明けの前からフルスロットル
北半球でトレーニングを積む選手にとっては、メルボルンのこの過酷な環境は大きな負担となるので、体をならすために前哨戦に参加し、コンディショニングするのが恒例となっている。
この前哨戦だが、最も早いものだとなんと年が明ける前の12月30日から開催される。その他1月1日から開催されるものもあわせると男女合わせて5大会。それらが終わった直後の1月8日からも男女で3大会行われる。
2017年のうちから開幕するのが、30日開幕のエキシビションのホップマンカップと、31日開幕のブリスベン国際だ。
日本人選手とトップ選手の共演 ホップマンカップ
ホップマンカップは男女混合の国別対抗戦で、オーストラリアのパースで開催される。8か国から男女1人ずつが参戦し、グループステージとノックアウトステージを戦う。
2018年大会は、日本から杉田祐一と大阪なおみの2人が参加。その他参加国のドイツからケルバーとA.ズベレフ、アメリカからソックとヴァンダウェイ、スイスからはフェデラーとベンチッチ、といようにトップ選手たちがエントリーしている。
2017年に話題となった日本人2人が、新シーズン最初の大会でどのようなプレーを見せてくれるのか、楽しみだ。
錦織圭も参戦予定!ブリスベン国際
ブリスベン国際は、その名の通りオーストラリアのブリスベンで行われる大会だ。男女ともに同日程で行われ、ATP250、WTAでは、プレミアクラスとなっている。
この大会には多くの実力者が参加予定だ。男子では2017年に大活躍したナダルやディミトロフのほか、2017年に負傷で長期離脱したマリー、錦織圭、ラオニッチらがエントリー。女子は実力者が大集結で、ムグルサ、プリスコバ、スビトリナ、ガルシア、コンタと2017年の年間トップ10から5人がリストに名を連ねている。
錦織の復帰戦となる予定のこの大会、日本のテニスファンとしては見逃せない。
そのほかにもある前哨戦
ブリスベン国際とスケジュールをほぼ同じくして、男女で2つずつハードコートの大会が開催される。男子ではカタールのドーハでカタール・オープン、インドのプネーでマハシュトラ・オープンという2つのATP250が、女子では中国の深センとニュージーランドのオークランドでWTAプレミアの大会が予定されている。
1月8日からは男女同日程でのシドニー国際(ATP250、WTAプレミアクラス)、そしてオーストラリアと隣国ニュージーランドで男女1つずつ大会が行われる。全豪オープンに参加する多くのプレーヤーが、全豪前に行われるこれらの大会のどれかにエントリーして、ハードコートでのコンディション確認を行う。
前回王者が参戦する意義
これらの大会の多くにディフェンディングチャンピオンが出場する。前年の優勝時に獲得したポイントを守らなければ、ごっそりとポイントを失い、ATP、WTAのランキングを下げることになるからだ。
カタール・オープンでは前回王者のジョコヴィッチが長期の負傷から復帰する。マハシュトラ・オープンはロベルト・バウティスタ、女子では深センでカテリナ・シニアコバ、オークランドではローレン・デイビスといったチャンピオンたちが出場する。
全豪オープンという大舞台の前哨戦ではあるものの、年間を通じてポイントを稼ぎ、ランキングをあげ、ツアーファイナルに出場するためにも、決して手を抜くことはない。
復活の2018年最初の熱狂を見逃すな
2017年はブリスベン国際で優勝したディミトロフがATPツアーファイナルズで優勝し、年間ランキングでNo.3、全豪オープン優勝のフェデラーがグランドスラム2冠を果たしてNo.2、全豪準優勝のナダルが年間No.1でこちらもグランドスラム2冠と、この全豪オープンシーズンに活躍した選手が1年間活躍している。
つまり選手にとっては、そのシーズンを占う大切な一戦といっても過言ではないだろう。
2018年はジョコヴィッチ、マリー、セリーナ・ウィリアムズ、そして錦織圭も復活する。彼らがこの1月のツアーでどのような活躍を見せてくれるか、今から楽しみだ。