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ドラマチックな展開の数々!USオープン2017年大会を振り返る

2017 10/13 10:05跳ねる柑橘
US open tennis
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年内最後のグランドスラムは波乱とドラマでいっぱい

テニス最高峰の大会、グランドスラム。年4回開催されるそのグランドスラム最後の大会が、アメリカの大都会ニューヨークで行われるUSオープンだ。1月から続くシーズンも後半、選手たちはコンディション維持やケアが重要になってくる。
実際2017年は多くの選手が負傷やピーキングに苦しみ、この大会も例年とは様子の異なる展開となった。波乱とドラマに満ちた大会となったUSオープン2017年大会。男女シングルスの様子を振り返っていこう。

負傷者続出の男子シングルスの2つの注目ポイント

大会前から男子ツアーは、既にざわついていた。多くの選手が年内の欠場を明らかにしていたのである。その中には、世界No.1経験者のジョコヴィッチ選手とマリー選手、前回大会王者のワウリンカ選手、そして錦織選手も含まれていた。トップ選手である彼らの欠場はテニスファンにとっては非常に残念なことだが、今大会には他にも楽しみな点があった。

まずは、完全復活を果たしたフェデラー選手とナダル選手の存在だ。2017年ここまでグランドスラムはこの2人が独占しており、彼らの復活を誰もが喜び、今大会の活躍を期待した。そして若手の台頭も期待された。
このシーズンはアレクサンダー・ズベレフ選手やルブレフ選手、シャポバロフ選手といった若手が躍動しており、多くのトップ選手が不在というこの大会では当然、大番狂わせも予想された。

順風満帆なナダルと予測不可能なボトムハーフ

準々決勝以降の試合を振り返ろう。まずトップハーフでは、ナダル選手とデルポトロ選手が顔を合わせた。
準々決勝でナダル選手の対戦相手は、期待の若手ルブレフ選手だった。結果は、19歳のロシア人の若者に、偉大なベテランが格の違いを見せつけるかたちでストレート勝利。
デルポトロ選手は、もう一人の優勝候補フェデラー選手と対戦。このマッチアップは2009年のUSオープン決勝の再現となり、熱戦の末にデルポトロ選手が勝ち進んだ。

そして迎えた準決勝で、ナダル選手はデルポトロ選手に第1セットを奪われるも、すぐに試合を自分のペースに戻し、第2セットを6-0で取り返す。その後もセットを連取し、決勝へと歩みを進めた。
ボトムハーフは圧倒的な実力者がおらず、予想がつかない展開となった。準決勝に進んだのはスペインのカレノブスタ選手と南アフリカのアンダーソン選手。カレノブスタ選手は5試合連続のストレート勝利で準決勝へ進み、一方のアンダーソン選手は準々決勝で実に3度のタイブレークという大混戦の末に勝利した。
対照的な勝ち上がりを見せた2人の準決勝だったが、ビッグサーバーのアンダーソン選手の前にカレノブスタ選手は成すすべなく、実に22本のサービスエース、58本ものウィナーをたたき込んだアンダーソン選手が勝利した。

圧倒的なテニスでナダルが優勝、そしてNo.1に復帰

決勝戦は、グランドスラム初の決勝に進んだアンダーソン選手と、グランドスラム決勝23回目のナダル選手の顔合わせになった。大きなキャリア格差がある両者の試合、実力差もアップセットが起きる余地はないほど明白だった。
ブレークポイントを1回も与えることなく、ストレートでナダル選手の勝利。2時間27分で試合は幕を閉じた。

この勝利でナダル選手は、16個目のグランドスラムを獲得。さらに、世界ランキングでNo.1の座に返り咲いた。ナダル選手が年間に複数のグランドスラムを勝ち取ったのは2013年以来で4回目のことで、まさに完全復活を果たしたナダル選手。
しかし、実はこの大会でシード選手と2回しか顔を合わせることがなかったのだ。彼の実力が戻ってきたのは間違いないが、それでもトップ選手の多くが不在というこの状況を一番享受したのは、ナダル選手だったのである。

絶対女王不在の女子は大混戦

一方の女子シングルスは、全く予想ができない展開となった。今季の女子シングルスは絶対女王の異名を持つセリーナ・ウイリアムズ選手が出産のため、休養に入っていた。
また、世界ランクNo.1の座につく選手の名前もめまぐるしく変わっており、大会開幕時にNo.1の座にいたのはプリスコバ選手だったが、2位以降とのポイント差は小さく、ムグルッサ選手やスビトリナ選手といった選手がチャレンジするという構図だった。
絶対女王不在の中、誰が優勝するのか、そしてNo.1の座は誰の手にわたるのか。予想できない要素を多分に含んだまま、フラッシング・メドウズでドラマは幕を開けた。

対照的な試合が続いた準々決勝

準々決勝トップハーフでは、プリスコバ選手とヴァンダウェイ選手、キーズ選手とカネピ選手が対戦した。1試合目でいきなりヴァンダウェイ選手が、第1シードのプリスコバ選手に金星をあげた。この時点で、プリスコバ選手が世界ランクNo.1の座を明け渡すことは決まった。
またキーズ選手は、予選から勝ち上がってきたカネピ選手に対し、ブレークポイントを一本も与えない見事な試合運びをし、1時間8分でストレート勝利した。

ボトムハーフでは、セリーナ選手の姉ヴィーナス選手とクビトバ選手、スティーヴンス選手とセバストワ選手が顔を合わせた。
ともにグランドスラム優勝経験のあるヴィーナス選手とクビトバ選手の試合は、フルセットにもつれ込んだが、自国の声援に後押しされたヴィーナス選手がファイナルセットのタイブレークをものにし、準決勝進出を決めた。
スティーヴンス選手とセバストワ選手の試合も同じく、ファイナルセットがタイブレークまで続く熱戦となった。故障で長期離脱をしていたスティーヴンス選手だったが、彼女もまた母国の声援を受け試合をものにした。

ベスト4をアメリカ勢が席捲!そして新女王誕生

準決勝で勝ち残った選手は、全員がアメリカ人だった。USオープンのベスト4全員がアメリカ人選手というのは、1981年大会以来のことだ。そんな準決勝の1試合目、キーズ選手はブレークポイントを1つも与えず、ヴァンダウェイ選手にストレート勝利した。
一方のヴィーナス選手対スティーヴンス選手の試合は、対照的な展開となった。第1セットはスティーヴンス選手が6-1で手にするが、ヴィーナス選手も第2セットを6-0で奪い返す。ファイナルセットは一進一退の攻防が続き、試合時間は2時間を超え、最後はスティーヴンス選手が素晴らしいコートカバーを見せ、ついに尊敬する大先輩を撃破したのだった。

ファイナリストのキーズ選手とスティーヴンス選手の2人は親友であるため、母国開催のグランドスラムで揃って決勝の舞台に立ったのは、さぞ感慨深いものだっただろう。
そんな試合の結果は、スティーヴンス選手がキーズ選手を圧倒し、キーズ選手のアンフォースドエラーが30を数えたのも響き、1時間1分の短時間でスティーヴンス選手がストレートで勝利した。試合後2人は堅く抱き合い、お互いを健闘し復活をたたえた。そして24歳のチャンピオンが生まれたのである。

日本人選手も奮闘

ドラマ尽くめのUSオープンだったが、ここで日本人選手の活躍も見てみよう。錦織選手欠場の男子では、ダニエル太郎選手と杉田祐一選手が本戦出場。
ダニエル太郎選手は2回戦でナダル選手と対戦し、第1セットを奪うもその後逆転されてしまった。杉田選手はメイヤー選手に敗れ、こちらも2回戦敗退。今後は本戦ストレートインを今大会以降も確実にし、3回戦以上へ勝ち進むことが2人の目標になりそうだ。

女子は、6人の日本人選手が本戦ストレートイン。3回戦まで進んだ奈良くるみ選手と、大阪なおみ選手が大番狂わせをやってのけた。奈良選手は、2回戦でUSオープン優勝経験のある第8シードのクズネツォワ選手をフルセットの末に撃破し、大阪選手は、1回戦で第6シードのケルバー選手をストレートで勝利した。
アメリカ出身の大阪選手のコミカルな表情がアメリカメディアでも話題になったが、このシーズン途中まで世界ランクNo.1だったケルバー選手を破ったことで、その実力にも大きな注目を集めている。グランドスラムでは、一つでも多く勝ち進む日本人選手の姿を見たい。

ドラマに溢れた最後のグランドスラム

グランドスラムの中で、特にスポーツエンターテインメントの殿堂のような雰囲気のUSオープン。大都市ニューヨークの大会らしい、大きな波乱とドラマに満ち溢れた2週間が幕を閉じた。ベテランの域に入ったナダル選手の完全復活。そしてランキング900位台という、どん底から這い上がったスティーヴンス選手。
2人とも怪我に苦しめられながら、懸命にトレーニングに取り組んだ結果、素晴らしい大舞台で偉大なタイトルを勝ち取った。彼らの復活を喜びつつ、また欠場した選手たちの再起を期待して、残るシーズン、そして来シーズンを楽しみたい。

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