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テニス最高峰「グランドスラム」のウィンブルドン選手権の特徴とは?

2017 7/10 10:01村正 吉和
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Photo by Yuri Turkov/Shutterstock.com

テニス大会の中で勝ち進むことが難しいといわれる最高峰「グランドスラム」。グランドスラムは4種類あるが、各大会、それぞれ特徴がある。今回はその中でも「ウィンブルドン」選手権にスポットライトをあてて紹介したい。

そもそも「ウィンブルドン」選手権ってどんな大会?

ウィンブルドンとはイギリスの地名から来ている。ロンドンの南にある町の名で「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ」のテニスコートで行われる大会を指す。イギリスで行われる大会のため日本では便宜上「全英オープン」と呼ばれる。
日程は毎年6月の最終月曜日から始まり期間は2週間での実施だ。(大会期間の1週目と2週目の日曜日はミドルサンデーと呼ばれ休息日にあてられている)
同大会は1877年7月9日に初めて行われ、当時の開催理由はセンターコートのローラを買い替えしたいための資金集めだったと言われている。

グランドスラムの中でも格が違う。センターコートの違い

ウィンブルドンはコートの種類が違う。全豪・全米はゴムでコーティングした「ハードコート」を採用しているのに対して全仏は土のコートの「クレーコート」。
そしてウィンブルドンは天然芝で作られた「グラスコート」を採用している。天然芝はただでさえ管理するのが大変な上、大会が開催される会場にはコート数が19もある。
決勝が行われるセンターコートはイギリス最大のテニスコートで座席数は15,000にも上る。センターコートには閉開式屋根が取り付けられ、悪天候にも強いコートとなっている。

ウィンブルドン選手権のみ他の大会と運営が違う?

「ウィンブルドン」大会以外の「グランドスラム」は全豪・全米・全仏とあるが、この3大会はすべて運営がITF(インターナショナル・テニス・フェデレーション)なのに対し、「ウィンブルドン」選手権は「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ」が運営を行っている。
歴史としては古く、1868年にオールイングランド・クローケー・クラブとして創設され、1877年に初のウィンブルドン選手権が行われた際に現在の名称に変更となった。他の大きな大会では運営が統一されている中で「ウィンブルドン」のみ違うところからも特別な大会といえる。

ウィンブルドン選手権のみ適用される特別ルールとは?

ウィンブルドンではウェアを白で統一するというルールがある。これは女子シングルス初優勝者の「モード・ワトソン」選手が白ウェアを着ていたからだといわれている。選手の中で白以外のウェアなどの衣類を身に着けていた場合はチェックされ、着替えをさせられるほどの厳しいルールなのだ。
そして更衣室が出場者のランクによって分けられている。
シード選手はNo.1のロッカールーム。シード選手以下の100位程度までの選手はNo.2のロッカーを利用。そしてそれ以下の選手はNo.3のロッカールームというように細かく分けられている。このようなルールは伝統を重んじるイギリスの運営だからこそのルールといえる。

選手の成績にも影響。独自のシード権の設け方とは?

本来、テニストーナメントのシード順はATPランキングの高い順番に決められていく。これは「グランドスラム」大会でも例外はなく、共通のルールとして設定されている。但し、ウィンブルドン選手権のみ取り決めのルールが違う。

通常通りのATPランキングポイントとは別に
1.過去1年間での芝コート大会の総ポイント
2.その前1年間での芝コートの総ポイント

1、2の大会のうち最も高かった大会のポイント75%を計算。これを芝大会ポイントとして算出している。
上記の「ランキングポイント+芝大会ポイント」の高い選手からシード順を決めていくのだ。このように独特なシード順位を採用しているため、他の大会ではあまり見られない対戦が行われる可能性がある。ウィンブルドンだからこそ実現するトーナメントは、この大会の楽しみの1つなのだ。

まとめ

大会の特徴をみてみると「グランドスラム」の中でも「ウィンブルドン」はより特別な大会だということがよく分かる。2017年6月にはまた同大会が開催された。その時にはテニスの結果だけではない他の大会との違いを見つけてみるのも楽しいだろう。