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グランドスラム4大大会を知ろう(後編)

2017 6/28 09:44
wimbledon
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グランドスラム―全テニス選手が夢見る舞台

プロテニス最高峰の大会、グランドスラム。全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権、そしてUSオープンの4つの大会を指します。
グランドスラム4大大会はすべてのテニス選手が出場を目指す大舞台です。今でこそ錦織圭選手が当然のごとく全大会の本戦に出場していますが、簡単に到達できない場所だということは忘れてはいけません。
前回は1年のうち最初に行われる全豪オープンと全仏オープンについてご紹介しました。今回は後編ということで、ウィンブルドン選手権と全米オープンをご紹介します。
格式高いウィンブルドンと、エキサイティングなスポーツイベント、全米オープン。大会ごとの個性の違いがわかれば、一大テニスイベントを楽しむ幅がぐっと広がるはずです。

ウィンブルドン選手権―テニスの聖地で行わる格式高い偉大な大会

イギリスのロンドン、ウィンブルドンで6月の最終月曜日から2週間にわたって開催されるのが、ウィンブルドン選手権です。開催地名の“ウィンブルドン”で呼ばれるこの大会ですが、正式名称は「The Championships(ザ・チャンピオンシップス:選手権)」とシンプルな名前です。
会場は「オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ」という競技場。1868年にテニス専用の競技場としてオープンしました。会場名にある「クローケー」とはゲートボールの一種で、芝の上で行う競技のため、グラスコートのあるこの会場で行われています。
4大大会唯一のグラスコート(芝)のサーフェスの大会です。5月から6月にかけて全仏オープンが行われた直後なので、全仏で上位まで勝ち進んだ選手としては大舞台が続くうえに、それぞれ個性が強いサーフェスなので、トップ選手にはスケジュール面でタフな時期になります。

愛称はない、これこそが「センターコート」だ

この会場のテニスコートには、他のグランドスラム大会会場のように、レジェンドたちの名前がついているわけではありません。
15,000人収容のメインコートの正式名称は「センターコート」。つまりこのセンターコートという言葉に、ウィンブルドンのメインコートを指す意味が含まれています。大会の正式名称もそうですが、テニスの母国としての自負と誇りが感じられますね。
2009年に開閉式の屋根が取り付けられました。ウィンブルドンのあるロンドンといえば、うす曇りと雨降る気候が有名。この屋根が設置される以前には、雨天による中断や延期と、それに伴いコートに防水カバーがかけられるシーンが恒例となっていました。このセンターコートは、1年のうちウィンブルドンが開催される2週間のみ使用されます。まさにテニスの聖地なのです。
センターコートに次ぐ2番目のコートにも特別な名称はなく、「No.1コート」という名前になっています。とはいえ1,1000人を収容する大きなコートで、ここで行われる試合はセンターコートに負けない盛り上がりを見せることも。2019年にはNo.1コートにも屋根が設置される予定です。また、これに次ぐコートも「No.2コート」「No.3コート」という名前がついています。
No.1コートのそばには丘があり、かつては「ヘンマン・ヒル」と呼ばれていましたが、同国のスター、アンディ・マレー選手の台頭により、この丘は「マレー・マウント」と呼ばれています。丘のふもとにパブリック・ビューイング用の大型モニターがあり、プレミアがつくウィンブルドンの観戦チケットを手に入れられなかったテニスファンは、この丘でくつろぎながら試合観戦を行うことができます。

ドレスコードは“白”―格式高い大会ならではの厳格さ

大会やコートの名前からも格式の高さを感じますが、ウィンブルドンにはもう一つそれを感じさせるルールがあります。それが服装規定。各種アパレルブランドのおしゃれなウェアを身に纏うイメージのテニス選手ですが、ここウィンブルドンでは、ウェアの色を白一色にするという決まりがあります。
試合本番だけでなく、練習中も白。デザインもボディラインや露出の多いものは禁止されています。シャツやパンツ、スコートだけでなく、足元はソックスやシューズ、帽子やバイザー、そしてリストバンドまで、白でなければいけません。
真っ白なウェアが、コート上を駆けまわるうちに徐々に芝の緑と土の色に染められていく……その光景は、この大会がテニス最高峰の舞台であることを実感できる美しいものです。
その他にも、シードに応じて割り振られるロッカールームが異なっていたり、過去大会でベスト8に入っていればスタンドに席が用意されるという「ラスト8クラブ」があるなど、ウィンブルドンはとにかく格式の高い大会なのです。

アメリカンテイスト溢れるスポーツの祭典―USオープン

グランドスラム4大大会で最後に開催されるのが、アメリカ・ニューヨーク市の郊外で毎年8月の最終月曜日から開催されるUSオープンです。USオープンは世界中で開催されるテニスの大会の中でも観客動員数がもっとも多く、またもっともエンターテイメント性にあふれた会場と言えます。
USオープンの会場は、ニューヨーク市郊外にあるフラッシング・メドウズ・パークという大きな公園の中にあるテニス施設、USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターです。
この施設名にもなっているビリー・ジーン・キングさんは、多くのタイトルを獲得したアメリカの伝説的選手というだけでなく、女子テニス協会(WTA)を設立した、まさに現代女子テニス界を築き上げた方です。

テニス×エンターテイメントの融合―アーサー・アッシュ・スタジアム

USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターのセンターコートは、なんと23,000人以上を収容できるアメリカらしい超巨大スタジアムで、その名も「アーサー・アッシュ・スタジアム」です。名前の由来となるアーサー・アッシュさんは、第1回USオープンの優勝者にして、黒人選手の先駆けとなった方でした。
このスタジアムはとにかくド派手な演出が特徴です。高さ50メートル以上のスタンドに2万人以上の観客が詰めかけるため、すごい熱気に包まれます。また選手入場やチェンジコート時には大音量でBGMが鳴り響き、スタジアムフードもバラエティ豊か。ウィンブルドンとは正反対のアメリカンスタイルのスポーツイベントとなっています。とはいえ、テニスはテニス。プレー中はお静かに。

伝説的ミュージシャンの名を持つセカンドコート

セカンドコートは1万人以上のキャパシティを誇る「ルイ・アームストロング・スタジアム」。スタジアム名の由来となったのはルイ・アームストロングさんですが、実は彼はテニス選手ではなく、世界的ジャズミュージシャン。ジャズミュージシャンがなぜスタジアム名に?と疑問に思われるかと思います。その理由はフラッシング・メドウズ・パークの歴史にあります。
この公園、過去に2回万国博覧会(ニューヨーク万博)の会場になっており、このスタジアムは多目的会場として建設されました。ミュージシャンのライブコンサート会場にも使用されていたスタジアム、アームストロングさんもコンサートを行っています。アームストロングさんは1971年に亡くなりましたが、彼の功績を称え、翌1972年にスタジアムにその名が付けられました。
その後も多目的会場として使われていたのですが、1978年にテニススタジアムに改修されます。それでもスタジアムの名称はそのまま残りました。こうした経緯で、ミュージシャンの名を冠するテニススタジアムが生まれたのです。

対照的な後半の2大会

2回にわたって4大大会の特徴と会場についてご紹介してきました。 最高峰の大会であるだけでなく、それぞれ非常に個性的な大会であることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
特に今回ご紹介したウィンブルドンとUSオープンは対照的です。ウィンブルドンは格式と伝統を重んじる聖地として、一方USオープンは歴史をリスペクトしつつエンターテイメント性を持つビッグ・イベントとして存在しています。
それぞれの大会にある歴史や楽しみ方、繰り広げられるテニスの特徴などを知って、よりテニスを楽しむきっかけとなれば幸いです。

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