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【4大大会の見どころ満載!】車椅子テニスのグランドスラム大特集

2017 4/5 18:49sachi
テニス
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出典 Alistair Scott/ Shutterstock.com

車椅子テニスでも、通常のテニスと同じグランドスラムが開催される。日本の国枝慎吾選手や上地結衣選手は、キャリア・グランドスラムの達成者。キャリア・グランドスラムとは、選手キャリアの中で4大大会すべてで優勝を飾る偉業のことで、それを達成した2人は世界で揺るぎない地位を確立している。 この記事では車椅子テニスのグランドスラムについて、その誕生や見どころ、注目選手などを紹介する。

車椅子テニス界にグランドスラムが誕生するまで

競技スポーツとしての車椅子テニスは、ブラッド・パークス氏とジェフ・ミネンブレイカー氏の手によって1976年に誕生した。アメリカ国内での普及から国際普及へとステージは広がり、パラリンピックの実施種目に採用されたことで世界的な認知度を高めていく。
1992年にはNEC車椅子テニスツアーが発足した。現在はITF(国際テニス連盟)が公認する国際ツアーの総称で、発足当時は11しかなかった大会数が現在160以上にまで増加し、それらが7つのカテゴリーに格付けされている。
この中で最上位に格付けされているのがグランドスラム、4大大会と呼ばれるトーナメントだ。車椅子テニスにおいては、全米オープンが2007年から、他の3大会が2009年からグランドスラムに格付けされた。

車椅子テニスの母国アメリカで開催される全米オープン

全米オープンと呼ばれる大会は、実は2つ存在する。より古くから存在するのは、1980年に創設された「USTA全米車椅子選手権」で、世界中で開催されている主要トーナメントで最も長い歴史を持っている。この大会は現在、グランドスラムに次ぐスーパーシリーズに格付けされている。
グランドスラムの全米オープンは、ニューヨークのフラッシング・メドウズで開催されている。大会自体は2005年に始まり、2007年から車椅子テニスで初のグランドスラムとなった。ただし開催時期がかぶるパラリンピックの開催年は中止される。男子と女子、クァードそれぞれでシングルスとダブルスが行われている。男子シングルスでは日本の国枝慎吾選手が最多優勝6回を誇る。

南半球で唯一のグランドスラム、全豪オープン

オーストラリアのメルボルンで開催される全豪オープン。4大大会で唯一の南半球が開催地となるトーナメントだ。
全豪オープンの歴史は長く、第1回大会は1989年に行われた。アメリカで生まれた車椅子テニスだが、最初の国際交流はオーストラリアだったとされている。
2002?08年まではスーパーシリーズの格付けで、2009年からグランドスラムに昇格した。また、2002?06年は全豪オープン車椅子テニスクラシックエイトという別の大会があったが、2007年からは両大会が統合されている。
男子シングルスでは自国の英雄デビッド・ホール選手と、通算8回の優勝を誇る国枝慎吾選手が際立った活躍を見せている。女子ではエステル・フェルヘール選手、J・グリフィオエン選手などオランダ人選手の優勝が目立っている。

栄光のローラン・ギャロスで開催される全仏オープン

フランス・パリ16区にあるブローニュの森、そこにはスタッド・ローラン・ギャロスがそびえ立つ。全仏オープンの開催地だ。
4大大会で唯一クレーコートを利用している全仏オープンは、テニスの世界で数々のドラマを生み出してきた。赤土のコートによる難易度、全コートに屋根がついていないという特殊性から、キャリア・グランドスラムへの最大の障壁とされている。
車椅子テニスの全仏オープンは2007年から正式に開催され、国枝慎吾選手は男子シングルスの初代王者に輝いている。国枝選手は4連覇を含め現在までに6度の優勝を果たし、2016年大会は新鋭のグスタボ・フェルナンデス選手が戴冠した。
女子では2014年大会で上地結衣選手が初優勝、この年にキャリア・グランドスラムを達成している。

ウィンブルドン選手権は新進気鋭のイギリス人選手たちが躍動

全英オープンには2つの大会があり、一般に全英オープンと呼ばれるのはノッティンガムで開催されるスーパーシリーズのトーナメントだ。また、グランドスラムに格付けされる全英オープンは「ウィンブルドン選手権」のことを指す。
ウィンブルドン選手権の歴史はまだ浅く、2005年に男子ダブルスのみでスタートした。2009年のグランドスラム昇格を受け女子ダブルスが新設、シングルスが加わったのは2016年大会からだ。
2006年大会では国枝選手と斎田選手のペアが優勝、国枝選手は2013?14年に連覇も果たしている。女子では上地選手がイギリスのジョーダン・ホワイリー選手とのペアで2014?16年大会を3連覇している。
2016年大会は男子のゴードン・リード選手がシングルスとダブルスを制覇、ダブルスのペアは同じイギリス人のアルフィー・ヒューエット選手だった。

まとめ

車椅子テニスの世界ではまだ歴史の浅い4大大会、その歴史や特色などについて紹介した。 このツアーが長い歴史を持った時、その初期にキャリア・グランドスラムを達成した日本人選手を改めて誇りに思うのかもしれない。