基本ルールやプレー動作による観戦ポイント
車椅子テニスといわゆる通常のテニスとは、自分の足で動くか車椅子で動くかという点で大きく異なる。車椅子テニスの選手は下肢に障がいがあるため、当然自分の足で自由に動き回ることはできない。ただし、移動時のみ片足を接地させることは許されている。
足代わりとなっている車椅子は、競技用に作られた特殊なもので、各選手のチェアワーク(車椅子の使い方)には目を奪われる。まるで体の一部に見えるほど、細かい動きまでスムーズかつ自在なのだ。何よりもそこが車椅子テニス最大の観戦ポイントだろう。
また、車椅子テニスでは2バウンド制がルールとして認められているが、選手のレベル向上に伴い、トップクラスの大会で2バウンドの返球はあまり見られなくなっている。
「選手に全力を尽くしてもらう」という意識に立った観戦マナーを
結論から言うと、車椅子テニスに独自の観戦マナーというものは存在しない。ただし、それは観戦マナー自体が存在しないということではない。車椅子テニスの観戦マナーは、通常のテニスにおける観戦マナーと同じであるといえる。
テニスではサーブに入る前から歓声は止み、どちらかにポイントがつくまで静かな状態になる。拍手をしたり応援の声を上げられるのはポイントがついた後の数秒から、長くても10秒ほどの間だけだ。それ以外で音を立てることは選手の集中を乱す行為につながるため、マナー違反とみなされる。
つい応援に熱が入りすぎるという場合でも選手の立場を最優先に考え、また周囲の観客に迷惑をかけないためにも、「選手が全力を尽くす試合を楽しむ」という意識で観戦する事をおすすめする。
車椅子テニス観戦時に準備しておきたいもの
観戦をするのに持っていきたいものとしては、日焼け止めや帽子などの日よけ用品、水分補給になる飲み物、サイン色紙やペン、カメラといったあたりで、これも通常のテニス観戦時と特に変わらない。ただ、それぞれの使用時はマナーや気遣いに注意しよう。
選手のプレー中に観客が音を立てたり動き回ったりするのは、明らかなマナー違反だ。軽食の持ち込みは許されるケースも多いだが、音がするような固い食べ物などは避けるべきだ。
カメラについても消音、そしてフラッシュが点灯しないよう設定しておこう。自席以外での撮影やビデオカメラによる撮影は禁止だ。
観戦時の服装だが、ドレスコードを気にする必要はない。ただし、光を反射するような素材の装飾品などは控えた方がよいだろう。
障がい者スポーツの祭典、パラリンピックは車椅子テニス最高峰の大会
4年に1度、五輪の直後に開催されるパラリンピック。さまざまな障がい者スポーツにとってパラリンピックは最高峰となる大会で、同様のことが車椅子テニスにも当てはまる。
パラリンピックに車椅子テニスが採用されたのは1988年ソウル大会。パラリンピックが正式名称に認められたこの大会で、車椅子テニスは公開競技として登場し、好評を博した。1992年バルセロナ大会からは正式競技として男子と女子、クァードの3クラスが行われている。
2016年のリオ大会では各国の優秀な選手たちが覇権を競い、観衆も多いに盛り上がった。そして、次回開催はいよいよ東京だ。今や世界中に浸透した車椅子テニスは、さらにレベルアップした姿を日本で披露してくれるだろう。
車椅子テニスでも開催される、世界の4大大会とマスターズ
テニスの主要な世界大会としては、全米・全仏・全英・全豪の4大オープンと、ATPポイント1000のワールドツアー・マスターズが有名だ。これらは車椅子テニスにも存在し、発展、拡大を遂げながら現在まで続いてきた。
グランドスラムの格付けにあたる4大大会は、ニューヨークで開催される全米オープンとローラン・ギャロスで行われるる全仏オープン、メルボルン・パークが会場の全豪オープン、「ウィンブルドン選手権」とも呼ばれる全英オープンだ。
車椅子テニスのマスターズ(世界選手権)は、男女それぞれのシングルスにおける世界ランキングでトップ8の選手のみ出場資格が得られる大会だ。1994年から開催され、オランダのアイントフォーヘン、アメルスフォールト、アムステルダムと開催地が変わり、その後はベルギー、アメリカと移り、2014年からロンドンで行われている。
まとめ
車椅子テニスの特徴や観戦マナー、世界大会の開催地などを紹介した。
メジャーな大会は海外で行われることが多いので、現地まで観戦に行くのは大変かもしれない。
ただ、日本でもジャパンオープンが開催されるし、2016年は世界国別選手権が東京で開催された。
ぜひ一度、車椅子テニスの興奮や感動を会場で味わってみてほしい。