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【Tリーグ】男子は木下マイスター東京と琉球アスティーダが最終決戦へ

卓球TリーグⒸT.LEAGUE
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三つ巴の争いとなったプレーオフファイナルの切符争い

卓球Tリーグはレギュラーシーズンが終了し、プレーオフファイナル進出の2チームが決まった。男子は木下マイスター東京、琉球アスティーダ、T.T彩たまの3チームが最後まで激しく争い、木下マイスター東京と琉球アスティーダがプレーオフファイナル進出を決めた。

レギュラーシーズンの結果は以下の通り。

1位 木下マイスター東京 勝ち点47
2位 琉球アスティーダ  勝ち点39
3位 T.T彩たま     勝ち点38
4位 岡山リベッツ    勝ち点23

木下マイスター東京、琉球アスティーダはともに最終戦で切符を獲得した。最後まで分からない白熱したレギュラーシーズンだった。

木下マイスター東京は個の力に加えて田添健汰中心のダブルスで連覇を狙う

1番乗りでプレーオフファイナルへの切符を獲得したのは木下マイスター東京。今シーズンは、主将の#0水谷隼や#17張本智和、#66ホウ・エイチョウといった昨シーズンのメンバーに、#28丹羽孝希や#17宇田幸矢を加えて、圧倒的な個の力でリーグを引っ張っていくものと思われた。

しかし、水谷、張本、丹羽は東京オリンピック代表選考も兼ねたワールドツアーに参戦していたため、シーズン開幕戦で3人揃って出場して以降、再び顔を合わせたのはオリンピック選考が落ち着いた1月25日。水谷は腰痛も抱えていたが、チームは首位をキープしていた。

主力選手が不在で、木下マイスター東京は層の厚さを見せつけた。まずはダブルスで11勝4敗の好成績を残した#7田添健汰。昨シーズンはダブルスで勝利が出来ず、水谷や張本のシングルスで勝ちを掴むことが多かった。しかし、今シーズンは田添健汰を中心にダブルスを構成し、課題のダブルスで勝利できるようになる。「元々ダブルスがうまいので、今シーズンからダブルスの練習を多くさせていた」と邱建新総監督はダブルスのキーマンとしていた。

「第1マッチのダブルスで勝てるようになると楽になる」と邱総監督が話す通り、ダブルスの勝利がチームに大きな影響を与えている。実際、試合後のインタビューで勝因を「ダブルスで勝ったこと」と答えるほどだ。そして、今年の全日本選手権を制した宇田幸矢とのダブルスは6勝2敗。一時はこのペアで6連勝を達成するなど、チームの勝ちパターンとなっていた。プレーオフファイナルではどのようなダブルスで挑んでくるのか注目したい。

もう一人は、カットマンのホウ・エイチョウ。主力選手がツアーで不在の中、ホウは次々に勝ち星を重ねて、12月までの前半戦では10勝し前期ノジマMVP賞を獲得。重さのあるカットに意表をつくフォアドライブの組み合わせで、他チームの日本人選手の壁にもなってきた。「まだまだ伸びしろがある」と6月に40歳を迎えるベテランは、チームに大きな活力を与えた。

そして、後半戦は水谷、張本、丹羽が戻ってきて、オーダーからも威圧感が感じられる。本番では、ホウも含めて4人のうち1人はシングルスに出場できないという状況ではあるが、誰が出てきても脅威であることは間違いない。

木下マイスター東京Ⓒマンティー・チダ

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昨シーズン4位から躍進の琉球アスティーダは多彩なオーダーで王者に挑む

もう1枚の切符は、琉球アスティーダが獲得した。最終戦の16日T.T彩たま戦で逆転勝利し、両国行きを決めた。しかも、第2マッチまでT.T彩たまにリードを奪われ、第3マッチでも第5ゲームで一度はT.T彩たまリアム・ピッチフォードに最終決戦行きの王手をかけられていたが、#2有延大夢が3連続得点で逆転し、チームのピンチを救う大仕事をやってのけたのだ。

その後、第4マッチでは主将#1吉村真晴、ビクトリーマッチは#91ジュアン・ジーユアンが勝利し、Tリーグ史上歴史に残る大激戦を制する。

琉球アスティーダは、昨季最下位に終わったことを受けて、体制を一新した。監督にはコーチ兼選手だった張一博が就任。選手についても韓国のカットマンである#20チュ・セヒョク、世界選手権混合ダブルスを制した経験をもつ#11リ・ピン、日本人ではT.T彩たまから移籍してきたリオデジャネイロオリンピック団体銀メダルメンバーの吉村真晴、全日本選手権ダブルス準優勝の実績を持つ#10木造勇人(愛知工業大学)が加入し、昨シーズンからのメンバーでもある#2有延大夢、#7村松雄斗、ジュアンと一気に選手層が厚くなった。

ダブルスにおいては、多彩なペアリングが可能になった。リ・ピンを中心としたオーダーに加え、吉村/木造ペア、セヒョクと村松のカットマンペアと多種多様だ。相手チームにすれば、どういうペアで出てくるのか予測しづらく、琉球は優位に立つことが出来ていた。シングルスにおいても張本や丹羽にカットマンを当てるなど、意表を突いたオーダーを組むことで勝利を掴んでいく。選手起用においても、チームで相談できる環境が整っていた。最終戦では、元々ベンチメンバーに入っていなかった有延の起用を吉村が進言し、それが採用されていた。この進言が無ければ、最終戦の逆転劇は生まれていなかったかもしれない。それだけチームの風通しが良いようだ。

これらを考えると、ファイナルのオーダーを比較的読みやすい木下マイスター東京に対し、琉球アスティーダはどういうオーダーで臨んでくるのかわかりづらいというのも厄介なところだ。こうして勝ち残った2チームが両国国技館で2代目王者をかけて臨む。実績では木下マイスター東京かもしれないが、レギュラーシーズンで琉球アスティーダは木下マイスター東京をストレートで下したこともあった。流れ一つで大きく展開は変わる。つまり、どちらのチームが1点にどこまで執着できるのかが勝負の鍵だろう。

琉球アスティーダⒸマンティー・チダ

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