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【Tリーグ】歴史に残る激闘制した早田ひな 初代女王に日本生命レッドエルフ

卓球,Tリーグ,日本生命レッドエルフ, 早田ひな,木下アビエル神奈川,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

初代王者は、男子が木下マイスター東京、女子は日本生命レッドエルフ

ノジマTリーグは3月17日にプレーオフファイナルを両国国技館で迎えた。男女同日開催で、13時から男子ファイナル、18時から女子ファイナルが行われた。

レギュラーシーズンでも2000人を超えることがあったが、ファイナルは2試合とも5000人を超えるファンが詰めかけ、応援合戦も過熱。松下浩二チェアマンも「開幕戦は80点と言ったが、ファイナルは100点をあげても良い」と評価するほど盛大に終了し、初年度としては上出来だろう。改めて、決勝の結果を振り返っておきたい。

男子は、木下マイスター東京が、ダブルスに強い岡山リベッツを相手にシングルスで全勝。マッチカウント3-1で勝利した。女子は、ヴィクトリーマッチまでもつれ込む大接戦となり、早田ひなの活躍で日本生命レッドエルフが木下アビエル神奈川を振り切り、初代女王の座に就いた。

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MVPは、男子が水谷隼(木下マイスター東京)、女子は早田ひな(日本生命レッドエルフ)。 シーズンベストペアは、男子が上田仁・森薗政崇(岡山リベッツ)、女子は常晨晨・蒋慧(日本生命レッドエルフ)が受賞した。

Tリーグで急成長を見せた選手たち

日本で初めて卓球のプロリーグとして行われたTリーグ。選手たちは海外遠征や実業団、全日本選手権など様々な公式戦と並行して、リーグに参戦していた。トップ選手にとってみれば、地元日本でレベルの高い試合を経験できるメリットがあり、緊張感の高い状態を続けることができた。そして多くの選手が成長を遂げた6か月でもあった。

その中でも、男子は平野友樹(T.T彩たま)、今春の世界選手権に日本代表として選出された吉村和弘(岡山リベッツ)など、これまであまり目立たなかった選手たちの躍進があり、女子は何と言ってもTリーグシングルス負けなしの早田が代表格として名前が挙がる。そして、ファイナルの舞台で、早田は歴史に名を残す活躍を見せてくれた。

伊藤美誠、平野美宇と共に「黄金世代」と呼ばれる早田ひな

昨秋のTリーグ開幕前に、これまで女子卓球界を引っ張ってきた「愛ちゃん」こと福原愛が現役引退を表明した。引退会見で「選手として一区切りをつけようと思ったきっかけは、私が選手として盛り上げなくても、もう卓球界は大丈夫だと思えたことも大きかったです」とコメントを残し、次世代に有望株が揃ったことで引き際を決断した。

伊藤美誠はリオ五輪女子団体で銅メダルを獲得し、1月に行われた全日本選手権では2年連続3冠(シングルス、ダブルス、混合ダブルス)を果たすなど、名実ともに日本卓球界のエースと言っても良い存在になった。

平野美宇はワールドカップやアジア卓球選手権、2017年の全日本選手権優勝を経験している。今季のTリーグにおいては、日本生命レッドエルフで早田と2大エースを形成していた。

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そして早田は、身長166㎝と女子卓球選手としては長身で、体格を生かしたフォアハンドドライブは強烈だ。ただこれまではシングルスよりはダブルスで、伊藤美誠とペアを組み、世界でも結果を残していた。

ファイナルでは袁雪嬌(木下アビエル神奈川)と激闘

Tリーグシングルスを無敗で迎えた早田は、ファイナルで第3マッチに登場した。相手は袁雪嬌(木下アビエル神奈川)。木下アビエル神奈川では、石川佳純に次いでシングルス2位の14勝を挙げている。準エースと言っても過言ではない。レギュラーシーズンでは1回対戦経験があり、その時は早田が勝利しているが、フルゲームまでもつれ込む大接戦だった。

そして、ファイナルでは1マッチずつ取り合った状況で登場。日本生命レッドエルフとしては、第2マッチで平野が敗れており、木下アビエル神奈川には第4マッチに石川が控えているということで、早田としては絶対に負けられない状況だった。

第3マッチはお互いに2ゲームずつ獲得し、勝負の行方は第5ゲームまでもつれ込んだ。6-6からの戦いで、壮絶な展開になっていく。

袁が出だしからペースを握り、10-7と早々にマッチポイントを獲得する。しかし、早田は得意のフォアハンドを強烈に叩き込むなど10-10まで盛り返し、デュースに持ち込んだ。袁が11点目を獲得すれば、早田も取り返す。今度は早田が12点目でリーチをかけるが、袁もラリーを制して再び同点に。お互いに一歩も引かず17-17までもつれ、そこから早田が連続で得点し第3マッチを制した。

第4マッチは、石川佳純が苦しみながら勝利し、マッチカウントは2-2。ヴィクトリーマッチで初代女王が決定することとなった。

ここで早田は再び登場。相手も第3マッチで激しい戦いを繰り広げた袁。会場のボルテージは最高潮に。

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「0-0のつもりで戦った」と振り返る早田が、出だしからフォアハンドを決めて、ペースを握った。途中、袁のバックハンドカウンターで3-4と逆転を許したが、バックハンドを挟み、ネットインでの得点もあり、8-6とリードして終盤を迎えた。

タイムアウトを請求した木下アビエル神奈川ベンチ。しかし早田には関係なかった。激しいラリー戦を繰り広げ、フォアハンドドライブで2連続得点し、10-7と先にチャンピオンシップに王手。最後は袁のネットミスで試合終了。早田が第5マッチを制し、日本生命レッドエルフは初代女王の座に輝いた。

「第3マッチの方が緊張した」早田ひな

早田は3月2日に行われた世界選手権日本代表選考会の準決勝で加藤美優(日本ペイントマレッツ)に敗れていた。今季の躍進から最終選考会を突破すると思われていたが、残念ながら突破することはできなかった。ゲームカウント3-3までもつれ込み、最終ゲーム10-5からの大逆転負けだった。(※後に世界選手権女子ダブルスで代表選出)

「だいぶ落ち込んでいた。しかし、立て直して本当に苦しいところをくぐり抜けてくれた」と日本生命レッドエルフ・村上恭和監督は早田を評価。

「声が枯れるぐらい応援した。格好良かったし、本当にありがとうございますと思えるぐらい頼もしかった」とベンチで見守っていた平野はライバルを称賛する。

そして、早田は「第3マッチの方が緊張した」と語った。「何度もマッチポイントを握られていた。第4マッチに石川が控えているので、私が負けたら1-2になり、第4マッチに出場する前田にプレッシャーがかかり、厳しい戦いになる事が予想できた。ここで絶対1マッチを取り、2-1にしてヴィクトリーマッチに回すか、3-1で勝たないとと優勝はないと思っていた」と振り返る。

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「第5マッチは何も考えずにゼロの状態で入れたので、緊張もしなかった。冷静に強気な試合ができた」と初代女王が掛かった大一番になった時は、もう平常心だった。そして、世界選手権日本代表選考会の敗戦は、ファイナルのヴィクトリーマッチで生かされていた。「選考会で先にマッチポイントを握って敗れたことは後悔しかなかった。10-6になって『やっと来た』と思って、ここで絶対勝って悔しさを晴らしてしまおうと考えて、結果11-7で勝利できた。少し成長したかなと思う」と振り返った早田は、選考会のリベンジを大事な局面で果たした。

第3マッチ、そしてヴィクトリーマッチで結果を残したことは、今後の競技生活に大きなプラスとなるだろう。世界選手権女子シングルスの代表は逃してしまったが、2020年東京オリンピックに向けて大きな一歩を踏み出したことに間違いはないだろう。

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