段違いの強さ!競泳最強国アメリカ
競泳で強い国と言われてまず思い浮かべるのがアメリカ合衆国。リオ五輪終了時までの競泳の金メダル獲得数は合計246個という驚異的な数字を誇っています。加えて、銀メダル172個、銅メダル135個で、すべての獲得メダル数を合わせると553個。
その秘密は、アメリカが持つ高いレベルの水泳指導技術にあります。また、世界各地から一流の選手が集まるという環境も要因となっています。
競泳のメダルラッシュに貢献したマイケル・フェルプス選手のコーチは「プレッシャー・シミュレーション」という方法を取り入れていました。これは、週に3回か4回、他の選手とタイムを競わせるなどして、わざと選手がいやがる状況で練習させるというものです。
これによって選手はストレスへの抵抗力を高め、好ましくない状況を乗り越える力を養っていくのです。
国民が日常的に水泳に親しむオーストラリア
オーストラリアも近年メダルを多く獲得している国のひとつで、とくに最近ではアメリカの次に強い国と認識されています。
オーストラリアの金メダル獲得数の合計は60個。銀メダル64個、銅メダル64個と合わせて合計188個にのぼります。
オーストラリアは国民が日常的に水泳に親しんでいるという背景があります。プール施設が朝5時という早朝から営業しており、仕事前にひと泳ぎする人も多いのだとか。また、水泳の研究も盛んに行われるとともに、選手の育成システムがとても整っていると評価されています。
水球王国ハンガリーは競泳でも強い
ハンガリーは小さな国ですが、水球は世界トップクラスです。その強さは、日本の水球選手が留学に行くほどです。国内に温泉が多く、それを利用した温泉プールが身近にあるという環境で、子どもの頃から水泳や水球に親しんでいるのです。
また、ハンガリー国内にあるバラトン湖は、日本の琵琶湖ほどの大きさで、湖を横断する遠泳大会が毎年開かれています。この遠泳大会に出場していた選手が転向し、平泳ぎや個人メドレーでメダルを獲得しています。
ハンガリーのメダル獲得数は金28個、銀25個、銅20個で合計73個です。
選手個人から「チーム力」へ!日本競泳の強さ
日本には、競泳が強かった時期とあまりふるわない時期とがありました。アトランタ五輪でメダル獲得が叶わなかった日本。その後採った戦略は、選手個人を中心に据えた育成から「チーム力」を重視した育成システムへの転向でした。
「チームジャパン」の意識で選手もコーチ陣も取り組み、選手はチーム内での自分の役割を認識しながら練習することができたといいます。同時に、チームにさまざまなコーチがいることで、多角的な指導も可能となりました。この転換が功を奏し、北島康介をはじめ多くの選手がメダルを獲得しました。
リオ五輪終了時点での日本のメダル獲得数は、金22個、銀26個、銅32個で合計80個となっています。
公的機関「UKスポーツ」設立で選手を支援!イギリスの取り組み
イギリスは伝統的にボート競技や自転車競技でその存在感を見せつけています。しかしかつて好成績を残せなかった時期があり、その対策として1997年に「UKスポーツ」という公的機関が設置されました。リオ五輪・パラリンピックのための強化にも、日本円にして約450億円を投じるなどして、選手を支援してきました。
イギリスのメダル獲得数は、金メダル16個、銀メダル28個、銅メダル30個。合計で74個と、日本やハンガリーに次ぐ数を獲得しています。
イギリスが競泳で強いもうひとつの理由として、選手やコーチのマネジメント能力が高いことも挙げられます。現状の課題とその克服の仕方、新しい目標の設定などがとてもうまいのです。また、「UKスポーツ」の下で最新の理論や技術が競技に応用されていることも要因のひとつです。
まとめ
競泳で強い国と言われる各国には、その強さの理由や文化・環境といった背景があります。
そして、コーチと選手の関わり方もとても重要なのです。選手たちがさまざまな支援を受けてあの試合の場に立っていると思うと、「がんばれ!」の中にたくさんの想いが詰まっていることがわかります。