人類の歴史と競泳の始まり
水の中を泳ぐ運動としての水泳は、古くから食料を得るために行われる活動として普遍的に行われていた。起源は定かではないが、人類が二足歩行を始めた頃から生活に必要不可欠な行動なのでまさに水泳の歴史は人類の歴史と共に始まったと言えるかもしれない。
決められた距離を泳ぎ切るタイムを競う運動として、古代の人々の間でも盛んに行われていたようだが、陸上競技がメインだったオリンピックの前身といえるオリュンピア大祭(古代オリンピック)の競技種目としては定められていなかった。
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オリンピック、パラリンピックでも注目される花形競技である競泳。 今夏開催されたリオデジャネイロオリンピックでは、日本の選手が男女ともにメダルを獲得して話題になった。 そんな競泳をもっと深く知っていただくためにも、今回は競泳の歴史について紹介したいと思う。
水の中を泳ぐ運動としての水泳は、古くから食料を得るために行われる活動として普遍的に行われていた。起源は定かではないが、人類が二足歩行を始めた頃から生活に必要不可欠な行動なのでまさに水泳の歴史は人類の歴史と共に始まったと言えるかもしれない。
決められた距離を泳ぎ切るタイムを競う運動として、古代の人々の間でも盛んに行われていたようだが、陸上競技がメインだったオリンピックの前身といえるオリュンピア大祭(古代オリンピック)の競技種目としては定められていなかった。
スポーツというより、走ったり歩いたりする身体運動のひとつに過ぎなかった水泳だが、19世紀の産業革命後はその姿が変わっていく。祭事や娯楽の意味合いの強かったスポーツの概念が近代化し、イギリスの上流階級の青少年たちによって学校対抗で泳ぐ速さを競うスポーツとして競泳が誕生した。
世界の水泳大会は、イギリスのロンドンにあるハイド・パークで1837年に開催された。これが競泳の歴史の始まりとなる。
記念すべき第1回のオリンピックは1896年にギリシャのアテネで開催された。競泳はこの第1回大会から競技として登録された。種目は水夫による100m自由形1種目のみ、競技を行う場所は専用のプールではなく港だった。
女性の参加は16年後の1912年、第5回のストックホルム大会からだった。種目も増え、100m自由形、400mチーム、ダイビングの3種目になった。
ちなみに、過去に一度も競技種目から外されることなく行われている競技は、競泳の他には陸上、体操、フェンシングの3つだけだ。
競泳は、道具を使わず身体運動のみによってタイムを競うシンプルなスポーツだが、ターンの技術力なども問われる奥深い競技だ。
主な種目は男女それぞれ自由形・平泳ぎ・背泳ぎ・バタフライの4種類と、これらを順番に泳ぐ個人メドレーやメドレーリレーなどがある。
バタフライという泳法は平泳ぎから派生し、1956年のメルボルン大会から独立した種目となった。
また、パラリンピックでも正式競技とされており、障がいの種類や程度などによってクラス分けされ、そのクラスごとに競技を行う。
周囲を海に囲まれ、内陸部にも流れの速い河川が多い日本では、とりわけ水泳は馴染みのある運動だった。 古くから独特の水泳法である「日本古流泳法」があり、その中に流派がいくつもある。水中での格闘技術や、戦の際の馬上水練をはじめ、水場での戦闘を想定した立ち泳ぎでの武器の取り扱いは、武士にとって重要な嗜みでもあったようだ。 ただし競泳として浸透するのは明治維新以降で、西洋文化と共に欧米のスポーツが入ってきたのがきっかけだった。
人類の歴史と共に始まった水泳・競泳の歴史を紹介した。 これからも、伝統と共に進化し続ける競泳から目が離せない。 競泳を観戦される際には、ぜひ紹介した競泳の歴史にそっと思いを馳せてみて欲しい。