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稀勢の里、白鵬と三番稽古で七月場所での復活目指す

2018 7/4 07:00SPAIA編集部
大相撲,稀勢の里,ⒸShutterstock.com
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白鵬と2017年春場所以来の三番稽古

7月場所を1週間後に控えた7月1日、稀勢の里は愛知県内の神社で土俵入りを披露したが、稽古は行わずに休養をとった。2日は横綱白鵬と2017年春場所前以来の三番稽古。10番取って稀勢の里が2勝8敗と負け越したが、「目覚めた感じはしますね」と充実した表情で語った。

新横綱で迎えた2017年3月場所、稀勢の里は日馬富士との戦いで左大胸筋や左上腕を負傷。けがを押して出場を続け、照ノ富士との優勝決定戦を制して2場所連続優勝を果たした。しかし、翌場所以降は後遺症をはじめ左足首や腰も痛めてしまい、途中休場も含めると7場所連続で休場している。

場所前になると稀勢の里の状態に関する報道が集中する。「今場所はいけるかもしれない」「状態は良くなった」というポジティブな発言があり、ファンの期待は膨らむ。しかし、ふたを開けてみると休場、あるいは黒星スタートで負けが込んで途中休場してしまう。

5月場所前にも、平幕の栃煌山と11番をこなして「1日1日充実している」と語ったが、直前に「左大胸筋痛で約1カ月激しい運動を制限する」との診断で休場を発表する。

6月15日の稽古では、同じ田子ノ浦部屋の大関高安を相手に9勝2敗という成績を収めた。高安も左上腕三角筋部分断裂で5月場所を休場したため本調子ではない可能性もあるが、稀勢の里が復調に向かっていると考えられる。

進退を問われる7月場所

7月場所で稀勢の里の雄姿は見られるのだろうか。全休とはいかなくても、初日に黒星が先行して途中休場に追い込まれる可能性もある。

稀勢の里が5月場所を休場することが発表されたとき、元横綱で大相撲解説者の北の富士勝昭氏は理解を示した。5月場所は休場して、次の7月場所で進退をかけて戦うべきという見解だ。横綱審議委員会の北村正任委員長も、7月場所の結果次第では進退を問う意向を示している。

怪我の状態だけでなく精神的にも大きなプレッシャーが掛かる稀勢の里。本来の力を発揮することは難しいかもしれない。

怪我をしても、休場しても愛される稀勢の里

土俵に上がることすらできなくても、稀勢の里は飛び抜けた人気を誇っている。経済面においても、懸賞金やクッズなど稀勢の里効果は計り知れない。たとえ休場しても、相撲関連グッズで売れるのは稀勢の里の商品ばかりだという。稀勢の里という存在を失うことは、日本相撲協会にとって大きな痛手であることは間違いない。

いくら金星を与えてしまっても、優勝争いに加われなくても、稀勢の里には堂々と土俵に立ってほしいと多くのファンが願っている。横綱昇進前の「一番一番集中する」相撲ができれば、自然と好成績を残して優勝争いに加わることができるはずだ。7月場所でその雄姿が見られることを期待したい。