新大関誕生
5月30日、日本相撲協会臨時理事会の満場一致で栃ノ心の大関昇進が決まった。5月場所までの3場所で大関昇進の目安となる33勝を上回る37勝を挙げていただけに、誰もが納得の昇進だ。 昇進までの所要60場所は史上最多タイのスローペースではあるが、5月場所の内容からは横綱昇進も夢ではない。そんな栃ノ心が横綱昇進を果たすことができるか、気が早すぎるかもしれないが、その目安とともに考えたい。
5月30日、日本相撲協会臨時理事会の満場一致で栃ノ心の大関昇進が決まった。5月場所までの3場所で大関昇進の目安となる33勝を上回る37勝を挙げていただけに、誰もが納得の昇進だ。 昇進までの所要60場所は史上最多タイのスローペースではあるが、5月場所の内容からは横綱昇進も夢ではない。そんな栃ノ心が横綱昇進を果たすことができるか、気が早すぎるかもしれないが、その目安とともに考えたい。
5月場所、26度目の対戦にして初めて白鵬を破った栃ノ心。取組は力と力がぶつかる長い相撲となったが、がっぷり四つから白鵬を寄り切った。真正面から白鵬と戦えるパワーは早くも綱とりを期待させる。
しかし、大関から横綱への道はやはり険しい。今まで横綱になった力士は72人いるが、大関止まりの力士は194人いる。大関になっても約73%は横綱になれないのだ。もちろんその多くが横綱を期待されていた。稀勢の里のように31場所(約5年間)大関から上がれないという例もある。それだけこの二つの地位には隔たりがあるのだ。
一方でこんなデータもある。それは横綱昇進後の白鵬に連勝した力士達の最終番付だ。
白鵬は平成19年7月場所に横綱デビューしたが、そこから今日まで連敗を喫した力士がわずか8人しかいない。(休場は除く)
日馬富士、朝青龍、稀勢の里、琴奨菊、琴欧州、鶴竜、豪栄道、嘉風だ。相撲ファンでなくても1度は耳にしたことがある力士ではないだろうか。この中の4人が横綱まで上り詰めている。
栃ノ心の大関昇進の決め手として白鵬戦が挙げられたように、最多勝利や全場所優勝などの記録を持つ大横綱と対等以上に渡り合えることへの評価は非常に高い。さらに連勝できれば、横綱審議委員会が横綱を任せられる力があると判断してもおかしくない。
しかし、白鵬の勝利への執念は凄まじい。土俵に上がる以上、横綱は勝利以外が許されないことを誰よりも自覚している。来場所、白鵬は一切の油断なく、あらゆる手を使って栃ノ心を打ち負かそうとするだろう。それは、これまで連勝力士が少ないことからもうかがえる。
5月場所で白鵬を破った栃ノ心にとって、7月場所の対戦は今後の試金石となるだろう。
最後に栃ノ心が横綱になる条件だが、大関となり2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績を収める必要がある。「それに準ずる」というのはあいまいな表現だが、準優勝や優勝決定戦などが「それ」にあたる。
最も早く大関から横綱へと昇りつめたのは、第35代横綱双葉山と第38代横綱照國の2人。
双葉山は大関になって2場所続けて全勝優勝し、大関在位わずか2場所で文句なしの横綱昇進を果たした。照國は大関昇進後12勝3敗で優勝し、その次の場所では13勝2敗で準優勝だったが、同じく大関在位わずか2場所で横綱昇進を決めた。
30歳の栃ノ心。「まだ30歳。まだまだこれから!」という姿を見せ、日本と故郷ジョージアにさらなる希望と感動を届けてほしい。