なぜ座布団を投げるのか?
座布団投げは、横綱が格下力士に負けることから起こる。観客としては、横綱を見事に打ち負かした格下の力士を労うという意識から座布団を投げることもあれば、勝って当たり前だと思っていた横綱に対する落胆の気持ちから座布団を投げることもある。 大番狂わせが起こった時は、会場全体が興奮しているので、勝負が決まった瞬間にその興奮を座布団にぶつけているようだ。テレビなどで座布団投げの様子を見ていると、会場の興奮が伝わってくるが、現在は危険行為ということで禁止されている場合が多い。
Ⓒゲッティイメージズ
大相撲の座布団投げは、一般的に格上の力士(主に横綱)が格下の力士に負けた時に行われる行為で、観客が自分の座っていた座布団を土俵に向かって投げ入れる。 多数の座布団が宙を舞う様子は、テレビでもよく取り上げられていた。 今回は、そんな大相撲の座布団投げについて紹介する。
座布団投げは、横綱が格下力士に負けることから起こる。観客としては、横綱を見事に打ち負かした格下の力士を労うという意識から座布団を投げることもあれば、勝って当たり前だと思っていた横綱に対する落胆の気持ちから座布団を投げることもある。 大番狂わせが起こった時は、会場全体が興奮しているので、勝負が決まった瞬間にその興奮を座布団にぶつけているようだ。テレビなどで座布団投げの様子を見ていると、会場の興奮が伝わってくるが、現在は危険行為ということで禁止されている場合が多い。
座布団投げは、基本的に格下力士が横綱に勝った際に起こるが、他にも横綱同士の取組や、本場所の優勝者が決まった時の取組、名勝負と呼ばれるような取組で起きる場合がある。きちんとした決まりがあるわけではないので、観客が最高に盛り上がるような出来事が土俵上で起きた時に座布団投げも起きるという認識で間違いない。
過去には、行司が下した判断に対して物言いをつけている最中に座布団投げが起こるというケースもあった。行司の判定に観客も不満がある場合は、ブーイングの代わりに座布団を投げるということもあるようだ。
座布団投げは、元々は羽織投げと呼ばれる習慣に由来していると言われる。江戸、明治時代には観客が贔屓(ひいき)の力士が勝った際に土俵に羽織を投げるという習慣があった。その羽織には家紋や屋号が入っているため、拾った力士はその情報を頼りに羽織を持ち主に返しにいく。その時に、羽織の持ち主が力士にご祝儀を渡すというものだが、初代両国国技館が完成した際にこの羽織投げは禁止された。
そのような習慣を引き継ぎ、後に座布団を投げるようになったようだ。羽織投げの時代は、その行為自体が経済的に余裕がないとできないため、一種のステータスになっていたようだ。
現在、座布団投げは怪我の危険があるため基本的に禁止されている。館内アナウンスや取り組み表の注意書きなどで座布団投げの禁止が説明されているし、座布団も2枚や4枚を紐でつなげて簡単に投げ飛ばせないような工夫がされている。
しかし、大相撲では伝統的に座布団投げが行われてきたことから、完全に禁止することは難しく、座布団に工夫がなされていない場所では、いまだに座布団投げは行われているようだ。座布団投げ自体は見た目にも華やかなので、座布団投げを禁止するのではなく、当たっても怪我をしないような座布団の使用を求める声もあるようだ。
今ではあまり見ることのできなくなった座布団投げだが、座布団投げが起こる時は土俵上に必ずドラマがあった。 完全になくなってしまうのは少し寂しい気がする。