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誰でも分かる!大相撲八百長問題はこうやって起こった!

2016 11/15 19:42
大相撲
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Photo by Inked Pixels/Shutterstock.com

大相撲の八百長問題について3分で知りたいと思わないだろうか。 八百長問題の概要や処分内容、そして八百長がいかにして起きたか説明する。

大相撲八百長問題ってどんな問題?

2011年、大相撲界に衝撃が走った。テレビや新聞などのメディアでも大々的に取り上げられた「大相撲八百長問題」だ。現役の大相撲力士による、本場所での取り組みにおける八百長疑惑が持ちかかったのだ。
八百長自体は法に触れる行為ではないが、白星がお金で売買されていたということで、より大きな問題へと発展した。しかも、何十万円という大金が動いていたというから驚きだ。 力士同士がメールでやり取りをして、勝ち負けはもちろん、具体的な決まり手なども事前に打ち合わせをしていたそうだ。

2010年の野球賭博問題の捜査中に大相撲八百長疑惑が浮上

大相撲八百長問題が明るみに出たのは、前年の「大相撲野球賭博問題」の捜査がきっかけだ。捜査上で賭博に関与した疑いのある力士の携帯電話を押収してメールを調べていたところ、八百長に関するメールが発覚したのだ。
大相撲の八百長に関しては、兼ねてから噂されていた問題であり、週刊誌などが幾度となく報道してきた。それに対して相撲協会はその都度否定。訴訟を起こして相撲協会が勝訴したこともある。八百長問題が明るみに出た当初、相撲協会は一切の事実を否定していたが、力士が八百長を認める旨の供述をしている。

八百長問題を受けて、2011年の春場所が中止に

この大相撲八百長問題を理由に、2011年の春場所が中止になった。 本場所が中止になったのは、第二次世界大戦で破損した両国国技館の改修工事が間に合わなかった1946年の夏場所以来、実に65年ぶりのこと。今回の八百長問題のように不祥事が理由で中止になったのは、日本相撲の歴史において初めてのことだった。 さらに、2011年に予定されていた地方巡業がすべて中止になるなど、相撲界に与えたダメージはあまりにも大きなものとなった。

八百長に関与して名前が明らかになった13名中12名が十両の力士

八百長にかかわったとされる力士は14名とされていて、全員から聞き取り調査を実行した。さらに、十両以上の力士全員に対しても同様に聞き取り調査が行われたが、この時点で八百長を認めているのは、十両の千代白鵬、竹縄親方、三段目の恵那司の3名のみ。
八百長に関与したとされ、名前が明らかになっているのは13名なので、残りの10名は、聞き取り調査後もなお関与を否定している。今回の八百長に関与したのは、恵那司をのぞいて全員が十両の力士であることも分かっている。

十両の力士がお金を払ってでも白星を手にいれたい理由

十両と幕下の力士では、天と地ほど待遇の差がある。相撲界で関取と呼ばれるのは十両の力士から。幕下の力士は関取ではなく、“力士養成員”と称され、いわゆる研修生扱い。十両の力士であれば、毎月、日本相撲協会から月給で103万6000円を受け取ることができるが、幕下になると、毎月の給料ではなく、本場所ごとに支払われる手当て15万円のみ。本場所は奇数月のみの開催なので、年収はおよそ100万円ほど。十両の10分の1しか支給されない。
幕下の力士は、金銭面だけでなく、“力士養成員”として部屋の雑用はもちろん、大部屋で生活し、結婚が禁止に。さらに、チョンマゲの結い方や着物など、すべて格下げされてしまう。
是が非でも十両を死守したい気持ちから、大金をはたいてでも白星が欲しかった、それが八百長という最悪の行為を生み出したのだ。

八百長に関与した力士に対して2年の出場停止か引退勧告

発覚後に八百長への関与を認めた十両の千代白鵬、竹縄親方、三段目の恵那司の3名に関しては、情状酌量の余地ありと判断され2年の出場停止。それ以外の関与した力士に対しては、引退勧告がなされた。
当初は、除名や解雇などの厳罰処分も候補として挙がったが、これまで相撲協会が八百長に対する対応策を講じてこなかったことを理由に、引退勧告とした。しかし、引退勧告を受けた力士の中には、この時点でも八百長への関与を認めておらず、不服とする力士もいた。

まとめ

真剣勝負のスポーツにおいて、絶対にあってはならない八百長。しかし、十両と幕下の力士の待遇の差も、この八百長の裏にある問題といえるだろう。 だからといって、八百長をしてもいいという訳ではないが、八百長が起こる背景も改善しなければ、またいつか八百長問題が起こるかもしれない。