昨年はインターハイ・春高バレーの2冠を達成
昨年は黒後愛(現:東レアローズ)という絶対的な選手を擁し、インターハイ・春高バレーの2冠を達成した下北沢成徳高校。春高バレーでは前年度も優勝しており、これで2連覇となった。
しかし、新チームになり、迎えたインターハイでは準々決勝敗退。ベスト8という結果に終わってしまっている。その後10月に行われた国体でも5位。どちらも十分立派な成績であるのだが、彼女たちからすれば満足のいく結果ではないだろう。
しかし、まだ春高バレー3連覇の可能性は残されている。ここをしっかりと取って、1年をきれいに締めくくりたいところだ。今回は2018年春高バレーに向けて、下北沢成徳の注目ポイントを紹介しよう。
勝利のカギを握る2年生エース
下北沢成徳の鍵を握る選手は、やはり石川真佑だろう。昨年も1年生ながらレギュラーメンバーとして活躍。2年生になった今年は、エースナンバーである「背番号1」をつけて全国の舞台に帰ってきた。
実はインターハイ予選の直前に左足首を捻挫してしまったが、それでも試合に出場し続け、チームを都大会優勝に導いている。バレーにかける情熱や責任感は、人一倍強い。
兄は全日本でも活躍を見せている石川祐希(現:中央大学)、彼もまた愛知の星城高校時代からスーパーエースとして活躍し、圧倒的な存在感を放つ選手であった。
しかし妹の真佑も、バレーのセンスや勝負強さでは、全く引けを取っていない。今後の下北沢成徳のみならず、女子バレー界を背負って立つ逸材だ。2020年の東京オリンピックでも、注目すべき選手の1人である。
恵まれた環境の中で肉体的・技術的に成長
昨年の春高バレーのときは身長は172cmほどであったが、それ以上に体格が大きくなってきた。厳しい練習の中で、筋肉がついてきたのだろう。
下北沢成徳は体育館を他の部活と共有で使っている分、ランメニューや体幹・ウエイトトレーニングにかなりの時間を割いている。石川も、この環境の中で相当鍛えられたようだ。
体幹が安定すれば、空中でも姿勢が崩れることがなく、今までも十分強烈だったサーブやスパイクがさらに強さを増していく。ランメニューで体力もつき、最終セットでも高さは落ちない。
もともとコースを狙ったスパイクはかなりのレベルであったが、その武器にさらに磨きがかかったようだ。彼女の素質を伸ばして行くには、下北沢成徳の環境はうってつけだったのだろう。
そのエースが徹底マークされて敗退したインターハイ
しかし、インターハイの福井工大福井戦では、その石川が徹底的にマークされてしまった。福井工大福井とは前回の春高バレーでも当たっており、その際は勝利を収めたのだが、今度はそのときの経験を活かされてしまったのだろうか。
第1セットから、とにかく石川のスパイクが決まらない。ほとんどが相手のブロックに上手く阻まれてしまい、ポイントを奪うことができなかったのだ。さらにミスや相手の上手い攻めもあって、そのまま第1セットを落としてしまう。
なんとか第2セットを取り返したものの、最終セットではやはり石川のプレーが明暗を分けた。
最大5点のビハインドを追いつき、粘りを見せるものの、21-22からの1プレーであった。石川のスパイクに対して福井工大福井のブロックが綺麗に決まり、これで21-23。ここで流れを完全に相手に渡してしまう。さらに次のプレーでも、石川のスパイクがアウトになって21-24。
この後、石川が意地で1本スパイクを決めるも、続くプレーで25点目を取られてしまい試合終了となってしまった。相手に上手くやられてしまった形ではあるが、最後まで石川のスパイクで流れをつかむことが出来なかったのだ。
相手の対策を真正面から突破する力を
下北沢成徳の好選手は石川だけではない。前年度に春高を制覇した際は、17人のメンバー中、石川を含めて7人が1年生であった。もちろん彼女たちは、今年も中心選手だ。
しかし、やはりエースが決めなければ、チーム全体が流れに乗っていけない。どれだけ他の選手たちでカバーすることはできても、試合の流れを作るのはエースである石川なのだ。
徹底的にマークされても、それをかわすのではなく、真正面から突破していく。石川にはそれくらいスケールの大きな選手になってほしい。春高3連覇へ向けて険しい道のりが続くが、彼女たちならきっと乗り越えてくれるはずだ。