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全国大学ラグビー選手権大会の歴代優勝校で最も優勝回数が多いのは?

2017 9/13 14:03Mimu
ラグビー
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前身の東西対抗ラグビーでは早稲田大学が最多優勝

選手権大会の前身から紹介していこう。この大会は1925年~1963年まで、「東西対抗ラグビー」という名称で行われていた。

第1回大会で同志社大と慶應義塾が対戦し、6-6で引き分け。初回からいきなり優勝校は無しということもあった。東西対抗ラグビーの最多優勝は、早稲田大学の9回。次いで明治大学の8回であった。戦前はこの2大学に加え、京都大学(3回)や慶應義塾(2回)らが優勝争いに加わるという環境が続く。

しかし、戦後からは徐々にそれも変わり、日大や法政、中央、関西でも関西学院大学や立命館大学といった新興校などが台頭してきたのだ。だがこの状況は関東五大学(早稲田・慶応・明治・立教・青山学院)や京都大学・同志社大学など、古くからある強豪校にとっては面白くなかったのか、次第に決勝戦を「不戦」として優勝校が出ない年も多くなっていった。

それに伴って大学ラグビーの人気も下火になっていき、大会自体を一新することとなる。

現在の選手権大会でもやはり早稲田大学が最多!2位には明治がつける

1964年からは、現在の「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」が開催された。当初は関東大学上位2校、関西大学リーグ戦上位2校と、東西の上位校のみの出場であった。その後徐々に門戸が広がっていき、今では九州や東北、北海道、中国・四国の大学も出場できるようになった。

やはりこちらの大会でも、早稲田大学が最多優勝である15回を誇っている。準優勝も14回を数えており、この53年で31度も決勝に進出していることになる。次いで優勝回数が多いのは、明治大学の12回だ。奇しくも前身の大会と同じ2校となった。

90年大会の決勝では早稲田と明治が因縁の対決

早稲田大学と明治大学といえば、因縁めいたものを感じる方も少なくないかと思う。この2校は、87年対抗戦の「雪の早明戦」に代表されているように、幾多の熱戦を繰り広げてきた。

強力フォワードが重戦車のごとく強固なスクラムを組み、圧倒的な突破力を生み出した「縦の明治」、粘り強いディフェンスで相手チームの攻撃を防ぎ、ここ1番ではタックルで一気に攻勢を奪う「横の早稲田」。そう呼ばれるくらいに、対称的なチームカラーを持っていた。常に永遠のライバルとして比較され続けている。

選手権大会でのこの2チームの熱戦といえば、90年大会の決勝戦だろう。明治大学は吉田義人さん(現:明治大学監督)が、早稲田大学は今泉清さんや堀越正巳さん(現:立教大学監督)ら、後のラグビー界を牽引する選手たちが多数在籍していた年の試合だ。試合は序盤からシーソーゲームとなった。互いに中心選手が厳しくマークされ、何度も点数がひっくり返る。

そんな中、試合を決めたのは明治の主将・吉田さんであった。11-13と明治がリードされていたが、後半26分、左サイドから今泉さんを振り切ると、早稲田のディフェンス陣の3人がタックルに来るも、これを見事に耐え、執念でトライを奪ったのだ。これで16-13となり、明治が逆転。このトライによって明治は2年ぶり8度目の優勝を果たした。

選手権大会8連覇中の帝京大学

優勝回数は早稲田や明治に及ばないが、現在のこの大会で圧倒的な成績を残しているのが帝京大学だ。なんと、2008年~前回大会までは8連覇を継続中で、次回の53回大会では9連覇の期待がかかっている。

帝京大学は1970年に創部され、83年に全国の舞台を経験したものの、それ以降は鳴かず飛ばずの時期が長かった。しかし、そんな流れを変えたのが、96年から指揮を執る岩出監督である。

岩出監督はまず、選手たちに人間的な成長をするように促した。「挨拶はきちんとする」「ゴミが落ちていれば拾う」そんな当たり前のことから始まったのだ。こういった当たり前のことができない選手は、練習でもどこかに甘えが出るため、大事な瞬間にも自分を追い込めなくなってしまう。そんな選手がいくら厳しい練習を重ねたとしても、選手として向上はしないのだ。

自主性に富んだ帝京の選手たち

その結果「自主性」を身に着け、行動の先読みが出来るようになった選手たち。今では監督が指示しなくとも行動し、技術の上達も早い。この「自主性」を意識的に身につけていることが、帝京ラグビー部の強さなのかもしれない。

また、上下関係の撤廃もプラスに働いており、上級生と下級生の距離を近づけることで、密なコミュニケーションを取ることができることはもちろん、先輩たちの「自主性」を後輩たちが学び取る機会も必然的に多くなるのだ。こうして代々受け継がれていったチーム環境は、いつしか帝京大学のチームカラーとなっていった。

帝京の連覇は続いているが、もちろん早稲田や明治、他の大学が弱くなったというわけではない。どの大学も、連覇阻止を虎視眈々と狙っているはずだ。次の大会で優勝するのはどの大学だろうか。