「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

関東大学男子バスケ、新人戦から将来を担う1年生をリサーチ

関東大学男子バスケ,Ⓒマンティー・チダ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒマンティー・チダ

拓殖大学が26年ぶり3回目の新人戦優勝

第58回関東大学バスケットボール新人戦は、拓殖大学が日本体育大学を64-61で下し、26年ぶり3回目の優勝を遂げた。昨年のリーグ戦で1年生ながら最優秀選手賞を獲得したインサイドの要#23ゲイ・ドゥドゥ、上級生としてチームを引っ張った#2岡田侑大、ゴール下を制し東海大学・陸川章監督に「杉野のリバウンドにはやられた」と言わせた#41杉野晴輝、そして1年生の# 16平良陽汰もチームの司令塔として躍動した。

拓殖大学に敗れて準優勝となった日本体育大学も、#50パム・ジョナサンの高さを筆頭に、#30井手拓実もスピード感あふれる攻撃で会場を沸かせた。パム・ジョナサンと共にチーム最多得点をあげた2年生#24土居光も注目の選手だ。

東海大学 対 青山学院大学の3位決定戦では、昨年の覇者である東海大学が勝利を飾った。今回の新人戦を通じて、今後期待できる1年生をリサーチした。順を追って紹介しよう。

拓殖大学

Ⓒマンティー・チダ

日本体育大学を準優勝に導いた「スピードスター」井手拓実

2部リーグ所属で準優勝に輝いた日本体育大学からは、将来を担う「スピードスター」を紹介しよう。身長160cm台、人一倍走る小柄なポイントガード#30井手拓実は、福岡第一高校で#50パム・ジョナサンと共に主力として活躍。現在も2人は同じ大学に通っている。

バックコートでボールを受けると一目散に相手のゴールに向かって走り、フロントコートでボールを保持すれば一気にドライブを仕掛ける。どんな場面でも小回りを効かせ、自分で切り込んでいける選手だ。ゴール下に入り込みアウトサイドに供給するパスは、チームにとって貴重なアシストとなっている。

昨年までは、バスケの聖地でもある国立代々木競技場第二体育館が主会場だったが、現在東京オリンピックに向けて改修中のため、今年は日本体育大学世田谷キャンパス体育館が準決勝・決勝の会場となった。準決勝・決勝をホームアリーナで戦えるということは、日体大にとって大きな利点であり、井手本人も「ホームゲームになって応援もすごくなり、力になった」と雰囲気を掴んでいた。

新人戦ではアシスト王を獲得し、準決勝で20点、決勝で16点とチーム準優勝に貢献した井手たったが「先輩たちに迷惑もかけた。スピードというよりもフィニッシュの精度を上げたい」と今後の課題も口にした。秋のリーグ戦では、2部で戦うことになる日本体育大学。この夏を越し1年生が成長を遂げた時、1部昇格も見えるだろう。また、その先の全日本大学バスケットボール選手権では台風の目になりうる可能性もある。

日本体育大学

Ⓒマンティー・チダ

八村阿蓮と共に注目を集めた東海大学・大倉颯太

2年連続の新人戦制覇を狙った東海大学には、2年生の充実と共に有望な1年生も加入した。先日、代表戦でフル代表デビューし衝撃的なプレーを魅せた八村塁を兄に持ち、明成高校をウインターカップ優勝に導いた#86八村阿蓮が注目を浴びているが、もう一人有望な選手がいる。それは、北陸学院出身の#11大倉颯太だ。

春のトーナメントでは、1年生でただ一人全試合出場を果たし、早くもチームの主力として活躍している。「冷静なところが良い。チームディフェンスとか他を助けるという事を学べば面白くなる」と東海大学・陸川監督は期待を寄せている。トーナメントでは、チームトップの得点に加えボールを運ぶ役目もこなし、リバウンドもしっかり獲得。八村に次ぐチーム2位の成績だ。

残念ながら、準決勝で優勝した拓殖大学には敗れたが「勝ちゲームだった」と大倉は繰り返し、勝利を飾れなかった悔しさの中で「いつまでも壁にぶつからないよりは、早めに壁にぶつかった方が良い」と前向きに捉えていた。

春のトーナメントではガードの控えとしての出場だったが、新人戦では八村と共にスタート5に名を連ね、チームの主力として活躍。また、「コンタクトやスコアの部分で挫折したけどトライは出来ている。守備面では、インテンシティー(集中力)を高く持たないといけない」、「何かを感じてコントロールしながら、チームとしての役割を果たせるようにしたい」と話している。この夏を終えた秋には、一体どんな姿を見せてくれるのか楽しみだ。

東海大学

Ⓒマンティー・チダ

「攻めるポイントガードを目指す」法政大学・小野怜史

1年生ながらチームトップの73得点を挙げ、出場選手トップのスティールを獲得した法政二出身の#14小野怜史。バックコートからフロントコートまでボールを運び、フロントコートに入るとすぐに味方選手にパスを回す。状況に応じて、自らシュートやドライブでゴールに向かっていく選手なので、ドリブルでボールをキープすることが少ない。

小野本人も自分のプレースタイルを自覚しており、「先輩たちに助けられながら、『攻める』という部分を担っている。目の前に選手がいなければシュートを打つし、ディフェンスの選手がいればドライブで抜いていく。ボールは持ちすぎないようにしている」と語っている。

「味方にパスをしながら、ズレができた時に自分が攻める。相手のシューターを抑えながら1対1で勝負しろとアドバイスをもらっていた。1対1で勝つのは自分の仕事」と最後まで「攻める」という言葉を使い続けた。

新人戦は6位に終わった法政大学だが、秋は2部リーグで準優勝した日本体育大学と共に1部昇格を狙う。「攻める」気持ちに磨きが掛かれば、法政大学の躍進も可能性はある。

法政大学

Ⓒマンティー・チダ