関東インカレ2部で圧勝、抜きんでた青学大の力
2022年度も学生駅伝界は青学大を中心に回るのだろうか。立ちはだかるのは、スーパールーキーが加入した駒大になるのか。監督が交代した名門早稲田の復活はなるのか。春のシーズンから各校の現状を見る。
今年も青学大強し。関東インカレの結果は、見るものにそんな印象を与えた。
今年の正月の箱根駅伝で2年ぶり6度目の総合優勝を果たした青学大は、関東インカレ男子2部の長距離種目(5000メートル、1万メートル、ハーフマラソン、3000メートル障害と、本来は中距離の1500メートル)で53点を獲得し、21点で2位の国学院大に圧倒的な差をつけた。
ちなみに、2部といっても、遅い学校ばかりが集まっているのではない。1部、2部はトラック&フィールドの得点で決まるため、青学大のように主に長距離が強い学校は2部の所属になってしまう。同様の理由で駒大、創価大なども2部にいる。そのため、長距離種目では2部の方が、優勝タイムが速い場合がある。
話を戻すが、青学大は長距離種目のうち、1500メートル、5000メートル、1万メートルの3種目で日本選手トップになった。中でも輝いたのが、今年の箱根で7区区間賞の4年生岸本大紀だ。
1位と0秒36差の28分28秒94で日本選手トップの2位だった。岸本は2年生の時から疲労骨折の影響に苦しんできたが、昨年復活した「駅伝男」。エースで4年生の近藤幸太郎は1万メートルを欠場したが、駅伝シーズンはこの2人がチームを牽引するだろう。
5000メートルでは日本選手最高の3位に入った2年生の鶴川正也を含む2人、1500メートルでは優勝した3年生の山内健登を含む3人、ハーフマラソンでは3位で4年生の西久保遼を含む3人が入賞した。
驚くべきはこの3種目で入賞した8人が今年の箱根を走っていないことだ。今年の箱根を走った4年生は2人だけ。優勝メンバーのうち、8人が残るわけだが、その8人とは別の8人(1万メートルの岸本は除く)が関東インカレで力を見せつけた。今年の青学大も層が厚いことは間違いない。
力の差を見せつけられたライバル駒澤大
青学大のライバルとなる駒大はエースがタイムを伸ばしたものの、全体的には青学大との差を広げられた印象がある。
学生ナンバーワンランナーで4年生の田澤廉は4月の金栗中長距離で日本人学生歴代6位の13分22秒63をマーク。スーパールーキー佐藤圭汰も5月の大会で13分22秒91のU20(20歳未満)の日本記録を打ち立てた。
一方で関東インカレ2部の成績は青学大に大きく水をあけられた。ハーフマラソンでは、箱根4区9位で3年生の花尾恭輔が2位になるなど、2人の入賞者を出したものの、長距離種目の合計点は13点に終わった。田澤、佐藤に加え、3年生の唐澤拓海ら主力が出場していないとは、厳しい結果と言わざるを得ない。
駒大も今年の箱根を走った4年生は1人だけ。レベルアップが期待されてしかるべきなのだが、現状は青学大ほどうまくいっていない印象だ。
好調の東洋大、国学院大
関東インカレ1部で力を見せたのは箱根4位の東洋大だ。長距離種目では合計で33点を獲得し、トップだった。
目立ったのが1万メートルで、箱根1区12位で4年生の児玉悠輔が3位、同2区5位で3年生の松山和希が6位、同3区8位で3年生の佐藤真優が7位に入った。1500メートルと5000メートルでも1人ずつ、1人、ハーフマラソンでは3人が入賞した。
さらに6月19日にあった全日本大学駅伝関東地区選考会でも2番目のタイムで本戦出場を決めた。昨季は不調で予選会に回る結果になったのだが、結果は良好だ。今季は鉄紺のたすきが躍動するかもしれない。
箱根8位で関東インカレ2部の国学院大も好調ぶりがうかがわれた。長距離種目の得点は青学大に次ぐ2位だった。
ハーフマラソンでは、箱根2区12位で3年生の伊地知賢造が優勝し、2年生の鶴元太も8位入賞。1500メートルで1人、1万メートルでも2人入賞者を出すなど、着実に力をつけている。
中央大は躍進、早稲田大は監督交代で復活図る
箱根6位で復活を印象づけた中大は関東インカレ1部の長距離全種目で入賞し、存在感を見せた。箱根13位で予選会に回ることになった早大は、かつてのスター選手花田勝彦氏が新監督に就任した。上武大や実業団でその指導力は実証済み。手腕が発揮されるのは秋以降になるだろう。
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