日本選手権1万メートル10位で代表即内定とはならず
4月になって年度が変わり、学生長距離界ナンバーワンランナーの田澤廉(駒大)が4年生になった。田澤は最終学年でどんな走りを見せるのか。悲願の学生駅伝3冠(出雲、全日本、箱根)はなるのか。田澤のラストシーズンが幕を開けた。
5月7日に国立競技場で行われた日本選手権男子1万メートル。ゴール後の田澤は苦しい表情を浮かべ、手で顔を覆った。8000メートル付近から遅れ始め、28分6秒34で10位。今夏に米国・オレゴンで開かれる世界選手権の代表内定を得ることができなかった。今季の春のレースは少しほろ苦いものとなった。
田澤は学生ナンバーワンというだけでなく、実業団を含めた長距離選手の中で屈指の力を持つ。世界選手権の参加標準記録(27分28秒00)を突破しているのは日本では田澤1人しかいない。その事実が田澤の実力を物語っている。
日本選手権では参加標準記録を破っている選手が3位以内に入れば世界選手権の代表に内定する。田澤は代表入りに一番近い位置にもかかわらず、内定を逃した。
「標準を切っていたという余裕がある中で、3位以内に入れなかった。条件が良かったのは自分だけなのに、結果を残せなかったのが弱さ。今後どうするかは、これから話し合いたい」
現在は「参加標準記録突破」という出場資格を持っている日本選手は田澤だけだが、突破者が複数出てくれば、日本選手権の順位が優先される。一つの種目の1カ国の最大出場枠は「3」。つまりは、今回の日本選手権で田澤に先着した1~9位の選手のうち、3人以上が有効期間締め切りの6月26日までに参加標準記録を突破した場合、田澤は代表に選ばれない。
逆に言えば、2人以下なら田澤が代表入りすることになる。6月26日まで「他力本願」で待つことになる。