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コロナの恩恵?バルサ、マンC、レアルはリーグ中断でケガ人の回復見込む

2020 3/16 17:00桜井恒ニ
ルイス・スアレスⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

CLが延期 準々決勝からノックアウト方式を採用か

新型コロナウィルス(以下、コロナ)が世界的に流行し、欧州でも猛威をふるっている。

欧州サッカー界では、ユヴェントスのDFダニエレ・ルガーニに陽性反応が出た。他クラブでも選手・監督の感染が次々と確認され、各国の試合が延期に追い込まれている。

チャンピオンズリーグ(以下、CL)は、ベスト16の2ndレグであるユヴェントス対リヨンなどが軒並み延期。ヨーロッパリーグ(EL)も同様の措置が取られた。3月20日に予定していたCL・EL準々決勝の組み合わせ抽選会も中止になった。

コロナによる試合延期の期間が長引けば長引くほど、各国リーグ戦は試合日程を詰めて実施する必要が生じる。合間にCLとELも実施する方向で動けば、超過密スケジュールで選手の故障が続出するリスクが伴う。

長期延期の際の現実解は、リーグ戦またはCL・ELの予定試合数を減らして試合間隔を調整するか、リーグ閉幕のスケジュールを後ろへ延ばすことだろう。リーグ戦の場合、ベルギーリーグのように上位数チームによるプレーオフなども考えられる。

「AS」や「Daily Mail」など欧州系の各メディアは、欧州サッカー連盟(UEFA)などが、準々決勝から準決勝までのホーム&アウェイ方式を取りやめ、第三国のピッチで一発勝負のノックアウト方式にすることも検討していると報道(決勝はトルコ・イスタンブールでノックアウト方式)。3月17日の話し合いにて、ユーロ2020も含めて詳細が明らかになりそうだという。

チーム練習不可、選手離脱……難しいコンディション・連携調整

コロナの流行が収束終息し、CLや各国リーグが無事再開された際、どのクラブが好スタートを切れるのか。成否を握るのはこの延期中の過ごし方であるのは確実だが、クラブによっては選手のコンディション調整やチームの連携確認、紅白戦すらままならない状況だ。

非常事態宣言の出ているスペインでは、バルセロナがトップチームの無期限活動停止を正式に公表。GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンらが自主練する姿がSNSにアップされているが、チーム練習ができていない。バレンシアやビルバオに敗れるなど、1月に就任したキケ・セティエン監督の戦術がフィットしていないことを考えると歯がゆい状況ではないだろうか。

ライバルクラブのレアル・マドリーは、バスケットボールチームの選手がコロナに感染していることが発覚。トレーニング施設を共有するサッカーチームも隔離措置が取られており(同施設も閉鎖)、こちらもチーム練習ができない日々が続いている。

ユヴェントスはマウリツィオ・サッリ監督が選手たちにクラブでの練習を課している。だが、エースのFWクリスティアーノ・ロナウドは、脳卒中の母親の看病も考慮し、クラブの承認を受けて故郷のマディラ島に滞在中だ。

場合によっては、新たに感染者が見つかり、全体練習が急遽取りやめになるクラブも出てくるだろう。試合勘が鈍る選手が出てきても不思議はなく、開幕戦に臨むくらいのつもりで気持ちを仕切り直す必要があるかもしれない。

戦線離脱のスアレスら再開後復帰も

一方、非常に不謹慎な話ではあるが、今回の試合中断で、怪我人の多いクラブは恩恵を受ける。

バルセロナもそのうちの一つだ。1月、スーペルコパ・デ・エスパーニャ(スペインスーパー杯)のアトレティコ・マドリード戦で右膝半月板を負傷し、全治まで約4ヶ月かかると診断されたルイス・スアレスは、回復のペースが早い。3月4日にジョギングしている動画をインスタグラムにアップするなど、当初より早い4月の復帰も予想されている。スペイン紙「マルカ」は、スアレスが「バルサの秘密兵器になる」と期待を寄せている。

スアレス同様、右足太腿の内転筋を負傷したMFセルジ・ロベルトも復帰が見込まれる。

マンチェスター・シティも恩恵を受ける。マンチェスター・ユナイテッドとのダービー戦で太腿を負傷したFWセルヒオ・アグエロ、ハムストリングを負傷したDFアイメリク・ラポルテ、背中痛のMFケヴィン・デ・ブライネ、右膝前十字じん帯損傷から復帰して間もないMFレロイ・ザネらがコンディションを整える時間ができた。

レアルも、左足内転筋を負傷した模様のGKティボー・クルトワに関して、CLのマンチェスター・シティ戦(2ndレグ)の負傷欠場が予測されたが、試合が延期されたことで怪我の回復に時間をあてられる。

コロナで生じた時間をどう生かすか。前例のない現状は、監督らの手腕やクラブの衛生管理能力が問われることになりそうだ。

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