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ユーロ2020、記念大会特別企画が”最悪の大会構成”に 新型コロナウイルスで開催に赤信号【新型コロナウイルス特集】

2020 3/10 17:00Takuya Nagata
3月8日、無観客試合となったイタリア・セリエAのユヴェントス-インテル戦
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Ⓒゲッティイメージズ

開幕戦は6月12日、欧州で最も感染が深刻なイタリアが開催地

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行を受け、日本政府は遂に入国制限措置をとり、臨時休校も要請した。この動きに呼応するように、Jリーグも公式戦の延期を発表した。

次々と直近のスポーツイベントが中止になっており、このまま拡大が収まらなければ、2020年7月~8月にかけて行われる東京五輪の開催も危ぶまれる。国際オリンピック委員会(IOC)は、開催の判断は5月が期限としている。

しかし、実はこの夏、五輪よりも判断が差し迫っている国際的なスポーツイベントがある。6月12日~7月12日に開催予定のサッカー欧州選手権(ユーロ2020)だ。開幕戦は、ローマだが、イタリアは、欧州で最も感染が深刻な国で、感染地域の移動制限まで発動している。セリエAを筆頭に、欧州各国で日程延期や無観客試合が検討されている。

参加24チーム・サポーター250万人が12都市を大移動、拡散リスク増大

欧州選手権で販売されるチケット総数は、250万枚といわれる。24カ国の代表チームが参加し、12カ国(12都市)で開催される。これまで、共催されたことはあったが、12カ国というのは前例がない。

ホスト国・都市は、決勝戦の行われるイングランド(ロンドン)はじめ、ドイツ(ミュンヘン)、アゼルバイジャン(バクー)、ロシア(サンクトペテルブルク)、イタリア(ローマ)、 デンマーク(コペンハーゲン)、ルーマニア(ブカレスト)、オランダ(アムステルダム)、アイルランド(ダブリン)、スペイン(ビルバオ)、ハンガリー(ブダペスト)、スコットランド(グラスゴー)と欧州全土にまたがっている。

実は今大会は欧州選手権60周年にあたり、記念の特別企画として多くの国々を巻き込んだフォーマットを採用したものだ。しかし、医療関係者によるとウイルスの拡散を助長し、この感染拡大の事態の最中にあっては、最悪の大会構成だという。

欧州サッカー連盟(UEFA)の理事会では重大な協議事項となっており、このまま感染拡大が続くか、拡大が鈍化しても世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的流行)を宣言すれば、大会実行にむけて大きな逆風になる。

ミケーレ・ウヴァUEFA副会長は現状UEFAの大会の延期や中止はないが、事態が悪化すれば、その状況は変わる可能性があるとし、ヨーロッパ各国の行政関係者や保健機関と緊密に連携を取り、常に状況を注視していると述べている。

欧州選手権アンバサダーのルイス・フィーゴ氏(元ポルトガル代表)は「UEFAにとって悩みの種で、今後どうなるか状況を見守っている。皆心配している。まだ3カ月あるので、様子を見たい」と述べる。

前回王者ポルトガル代表は、35歳のクリスティアーノ・ロナウド(ユヴェントス)を擁してユーロ2連覇がかかっている。

今後の国際大会の組織にも影響か

近年、サッカーの国際大会を、複数の国による共催で行うことがトレンドとなっている。2026年ワールドカップでは、カナダ、アメリカ、メキシコの北米3カ国共催で、参加チームが32カ国から48カ国に拡大する。

参加チームが増えれば、より大きな大会運営キャパシティが必要で、自ずと共催も増えていくことが予想される。共催を禁止すると小国が立候補することが事実上、不可能になるため共催自体を禁止することは難しいかもしれない。

しかし、今回の欧州選手権の教訓は、今後の国際スポーツイベントを組織する上で、何らかの影響を与える可能性があるだろう。


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