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「無所属選手ベスト11」本田圭佑はどこに行く?東京五輪OA枠も視野

2019 10/11 06:00田村崇仁
いまだ無所属の本田圭佑Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

欧州でのプレー希望

サッカーの元日本代表MF本田圭佑の新天地はどこになるのか―。昨季限りでオーストラリア1部リーグ、メルボルン・ビクトリーを退団し、近年はビジネスの経営者やカンボジア代表の実質的な監督としても活動の幅を広げているが、今季はまだ無所属の状態でその動向が注目されている。

英大衆紙「サン」はこのほど「無所属選手のベスト11」を独自に選出し、本田もリストアップされた。挑戦を続ける33歳のレフティーは欧州でのプレーを希望すると公言しており、最大3人となる24歳以上のオーバーエージ(OA)枠で、選手として来年の東京五輪出場と金メダルも目標にしている。

ツイッターで古巣に逆オファー

「いつだってあなたたちの力になる。必要な時に僕を呼んで!」。9月30日、自身のツイッターでイタリア1部リーグ、セリエAの名門で古巣のACミランに異例の逆オファーを呼び掛け、大きな関心を集めた。

9月28日にはイングランド・プレミアリーグの名門マンチェスター・ユナイテッドに対し「僕にオファーを。お金はいらないけど、素晴らしいチームメートと素晴らしいチームでプレーを求めている」と英語でつぶやいたばかり。世界に発信できるツールを活用した「仰天行動」は世界でも話題になっているが、欧州の移籍マーケットが基本閉じているシーズンの序盤戦でどんな影響を及ぼすのか今のところ不明だ。

カンボジア代表で事実上の監督も

このオフは古巣のオランダ1部リーグ、VVVフェンロの練習に参加しながら実戦感覚をキープするため調整を続けてきた。2008年にJ1名古屋グランパスから移籍し、海外挑戦をスタートさせた原点ともいえるクラブだ。10番を背負い、ゴールを量産した。

その後はロシアのCSKAモスクワ、イタリアのACミラン、メキシコのパチューカを経て、2018年夏からメルボルン・ビクトリーでプレーし、わずか1年で今夏の退団を決断した。

本田各国成績ⒸSPAIA

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一方で現役を続けながら、異例の挑戦もスタートしている。日本代表としてワールドカップ(W杯)に3大会連続出場し、全大会で記憶に残るゴールとアシストを決める偉業を成し遂げてきた本田は昨年8月からカンボジア代表のゼネラルマネジャー(GM)に就任。

現役選手との両立は極めて困難とみられたが、今年6月には2022年W杯カタール大会アジア1次予選で実質的な指揮を執るカンボジアがパキスタンとの第1戦に2-0で快勝し、W杯予選初勝利を挙げた。ベンチで指揮を執る姿も貫禄と存在感が出てきている。

国連財団にベンチャーファンド…多才な一面も

数多くの事業にチャレンジする経営者としての顔も併せ持つ。国内外に約80校というアジア最大規模のサッカースクールを展開し、4000人以上の子どもたちが所属。オーストリアのプロクラブチーム「SVホルン」の運営にも参画する。国連財団の仕事にも携わり、サッカーを通じて世界の子どもたちに目を向ける。アスリートのセカンドキャリア支援事業、米国の人気俳優ウィル・スミスらと共同でベンチャーファンドも立ち上げ、世界を驚かせた。

欧州のメディアは今後の移籍先として、ドイツのブンデスリーガやイングランド・プレミアリーグ、スペイン1部リーグのクラブも選択肢に含まれていると報じた。

「地球内であればどこでも」と冗談めかす移籍先はいつ決まるのか。一つの判断ポイントは欧州でも実績のあるクラブになりそうだ。

大叔父にあたる本田大三郎氏は1964年東京五輪でカヌーに出場したオリンピアン。「有言実行」で世界を駆け回ってきた男は運命的に巡ってきた「五輪」という舞台にも血が騒がないはずがない。

選手として残り時間も限られている中、もう一度世界最高峰のリーグでしのぎを削り、来年に迫った東京五輪で集大成としてチャンスをつかめるのか。類いまれなる勝負師でもある本田の新たな挑戦から目が離せない。