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「スーパーリーグ」も「汎欧州リーグ」も暗礁 欧州クラブサッカー先行き不透明

2019 9/22 11:00Takuya Nagata
アンドレア・アニェッリ会長Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

欧州クラブ大会改編の議論は紛糾し結論先送り 「複数行き詰まり」

欧州クラブ協会(ECA)は、9月9日から10日にかけて、スイス・ジュネーブで総会を開催し、アンドレア・アニェッリ会長が再選し、2023年まで8年間、欧州クラブの束ね役を務めることになった。

今回の総会の大きな論点は、2024年以降の欧州クラブ大会のあり方についてだ。ECAアニェッリ会長が、当初提案したスーパーリーグ案は、各方面から猛反発を招き、軌道修正を迫られている。立場の違いから、実に多くの異なる主張があり、まとまる気配が見られないため、当初2019年中に方向性を決定するはずだったが、2022年に延期することになった。

「この数ヶ月間、多くのクラブが意見を出し、協議に参加しているのは素晴らしいことです。真にオープンで透明性のあるプロセスが始まりました。大会フォーマットと安定性のための原則については、様々な見解があります。それは理解していますが、日程の問題があり、2024-25シーズンには改革が必要であるということは、全体的に受け入れられています。複数のことで行き詰まっており、多くの人が納得する解決策を見つけるべく、様々な要素と懸念を整理し、2024年からの放映権をUEFAが市場に出す時期である、2022年までに答えを見つける必要があります」

ECAのアンドレア・アニェッリ会長は、来年3月までに代替計画を準備し議論するとしている。

汎欧州リーグ構想も合意得られず、競争削ぎビッグクラブ優遇

ECAアニェッリ会長が提言した、国内リーグから分離したスーパーリーグ案は、全く合意が得られず事実上の廃案になり、今回はもう少し穏健な案が出されていた。チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、新設されるヨーロッパリーグ2の間で昇格・降格を伴う、3部からなる汎欧州リーグという構想だ。

1部はチャンピオンズリーグの新バージョンで、32チームのうち24チームが翌シーズンの出場が自動で決まる。これは国内大会の成績に応じて出場権を獲得するという伝統を覆すものだ。

また、グループステージで現在の「4チームからなる8つのグループ」から「8チームからなる4グループ」になり、試合数が各クラブ14試合と大幅に増加する。他の提案には、6つのグループを導入するという折衷案もあった。

この汎欧州リーグ案についても、チャンピオンズリーグ出場権をめぐる戦いこそが、競争の重要な側面であると主張する、欧州各国リーグが強く反対。 ECAの多くのメンバーもこの計画に否定的だ。試合数の増加により国内のリーグやカップ戦の日程への影響が避けられない内容になっており、閉鎖的でエリートクラブを優遇するシステムだとし、またしてもコンセンサスが得られなかった。

納得のいく結論導き出せるか、ECAアニェッリ会長の手腕問われる

「未来がどのようになっても、国内リーグとの共存共栄を維持しなければならないと強く信じています。ECAは、ここ最近、声をあげた少数の人々だけでなく、全ての欧州諸国のサッカー推進のために存在することを忘れてはいけません」

「(この案に対しての)満足度が80%を超えることはないでしょう。80%はECA内での承認に必要な数です」

イタリアのビッグクラブ、ユヴェントスの会長でもあるECAのアンドレア・アニェッリ会長は、自身が提案した極端にビッグクラブに偏った当初の案を封印しているようにみえる。

この先、迷走しかけている欧州クラブの舵取り役に徹して、有意義な結論を導き出すことが出来るだろうか。