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ネイマールの心に秘める反骨心、今後の飛躍に期待大

2019 5/26 11:00Takuya Nagata
ネイマールⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

授賞式を欠席し、女性歌手とパーティー

フランス・プロサッカー選手協会(UNFP)は、シーズン締め括りのアウォードを5月19日にパリで開催したが、招待されていたはずのパリ・サンジェルマン(PSG)所属FWネイマールが欠席し、著名シンガーソングライターのリアーナと会っていたことが分かった。

欠席理由は不明、ショーナイトの主役は同僚エムバペ

ネイマールとリアーナは、同日夜に同じ場所でパーティーを行っていたとされ、米国のエンターテイメントメディアTMZも衝撃を持って伝えた。ネイマールは、UNFP選出のベストイレブンに入っていたにもかかわらず、なぜ授賞式の会場に姿を見せなかったのだろうか。

インスタグラムに投稿されたパーティーの最中と思われる写真でネイマールは、口を閉じ人差し指を当てるポーズをとっている。これは何を意味するのか。

真意は不明だが、この授賞式の主役はチームメイトで仏リーグ1・年間最優秀選手と年間最優秀若手選手をダブル受賞したキリアン・エムバペだった。

バルセロナではメッシの補佐役で下積み

ネイマールがここにたどり着いた経緯を見てみよう。前所属のバルセロナ時代、クラブのエースは、生え抜きのリオネル・メッシだった。年齢的にもメッシの方が先輩で補佐役をしっかりと務めていた。バルセロナのパスサッカーを身に付け、そつなく仕事をこなし、時折、才能の片鱗もみせた。

しかし、ブラジル代表であり絶対的エースとしてのネイマールを知る者としては、バルセロナでのネイマールは、どことなく本当のネイマールではないような気がしてならなかった。

ブラジル代表では自由を与えられ、ブラジル路地裏仕込みのテクニックを惜しみなく披露し、伸び伸びとしたドリブルで2~3人は簡単に突破していった。これが、サントス時代に見た若かりし頃のネイマールだ。

バルサで演じた引き立て役は、本来のネイマールの姿ではない。

王様になるためにPSG移籍

PSGに移籍することを決めたことは理解できる。エースの座を求め、移籍金約230億円、年俸約49億円という破格の契約で入団し、チームの王様に君臨するはずだった。しかし、そこに同じポジションFWのエムバペという稀代の彗星が現れたのだ。

2018-2019シーズンの2人の成績は、怪我等もあったネイマールが28試合23得点13アシストなのに対し、エムバペが42試合38得点17アシストと完全に上回っている。若干20歳のエムバペに対し、27歳と円熟期のネイマール。本人が感じる差は、数字以上のものがあるといっていいだろう。

2番はノー、高みに行くための自己否定か

シーズン中の自分自身に納得がいっていないはずのネイマール。授賞式に出席しなかったのは「自身の栄誉であるベストイレブンを否定したから」と思われる。さらなる高みに行くため、あえて無関心を装ったと考えるのは深読みし過ぎだろうか。

若いころから将来を嘱望されていたネイマール。現年齢から考えれば、これからが一番脂がのってくる時期で、身体的ピークは現在から次のワールドカップくらいまでだろう。

舞台の下からエムバペに温かい拍手を送り丸くなるのではなく、ピッチ上で披露するプレーのように破天荒な方がネイマールらしい。天才肌と言われるストライカーとはそういうものだ。空気を読んで行動している様では、最前線で強引な突破から得点など奪えない。

2番手に甘んじることを良しとしないその心意気があれば、良きライバルであるエンバペと切磋琢磨し、近いうちに誰もが驚くような成果を見せてくれるだろう。