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没落のレアル・マドリーと隆盛のマンチェスターU、欧州サッカーの勢力図に異変

2019 3/12 15:00Takuya Nagata
野球ボール,ⒸSPAIA
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欧州CL16強でレアル敗退、マンU逆転勝利の大波乱

欧州チャンピオンズリーグ(CL)は、グループリーグを突破した16チームが出揃い決勝トーナメント1回戦の火ぶたが切って落とされた。欧州CL三連覇中だったレアル・マドリーが2試合合計3-5でアヤックス・アムステルダムに敗れる大波乱があった。また、マンチェスター・ユナイテッドは、第2戦のロスタイムに決定的な1点を決め、2試合合計3-3で同点ながら、アウェーゴールで上回り、パリ・サンジェルマン(PSG)を下した。

魔の1週間、レアル・マドリーに無冠の足音

レアル・マドリーは、2月下旬にスペイン国王杯準々決勝でバルセロナに屈し、その直後にも国内リーグ戦でバルセロに敗れ、優勝戦線を脱落。ホームでのクラシコ2連敗でチームの状態は良いとは言えなかった。

そして、セルヒオ・ラモス主将が、アヤックスとの第1戦で、先々の戦いを見越して、イエローカードを受け、第2戦出場停止になった。これは、連覇中の王者のしたたかな戦略だったのだが、それを公言してしまったことで、累積警告を意図的に消化したとして、1試合のはずが、2試合出場停止となった。

これにより1回戦を突破しても、準々決勝第1戦への出場はできなくなり、チームの雰囲気はさらに悪化。また、レアルがアヤックスを小物扱いしていることを浮き彫りにする形となり、相手の闘志にも火をつけてしまった。

結果は、ホームで1-4という悪夢のようなスコア。わずか一週間足らずで、タイトル3つが眼前から消え、更には若手エースのビニシウス・ジュニオールが右足の腓骨関節の靭帯損傷という重傷を負った。

歴史的カムバック再現、ユナイテッド逆襲の予感

レアル・マドリーと対照的なのがマンチェスター・ユナイテッドだ。アレックス・ファーガソン元監督が勇退後、長らく低迷していたが、ファーガソンの教え子オーレ・グンナー・スールシャールが今季途中に暫定監督に就任すると息を吹き返し、このPSG戦に勝利すれば、スールシャール政権は、確固たるものになると目されていた。

16強でまだ気が早いと思われるかもしれないが、近年のPSGは、オーナーであるカタール投資庁の資金力をバックに、ネイマールやキリアン・エンバペといったスーパースターを買い漁り、欧州随一のチーム力を誇っている。

第1戦をホームで0-2と落としたユナイテッド。第2戦のロスタイムに入り、2試合合計スコアはPSGが3-2で1点リード。このままいけば、ユナイテッドの敗退が決まる。そのタイミングでCKからのプレーに対して主審がVAR(ビデオアシスタントレフェリー)を採用。戻って来た主審は、PSG選手の腕にボールが当たったとし、PKの判定を下した。

これをマーカス・ラッシュフォード(21歳)が冷静に決め、劇的な大逆転勝利を収めた。欧州CLノックアウトステージで2点差を敵地の第2戦でひっくり返したのは、史上初の快挙だ。

それは1998-99年シーズン決勝「カンプ・ノウの奇跡」がフラッシュバックした瞬間だった。

欧州CLロスタイムでの大逆転勝利といえば、1999年5月26日のバイエルン・ミュンヘン対マンチェスター・ユナイテッド戦。ロスタイムを迎えた時点のスコアはBミュンヘンが1点をリードするという状況。チームの大黒柱であるロイ・キーンを欠いていて苦戦を強いられたユナイテッドだったが、奇跡はそのロスタイムに始まる。テディ・シェリンガムが同点弾を決めると、途中出場していたスールシャールがCKから勝ち越し弾を決め、僅か3分で試合をひっくり返し、優勝をさらった。

レアル黄金時代の終焉、そしてユナイテッドの再興

奇しくも不動のエースだったクリスチアーノ・ロナウドが退団した直後のシーズンで、レアル・マドリーの一時代が音を立てて崩れ去ったと言えるのではないだろうか。

一方のマンチェスター・ユナイテッドは今回、ロスタイムの大逆転劇で、スールシャールが重要な役割を果たした。そして、ロイ・キーンと同じポジションの主力選手ポール・ポグバをこの試合で欠いていていたのも、1999年の欧州CLと重なって映る。

浮沈の激しいサッカー界。レアル・マドリーという大王朝が衰退し、再び欧州の覇権を手にすべく復興の狼煙を上げたマンチェスター・ユナイテッド。今季の欧州CLラウンド16に、サッカー界の2つの巨頭の明暗を見た気がした。

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