モウリーニョが退任し、暫定監督にスールシャールが就任
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドは、ジョゼ・モウリーニョ監督の退任を受け、2018-19シーズン残りの約半年の暫定監督としてオーレ・グンナー・スールシャールの就任を発表した。
これで27年もの間、監督に君臨し、マンUを世界的なビッグクラブに育てたアレックス・ファーガソン勇退後の5年間で5人目の監督となる。来季の監督については人選を進めるが、結果次第ではスールシャール新監督の続投の可能性もある。
イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドは、ジョゼ・モウリーニョ監督の退任を受け、2018-19シーズン残りの約半年の暫定監督としてオーレ・グンナー・スールシャールの就任を発表した。
これで27年もの間、監督に君臨し、マンUを世界的なビッグクラブに育てたアレックス・ファーガソン勇退後の5年間で5人目の監督となる。来季の監督については人選を進めるが、結果次第ではスールシャール新監督の続投の可能性もある。
2016年にジョゼ・モウリーニョが監督に招聘された際、後釜が見つからないユナイテッドの首脳陣には、焦りがあったのではないだろうか。ジョゼ・モウリーニョは、ピッチ内外の規律とリスク管理を徹底し、中堅のクラブを王者にする手腕に長けていた。そのためマンチェスター・ユナイテッドがついに結果主義に傾倒し、現実路線に走ったと思われた。
ジョゼ・モウリーニョが真のビッグクラブで大成したのはインテル・ミラノ時代のみだ。現実主義的な戦い方が浸透したイタリア・セリエAだから成し遂げたもので、スペインのレアル・マドリ―でも指揮を執ったが、勝って当然のチームをそれなりに勝たせても、監督の手腕を発揮したとは言い切れない。ポルトにチャンピオンズリーグとUEFAカップで優勝させる力があるのならば、レアル・マドリ―を毎年3冠にさせるくらいの力があっても、おかしくないはずだ。
モウリーニョはユナイテッドのクラブ首脳陣と連携がうまくいかず選手補強できなかった際に、自身を「マネージャー(全権監督)ではなくヘッドコーチだ。」と皮肉を言っていた。ファーガソン全権監督退任後、迷走を続けているため、ライバルのマンチェスター・シティのようにディレクター・オブ・フットボール(強化部長)が必要だという意見もある。
マンチェスター・ユナイテッドの本拠地、オールド・トラフォードは、「シアター・オブ・ドリームズ(夢の劇場)」と形容される。手堅く勝っているようでは、その看板は下ろさなくてはならないだろう。圧倒的に魅せて、勝ち倒すのがマンチェスター・ユナイテッドの本来あるべき姿だ。
ジョゼ・モウリーニョとアレックス・ファーガソンは、規律主義者という側面は共通しているが、ピッチ上では大きな違いがある。ジョゼ・モウリーニョが非常に緻密で、質実剛健な戦術や戦略を採用するのに対し、アレックス・ファーガソンは、実力のある選手をピッチ上で暴れさせる手腕に長けていた。「暴れる」とはつまり、選手をその気にし、本領を発揮させるという事だ。
マンチェスター・ユナイテッドには、綺羅星の如し名実ともにこの惑星屈指の選手たちが集まって来る。これらのスター選手たちは、能力も高いがプライドも高い。職人気質の選手たちを、型にはめるようなサッカーをしては、本来の実力を発揮させ光り輝かせることは難しい。
アレックス・ファーガソンは、チヤホヤされて道を踏み外しかねないセレブな選手たちの規律管理を厳格にしつつも、ピッチ上では個性を尊重し自由にプレーさせる良き父親のような指導スタイルで、ダイナミックな、実にイングランドらしい迫力あるサッカーを体現した。
スールシャールは、就任にあたり「ユナイテッドの選手達に少年のようにサッカーをプレーすることを楽しんでほしい。」と語った。これはモウリーニョとファーガソンの対比から発せられたコメントに思えてならない。ユナイテッド全盛期の中心選手たちは、デヴィッド・ベッカムやライアン・ギグス等、ファーギーズ・フレッジリングスと呼ばれるファーガソンが十代の頃に連れてきて育てた少年たちだ。
実はスールシャールに新監督就任の話をしたのは、あのファーガソンだ。スールシャールは、ファーガソン時代に選手として11年間ユナイテッドに所属。2003年に負傷して以来、ファーガソン監督のチーム指揮のケーススタディを独自に書き留めていたといい、引退直後にリザーブチームの監督に就任した。
つまりファーガソン哲学を熟知した秘蔵っ子だ。現役時代は、「ベビーフェイスの殺し屋」という愛称で親しまれ、指導者に転身後は、プレミアリーグのカーディフでは成功しなかったが、自国ノルウェーのモルデでは成果を出し、2018-19シーズンは首位争いを演じている。そしてスールシャール新監督のマンU初陣は、古巣カーディフ相手に、ユナイテッドの選手が見違える動きを見せ、ファーガソン退任後プレミアリーグで初めて5点を奪い快勝した。
アレックス・ファーガソンは、監督時代から心臓に不安がありペースメーカー使用しており、2018年には、脳出血で緊急手術を受け一命をとりとめた。サー・ファーガソンが健在のうちに、真の後継者が見つかるのか。それとも簡単に監督が代わるクラブになってしまうのか。スールシャール暫定監督を含め、レッドデビルズの今後の行方に注目だ。