クラブがお願いする側に!?
現在のセリエAは全体的に資金不足に陥っており、有力選手を獲得するための資金捻出ができるクラブが減少傾向にある。
そのため、ユニフォームスポンサーに高額で契約を結んでもらい何とか資金を集めている状況だが、セリエAのクラブにスポンサー契約を希望する企業自体が減ってしまっているため、なかなか難しい状況なのだ。近い将来、クラブの方から企業に売り込みをかけるということも起こるかもしれない。
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セリエAのユニフォームの胸部分からスポンサー名が消えている理由をご存知だろうか。
本稿では、セリエAのユニフォームスポンサー事情について説明していく。
現在のセリエAは全体的に資金不足に陥っており、有力選手を獲得するための資金捻出ができるクラブが減少傾向にある。
そのため、ユニフォームスポンサーに高額で契約を結んでもらい何とか資金を集めている状況だが、セリエAのクラブにスポンサー契約を希望する企業自体が減ってしまっているため、なかなか難しい状況なのだ。近い将来、クラブの方から企業に売り込みをかけるということも起こるかもしれない。
それでは、何故セリエAのクラブにユニフォームのスポンサー契約を希望する企業が減少しているのだろうか。
その答えは、セリエAの宣伝価値が下がっているからに他ならない。
現在のセリエAは歴史ある強豪クラブユヴェントスの一強状態だが、その一番の要因としてミラノの伝統的な人気クラブであるACミランとインテルミラノが大きく弱体化しているということがある。
スター選手が他のリーグに流出する、そして財政難により代わりのスター候補も獲得できないという状況が続き、リーグ全体のレベルが下がってしまったのだ。
レベルの低いリーグに注目する人は当然減るので、それがそのまま企業からそっぽを向かれる理由になるのだろう。
そもそもかつてはたくさんのスター選手が所属していたセリエAにどうして流出が起こってしまったのかを考えていこう。
これに関してはサラリー、後述のイタリアサッカー界への不安、イングランドプレミアリーグの急速な成長などいろいろな理由がある。
これまでに記した問題が、財政難→選手流出→市場価値の低下→スポンサー減少→財政難といったように悪循環を作り出しているので、セリエAの状況は苦しくなるばかりなのだ。
セリエAが人気を失った背景には、かつて起こった審判の判定操作に端を発した騒動である「カルチョスキャンダル」との関係性が存在する。
不正に関与していたクラブは、2部降格処分を受けたユヴェントスを中心に厳しい処分を受けたものの、結果的にサポーターだけでなく所属選手達からの信用をも失い、流出とレベルの低下が本格化したのだ。
もちろん、企業側も信用を置けないリーグに協賛するのは渋るだろうし、10年後の現在も尾を引いていることは間違いない。
前述のとおり、現在スポンサー減少の問題を抱えてるセリエAだが、課題となる事項があまりにも多く、改善にはかなり時間が掛かることが予想される。一部のサポーターが暴徒化するという「フーリガン」問題も選手を不安にさせる要素の一つとなっており、こちらの方の改善も急務だ。
かつては中田英寿選手をきっかけに日本でも多くの人気を獲得してきたセリエA。
またあの時の盛り上がりを見せてくれることを期待したい。
スポンサー離れが進み資金繰りにあえぐセリエA。
各チームでの資金難からの選手確保が難しくなり、ひいてはリーグ全体の人気に影響していることから、プロスポーツにおけるスポンサーの重要性が分かる。