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2018年バロンドールはモドリッチの手に、二強時代の終焉と新時代の予感

2018 12/5 07:00橘ナオヤ
ルカ・モドリッチ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2018年のバロンドールは文句なしにモドリッチ

1年で最も優れた選手に贈られるバロンドールの授賞式が、現地時間12月3日に行われた。トップ10の選手が順に呼ばれ最後に残ったのは、ポルトガル人とクロアチア人、そして2人のフランス人の4人。栄光のトロフィーにキスをしたのは、レアル・マドリーのクロアチア代表MFルカ・モドリッチだった。これで、ついに二強時代が終わった。

トップ10の面々は次の通り。

2018年度バロンドールランキングTOP10,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

事前予想でもモドリッチが最有力だった。次点にはFIFA“ザ・ベスト”(年間最優秀男子選手賞)で、モドリッチとともに最終候補となったサラーとロナウドが有力視されており、ワールドカップロシア大会優勝国であるフランスのヴァラン、グリーズマン、ムバッペらも候補とされていた。結果、その全員がトップ10入りに。また同大会で、ベスト4に入ったベルギーとイングランドからも選出された。

優勝国の選手が受賞しなかったことは議論の対象になるだろう。だが、顔ぶれについては、10人中7人がW杯ベスト4の代表なので順当だと言える。

今年はまさに彼の年、ルカ・モドリッチ

キャプテンとして母国クロアチアを史上初のW杯決勝に導き、所属するレアル・マドリーで前人未到のCL3連覇の原動力として活躍したことが評価されたルカ・モドリッチ。個人レベルでもW杯大会MVP、FIFA“ザ・ベスト”、UEFA最優秀選手賞など個人賞も複数受賞しており、彼のバロンドール受賞に疑問を呈するものはいないはず。まさに今年は彼の年となった。

得点の起点ともいえる優れたパスセンスを持っており、マドリーではギャレス・ベイルやロナウド、代表ではマリオ・マンジュキッチといったストライカー達に、針の穴を通すような正確なパスを供給してきた。

また、小柄ながら抜群のスタミナを誇り、マーキングやプレス、パスカットなど守備能力も高く、チームには攻守両面で欠かせない存在。33歳とベテランながら、モドリッチの輝きは色あせるどころか年々力強さを増している。

6度目受賞はならず、クリスティアーノ・ロナウド

3年連続受賞、そして受賞数で並ぶメッシを追い越す6度目の戴冠を望んでいたロナウド。前所属のマドリーでは、モドリッチ同様にCL3連覇に貢献し、大会15得点で得点王にも輝いている。3連覇への貢献度でいえばロナウドのほうが印象的ともいえ、十分バロンドールに値する活躍だ。

W杯ではキャプテンとしてポルトガルを牽引し、グループステージでスペイン相手にハットトリックを決めた。しかし、ベスト16でウルグアイに敗れ敗退。それでも欧州レベルでの活躍を根拠に自信を覗かせていただけに、今回受賞を逃したことはショックだろう。

2月に33歳を迎える今シーズンは、既に新天地ユヴェントスで大活躍している。このパフォーマンスを通年で披露し続けられれば、来年の受賞も不可能ではないだろう。

優勝国のエースが3位に、アントワーヌ・グリエーズマン

W杯優勝国フランスのエース。同大会では3試合でマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)になるなど活躍し、ブロンズボール賞、4ゴール2アシストの成績でシルバーブーツ賞に輝いている。また、アトレティコ・マドリーでもエースとして君臨しヨーロッパリーグ(EL)優勝に貢献しているが、バロンドールには届かなかった。

以前、「ワールドカップ優勝国の選手が受賞しなかったら恥ずべきことだ」と語っていたが、それが事実となってしまった。確かに、2010年(メッシ)、2014年(ロナウド)に続き、ワールドカップイヤー3回連続でW杯優勝国からバロンドーラーが出なかったことは議論になりそうだ。

次期スーパースター、キリアン・ムバッペ

18歳ながらパリ・サンジェルマンで国内リーグ13得点、チャンピオンズリーグでも4得点を決め、10代のうちに同大会通算10得点を記録。また、ヴァランやグリーズマン同様にW杯の優勝メンバーで、同大会の最優秀若手選手賞にも選ばれた。そして、“王様”ペレ以来2人目というW杯決勝戦で2得点を決めたティーンエイジャーとして、素晴らしい記録も刻んだ。

間違いなくバロンドーラーになれる逸材だが、今年No.1の活躍を見せたかというとそうとも言えない。そして何より若すぎた可能性もある。それでも昨年は18歳で7位、今年は19歳で4位に入ったのだから、恐るべき逸材。

なお、トップ10発表に先立ち受賞者が明らかになった新設の賞である“コパ賞”は、ムバッペが手にした。同賞は21歳以下の選手に与えられる、いわば「ヤング・バロンドール」だ。堂安律(フローニンゲン)も最終候補の10人に入っていたが、クラブ内や代表としてのムバッペの活躍を見れば当然の受賞結果といえる。

モドリッチの受賞で二強時代が終焉し、新説のコパ賞を受賞したムバッペが本命のバロンドールでも4位にランクイン。新時代を予感させるバロンドール授賞式となった。