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新時代のエル・クラシコの予感、バルサとレアル・マドリーが激突

2018 10/25 11:00Takuya Nagata
バルセロナFC,レアル・マドリード,エル・クラシコⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

メッシとロナウド不在の対戦は11年ぶり

スペインサッカー伝統の一戦「エル・クラシコ」が10月28日、バルセロナのホームで行われる。エースのリオネル・メッシが右腕を骨折し欠場することが決まっている一方、レアル・マドリ―も、長らくエースを務めたクリスチアーノ・ロナウドがユベントスに移籍し不在だ。この二大役者がいない対戦は、実に2007-08シーズン以来、実に11年ぶりのこととなる。

メッシが欠場したエル・クラシコは2試合で1分1敗と、バルサはメッシ不在でレアルに勝ったことがない。対照的にメッシの出場したエル・クラシコは、バルセロナが17勝9分12敗で勝ち越しており、メッシ自身も2回のハットトリックを含む26得点を決めている。バルサはメッシがいるとエル・クラシコで強いが、不在だとそうではないということになる。

エル・クラシコ以外の試合についても、メッシが負傷欠場した試合のデータをみると、80試合で48勝17分15敗だ。これを勝点に置き換えて、1シーズンの試合数38で割り出すと、およそ勝点76。例年の優勝チームの目安となる勝点90点台を大きく下回る数値が出る。

メッシ不在はチームの行方に大きく影響を与えており、バルセロナはメッシに破格の年俸を支払ってはいるが、この数字を見ると適正価格と言わざるを得ない。メッシの代役は世界中を見渡してもそう簡単にはおらず、今回バルセロナはチーム全体でメッシの埋め合わせをする構えだ。

バルサのエルネスト・バルベルデ監督は、「メッシが魔法で復活できればよいのだが、間違いなく欠場する。彼なしでの戦い方を見出す必要がある。メッシの役割を一選手に背負わせるわけにはいかない。彼は最高の選手で、うちは彼に依存している。他に何と言うことができるだろうか。」とメッシに依存したチームであることを認めている。

監督の首がかかるレアル・マドリ―

では、今回の対戦はバルセロナに分が悪いのかというと、必ずしもそうとは言いきれない。アウェーに乗り込んでくるレアル・マドリ―だが、現在国内リーグで7位といまいち波に乗り切れない戦いが続いている。

さらに、直近の6試合では欧州チャンピオンズリーグも含め1勝1分4敗と、絶不調という言葉がしっくりくる状況だ。エル・クラシコ直前となる10月23日のチェコのヴィクトリア・プルゼニ戦では、久々の勝利を飾るも明らかに格下な相手に2-1の辛勝。首の皮一枚つながったにすぎず、状況が好転したとは言えない。

今季就任したばかりのフレン・ロペテギ監督は、いつ解任されてもおかしくないとの見方は変わっておらず、後任監督候補には、レアル下部組織のサンチアゴ・ソラーリ氏、元チェルシーのアントニオ・コンテ氏、元アーセナルのアーセン・ベンゲル氏等の名前も挙がっている。

現地メディアによるとフロレンティーノ・ペレス会長は、次も敗れるようなことがあれば監督解任を腹に決めているとも言われている。負けなくともチームのパフォーマンスが悪ければ、厳しい結末が待っていることは想像に難くない。

つまり、今回のエル・クラシコには、レアル・マドリ―の監督の首がかかっており、ふがいない戦いをすれば、本人も周囲も納得の上での解任となるだろう。逆に勝利すれば、一気に上昇気流に乗る可能性もある。

激しい試合になること必至、どんなドラマが生まれるか

単なるナショナルダービーでは片付けられないのがエル・クラシコ。スペイン中央政府と、一方的に独立を宣言したカタルーニャ自治州の代理戦争でもある。そして、この2クラブには各国の代表選手が集い、世界が注目している。

激しい試合になることは間違いないが、二枚看板不在でどんなドラマが生まれるのか。メッシも31歳になっており、近い将来訪れるかもしれない新時代のエル・クラシコを先取りするような試合になるだろう。