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メッシ・ロナウド2強時代を終わらせたモドリッチ バロンドールの行方は

2018 10/3 13:00SPAIA編集部
ルカ・モドリッチ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

メッシ・ロナウド時代を終わらせたモドリッチ

2018年のFIFA(国際サッカー連盟)年間最優秀選手賞、通称“ザ・ベスト”は、レアル・マドリーのクロアチア代表MFルカ・モドリッチが受賞した。

FIFAワールドカップ2018ロシア大会で主将として母国クロアチアを率いて同国史上2度目となる決勝進出。決勝ではフランスに敗れ優勝は逃したものの、獅子奮迅の活躍で大会MVPに。クラブレベルでは、スペインの強豪レアル・マドリー中盤の主力としてプレー。前人未到のUEFAチャンピオンズリーグ3連覇の原動力となった。

モドリッチの受賞に疑問の余地はない。

一方で、この受賞が終止符を打った一時代が存在する。クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシによる覇権争いの時代だ。

メッシとロナウドは2007年から現在に至るまで、どちらが世界最高の選手か競い合い、“ザ・ベスト”とバロンドールを独占し続けた。

FIFA年間最優秀選手賞(2016年から“ザ・ベスト”の通称がつけられた)は各国の代表監督と主将がその年活躍したサッカー選手を3人選び、1位に5ポイント、2位に3ポイント、3位に1ポイント付与し、その合計ポイントで決まる賞だ。

バロンドールは世界のサッカー記者がその年最も活躍したとされる選手に投票する。この2つの賞は2010年から2015年までの6年間は「FIFAバロンドール」として1つの賞になっていたが、2016年以降は再び独立した賞に戻っている。統一されていた時期を含め、2005年以降両賞はメッシかロナウドのどちらかが受賞してきた。

タイトルをもたらすことで築かれたメッシ・ロナウド時代

FIFA年間最優秀選手賞とバロンドールは、個人の活躍に加えて、所属クラブや代表チームの成績が反映される傾向にある。

2006年は元イタリア代表DFのファビオ・カンナバーロ氏が両賞を受賞したが、彼はこの年マドリーの一員としてリーガ優勝、そしてイタリア代表としてW杯優勝を果たしている。

W杯イヤーを見ると2010年、メッシは代表で結果を残せなかったが、クラブレベルではリーグ優勝に加えてリーグとCLで得点王と存在感を発揮した。

メッシは賞の統合を跨いで2009年から4年連続受賞を果たしている。特に2010年のFIFAバロンドールの最終候補3人は、メッシ、シャビ・エルナンデス(現アル・サッド)、アンドレス・イニエスタ(現ヴィッセル神戸)とバルセロナの選手が独占した。メッシが4年連続受賞したこの時期は、最強バルサの全盛期と重なる。

次のW杯イヤーの2014年はW杯ブラジル大会でドイツが優勝したが、マドリーが同都市のライバル、アトレティコ・マドリーを下して史上初のCL10回目の優勝”デシマ(スペイン語で「第10(だいじゅう)」の意)“を達成。

持ち前の得点力でチームを引っ張ったロナウドがFIFAバロンドールを受賞した。2015年以降は両者のうちCL優勝クラブの選手が両賞を獲得。2015年はバルサがリーガとCLを制しメッシが受賞。翌年からはマドリーがCLを連覇しロナウドが受賞した。

2018年、ロナウドは6シーズン連続でCL得点王に輝いたものの、ザ・ベスト”は彼のものにはならなかった。毎年のようにCL得点王だったことでそのインパクトが薄れたわけではないだろうが、代表チームを初のW杯決勝進出に導いたモドリッチの活躍がより印象的だったということだろう。

メッシかロナウドかモドリッチか。バロンドールの行方は

10年にわたりこの2つの賞をメッシとロナウドだけが手にしてきた理由は、突出した得点数をたたき出してきたこと、そしてその得点力で所属クラブに何らかのタイトルをもたらしてきたからだ。

だが“ザ・ベスト“は今年、モドリッチのもとへ渡った。彼らの時代が終わったという声もある。それが事実かどうか知るうえで重要なのがバロンドールの行方だ。

メッシかロナウドかと考えるなら、スペイン国内で活躍したメッシよりCLで活躍したロナウドの方が確率は高い。あえて他の可能性を考えるとすれば、”ザ・ベスト“で最終候補に選ばれたモハメド・サラーはイングランド・プレミアリーグで得点王、CLでも準優勝している。

W杯優勝国フランスからアントワーヌ・グリーズマンやキリアン・ムバッペを推す声もある。得点数ではメッシやロナウドに及ばないが、イングランド代表のハリー・ケインはW杯でベスト4に入り、大会得点王にも輝いた。

マドリー所属のフランス代表DFラファエル・ヴァランは2018年にCL優勝とW杯優勝を果たしたただ一人の男として、スペイン紙『マルカ』が有力候補としてあげている。

多くの候補がいる中、”ザ・ベスト“とバロンドールは近年同じ選手が獲得していることを考えると、やはり今年のバロンドーラーはモドリッチが本命だろう。

2018年W杯グループリーグでメッシのアルゼンチン代表に完勝し、ロナウドなきレアルを束ねる世界最高のMFが、長らく続いた二人の時代を終わらせるのか。