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即戦力を補強したリヴァプールが目指すはタイトルのみ

2018 8/18 13:00SPAIA編集部
,ⒸShutterstock.com
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4人の若き実力者を補強で不安は消えた

2017-18シーズンはプレミアリーグを4位で終え、チャンピオンズリーグで準優勝を果たしたリヴァプール。ユルゲン・クロップが監督に就任して4年目となる18-19シーズンこそは、悲願のタイトル獲得に燃えている。その目的を達成するため、レッズはこの夏4人の選手を獲得した。GKアリソン・ベッカー、MFファビーニョとナビ・ケイタ、そしてFWでもプレーできるジェルダン・シャキリだ。いずれも26歳以下と若く、かつ即戦力として期待できる実力の持ち主たちだ。

アリソン獲得でGK問題は決着

CL決勝でGKカリウスが立て続けに犯したミス。そのダメージはカリウス本人にはもちろん、クラブにとっても大きかった。クロップの肝煎りで獲得した若きドイツ人GKだったが、指揮官自信もこの失態に耐えかねたのか、クラブは夏に大物GKの獲得に動いた。

アリソンは、ブッフォンの後継者候補としてユヴェントスも目をつけていたブラジル代表GKだ。移籍金は6250万ユーロとGK史上最高額だが、アリソンはその額に見合う高い能力を持つ。レッズのGKに最も求められている判断能力、セービングやコーチングなど“キーパーとしての能力”をすべて高いレベルで備えており、その実績は数字にも表れている。

昨シーズンのセリエA37試合でクリーンシートが17試合、失点は28、セーブ数はリーグ最多の109回。ローマでのスクデット争いやCLでの経験はもちろん、この夏にはブラジル代表の守護神としてW杯5試合すべてに出場するなど大舞台にも慣れている。2014年のペペ・レイナ退団以降、懸案となっていたGK問題に終止符を打つ存在として大きな期待が寄せられる。

ジャンに代わるタフなアンカー役ファビーニョ

エムレ・ジャンがクラブを去り、中盤の補強が急務だった。このポジションはレッズの要だ。中央でプレーを組み立てるレッズの攻撃の起点であり、スペースが無い場合は前線へフィードを送る砲台となる。そしてゲーゲンプレスでは前の選手のチェイス、プレスでボールを奪えなかった際には待ち構える砦となる。だが現チームで本職はヘンダーソンだけで、ここ数年ケガが多い彼一人では不安が残る。

そこでクロップはモナコからファビーニョを獲得した。ファビーニョはかつて所属したレアル・マドリーの下部組織でSBとしてプレーする中でスピードと攻撃センスを身に付けた。その後モナコでダブルボランチの一角として起用されたことで、強靭なフィジカルを活かした守備の技術も磨き、中盤の選手として花開いた。

レッズのアンカーという難しい役割を期待されるが、ファビーニョはそれに応えられる選手だ。守備では強靭なフィジカルとボール奪取能力で、攻撃時にはタイミングの良い攻め上がりと長短のパスで、中盤から攻撃を組み立てるレッズの戦術にマッチしている。持ち前のフィジカルを武器にチームを底から支える要になれるだろう。

8番を継ぐ逸材ナビ・ケイタ

ライプツィヒからナビ・ケイタがついにアンフィールドにやってきた。スティーブン・ジェラードの8番を受け継いだこのギニア生まれの小柄なMFの魅力は、無尽蔵のスタミナと戦術眼、そして創造的なプレーだ。

ライプツィヒでは守備的MFとしてプレーし、守備ではボールハンターとして駆け回り、攻撃では抜群のドリブルスキルとパスセンスで相手チームを切り裂いた。レッズではインサイドハーフとしての起用が増えそうだ。ゲームメイクはもちろん、守備とハードワークが要求されるポジションだが、ケイタの能力は完璧に合致する。

早速スタメン出場を果たしたプレミア開幕節のウェストハム戦では、長短織り交ぜたパスに前線の3人とのコンビネーション、連携の取れた守備は、レッズで何シーズンもプレーしてきたかのようだった。まだ24歳と伸びしろも十分。チームの中心的存在になることだろう。

前線どこでもプレー可能なシャキリ

昨シーズンのレッズ最大の不安要素は、前線3人のバックアッパー問題だった。スタリッジは不調で、若きソランケとウッドバーンは経験不足。その結果サラー、マネ、フィルミーノは替えの利かない選手となり、一人でも欠くと大きな戦力ダウンとなった。シャキリはその不安を解消してくれるかもしれない。主戦場は右サイドだが、トップ、ウィング、そしてインサイドハーフもこなせる万能な攻撃的選手だ。抜群のスプリント能力と強靭な肉体、そしてテクニックを兼ね備え、唯一無いものは上背ぐらいのものだ。

華麗なドリブルやパスワーク、サイドからカットインして叩き込むミドルもあわせ持つ。とはいえサラー、マネ、フィルミーノは各ポジションのスペシャリストであり、ポジションを奪うことは簡単ではない。当面はバックアッパーやジョーカーとしての起用が多いだろう。それでもCFを担えるスタリッジの復調と複数ポジションでプレーできるシャキリの加入で、レッズの前線は一気に層が厚くなった。目指すは29年ぶりのプレミアリーグ、そして14シーズンぶりのチャンピオンズリーグ優勝だ。