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マルセロ、モドリッチもすごい マドリー3連覇陰の功労者たち【サッカー欧州CL】

2018 5/31 14:40SPAIA編集部
優勝トロフィーを掲げるマルセロⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

CL史上初の3連覇

5月26日(日本時間27日)、ウクライナの首都キエフで2017-18UEFAチャンピオンズリーグの決勝戦が行われた。クロップ体制下で低迷を脱したリヴァプールと、前人未到の3連覇を目指すレアル・マドリード(マドリー)の一戦は3-1でマドリーが勝利。途中出場したベイルの2得点が試合を決定づけた。

マドリーの史上初の3連覇と、ベイルの活躍に隠れてしまっているが、スコアラーとして名前を読み上げられることのない名脇役も忘れてはいけない。

ベイルのオーバーヘッドを生んだマルセロ

後半立ち上がり10分の間にベンゼマの先制点、リヴァプールのマネが同点弾と2つのゴールが生まれた。そして後半16分、左SBマルセロのクロスに反応した途中出場のベイルが、技ありのオーバーヘッドでネットを揺らした。

このシーンはベイルの個人技が話題をさらったが、マルセロの存在が光ったシーンでもある。

この試合でマドリーの左サイドを相手にしていたのは若干19歳の右SBトレント・アレクサンダー=アーノルドだった。アーノルドはクリスティアーノ・ロナウドをよく抑えていたが、完全に支配することはできなかった。不運にも右ウイングのサラーが早々にピッチを後にしたことも影響し、マルセロを自由にしてしまった。

後半16分のゴールを直前のシーンから追ってみる。
まずトニ・クロースからパスを受けたロナウドが左サイドから中に切れ込む。マークのため複数の選手が引っ張られ、空いたスペースにマルセロがオーバーラップ。中央のカゼミーロからマルセロがフリーでパス受けると、アーノルドとマネが急いで戻るが、マルセロは2人をかわしてスピードのあるクロスを上げる。そしてゴール前で瞬時に反応したベイルがDFの頭上からスーパーシュートを決めた。

マドリーの前線は流動的だが主にロナウドがいる。唯一無二のタレントから目を離すわけにはいかず、相手チームの右SBが主に彼のマークにつくことになる。だが彼のすぐそばにはいつも世界最高クラスのテクニシャンがいる。マドリーと対峙するチームは、高い技術と有り余る運動量で攻めあがるマルセロにも対応が求められるのだ。

中盤でタクトを振るうモドリッチ

結果は3-1となったが、内容を見るとマドリー優勢だったとは言い切れない。リヴァプールがハイプレスをかけ、主導権を握る時間も多かった。流れが変わったのは後半途中からだ。前半でのモハメド・サラーの退場や、予期せぬ形での失点などもあるが、要因の一つに中盤の差がある。

マドリーの中盤は強力なタレント3枚が揃う。ボランチのカゼミーロは攻め上がりがちなマルセロやセルヒオ・ラモスの穴を埋める守備力を持ち、クロースは正確無比なパスを供給する。そしてモドリッチは卓越したプレーセンスでマドリーに有利な試合リズムをもたらす。

3人とも欠かすことができない選手だが、特にモドリッチの存在は重要だ。攻撃面ではトッテナム時代からの盟友であるベイルを含む“BBC”の3人だけでなく、両SBのマルセロ、カルバハルと阿吽の呼吸で連携し、ワンツーのパス交換でリズムを作り出すことができる。

相棒のクロースが正確なパスを武器とするのに対して、モドリッチはパス交換とドリブルで前線へボールを運ぶことができる選手だ。この試合ではクロースとカゼミーロが相手のハイプレスに苦しむなか70本、94%のパス成功率でボールを運び、試合のリズムを引き寄せた。

攻撃だけではない。守備面でも適切なマークやボール奪取が光る。172cmと小柄で細身の選手だが、チェイスやカバーリングでカゼミーロとともに前掛かりになりがちなマドリー守備陣をサポート。決勝では4度のタックルを全て成功させている。

直接的にマドリーの優勝を勝ち取ったのはベイルの2ゴールだが、それを支えた陰の功労者は間違いなくマルセロとモドリッチだ。