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ブラント、イ・スンウ ロシアW杯でブレイクを狙うMFたち

2018 5/19 11:00SPAIA編集部
ユリアン・ブラントⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

期待の2018年、ペレ、マラドーナとは違う世代

サッカーワールドカップ(W杯)でヒーローとなる機会が多いのはFWだ。かつて1958年大会ブレイクしたペレ、1986年大会の主役だったマラドーナもFWの区分に入る。 しかし、2014年ブラジルで行われたW杯ではマリオ・ゲッツェやハメス・ロドリゲスといったMFの選手が大活躍。一躍時の人となった。

約1か月後の6月14日に開幕を控えたロシア大会では、ユリアン・ブラントやイ・スンウらブレイクを狙うMFたちが虎視眈々と機会を狙っている。

強烈なカットイン、ドイツ代表MFユリアン・ブラント

ブレイク候補達は「天才」と呼ばれることが多いが、ドイツ代表のMFユリアン・ブラントは天才中の天才だ。これから10年間にわたってトップを走ることのできる選手だろう。

所属するバイエル04・レヴァークーゼンでは主力を張り、左サイドでプレーすることが多い。ドリブル突破に非凡な才能を見せ、相手を抜き去った後は中央にカットインを狙う。ゴール前での冷静な状況判断、右足から繰り出される強烈なシュートも必見だ。2017-18シーズン、リーグでは34試合に出場し9得点を記録。FWの後ろから飛び出すシャドーストライカーとして非常に優秀な成績を残している。

右サイドでプレーすれば正確なクロスを供給し、味方の攻撃を後押しできる。

ただ、ドイツ代表におけるブラントは、U15年代から着実に出場機会を重ねてきているものの、A代表ではまだまだインパクトに欠ける。このロシアW杯で殻を破ることに期待したい。

メッシ2世、韓国代表MFイ・スンウ

韓国代表のMFイ・スンウは「韓国のメッシ」と称される同国きっての逸材だ。

実際にバルセロナのユースやバルセロナBでスペインの3部リーグ出場経験もある選手で、メッシ2世としての階段を着実に上がってきた。相手の突破をかいくぐり、どんなに不安定な姿勢からでもコースを突いたシュートを放つプレースタイルは、偉大な先輩そのものだろう。

しかし、2017年6月にさらなる成長と出場機会を求めて、イタリアへの移籍を決意。エラス・ヴェローナFCを新天地に選んでいる。2017-18シーズン、リーグでは14試合に出場したものの、1試合をのぞきすべて途中出場。出場機会は限られてはいるものの、トップチームでのチャンスを取りに行った彼の選択は間違いではないだろう。彼の挑戦は始まったばかりだ。

W杯開幕が直前に迫る2018年5月には、韓国サッカー協会が発表した代表候補メンバーに選出。1998年生まれとまだまだ若い彼にとって、W杯という大きな舞台での経験は貴重な財産となる。
前述のユリアン・ブラント擁するドイツとは、グループFで対戦予定だ。お互いに主戦場は左サイドであるため、両サイドの攻防から目が離せない。インパクトのある結果を残せれば世界中のクラブやファンから注目され、残せなければただピッチを去るのみだ。

ビッグクラブ移籍は確実か、フランス代表MFトマ・レマル

W杯での活躍を機にビッグクラブへの移籍を果たす選手は必ず出てくる。冒頭で紹介したハメス・ロドリゲスも、大会終了後に鳴り物入りでレアル・マドリードCFの一員となった。

しかし、フランス代表のMFトマ・レマルは、W杯前からビッグクラブへの移籍が確実視されている。

レマルの移籍は、所属するASモナコがリーグを制した2016-17シーズン終了後に実現するとすでに話題になっていた。しかし、その2017年夏にはキリアン・ムバッペやティエムエ・バカヨコ、ベンジャミン・メンディーといった優勝を支えた主力が続々と退団。戦力の衰えを危惧したフロントはレマルの引き止めに走り、レマルもまたそうした状況を察してか、移籍を強行しなかった。

ただ、その引き止めもW杯終了後には限界を迎える。柔らかなタッチでボールを左右に振ることのできるレマルは、ビッグクラブの引く手数多だ。

タレントの豊富なフランス代表においても、ボールの扱いでは引けを取らない。ムバッペやウスマン・デンベレらと美しくボールを回しながらゴールに迫るシーンは想像に難くない。現時点で10試合3ゴールという記録は、レマルのプレースタイルからすれば十分な出来だ。

このW杯での経験を糧に、より豊富な選択肢を手に入れたい。

ゲームメイクか得点か、変わりつつあるMFの形

現在のサッカー界においては、MFはゲームメイクができるだけでは、物足りなくなってきた。FWの得点を演出しつつも、そのFWを追い越し自らも点を取りにいくことが必要で、今回ご紹介したユリアン・ブラント、イ・スンウ、トマ・レマルはそのどちらの力も秘めている。

当然、どちらか一方の能力がずば抜けていれば称賛されてしかるべきだが、その両方がずば抜けていればその称賛は歴史に残ることになる。

形を変えつつあるMFの活躍が見られること、そしてそれがこの3選手となることを期待したい。