3ゴール完勝!バルセロナVSローマ
FCバルセロナとASローマの一戦は、バルセロナ有利と考える観客が圧倒的に多かった。メッシやスアレスを中心としたバルセロナの攻撃陣は世界最高峰だ。その強さは1stレグの4-1という結果が物語っている。
2ndレグで後に引けないローマは、前へ前へと攻撃的なサッカーを展開。体勢を崩しながらもゴールを押し込んだジェコの1点目や、ジェコが誘ったPKはそれが結実した瞬間だ。ドリブラーであるエル・シャーラウィやDFのマノラスの飛び込みも同じだ。1stレグで惨敗し、挑戦者の位置づけであったローマのサッカーからは「是が非でも」といった熱さが試合を通して感じられた。
エウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督はUSレッチェやUSサッスオーロ・カルチョなど、決してビッグクラブとはいえないクラブを多く指揮してきた。常に挑戦者として采配を振るう中で培ったのが、選手の熱さ、良さを理想的な方向へ導く力なのだ。
バルセロナを完封の上3得点で破ったという事実は選手達の大きな自信となり、準決勝に向けて大きな弾みとなった。クラブのシンボルであるトッティがいなくなった今シーズンのローマを不安視する声もあったが、それはこの試合で綺麗に吹き飛んだ。
紛れもないヒーロー誕生!リヴァプールVSマンチェスター・シティ
プレミアクラブ同士の戦いとなったリヴァプールとマンチェスター・シティの一戦は、プレミアリーグを応援するサポーターにとっては感慨深い試合となったはずだ。長らくCLで成果を出せなかったイングランド勢が準々決勝でぶつかったことの意義は大きい。
そんな試合は、ユルゲン・クロップ監督率いるリヴァプールのゲーゲンプレス。ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるマンチェスター・シティのポゼッションサッカーとハイプレスという戦術と戦術がぶつかる試合になった。しかし、自分達の戦術をより理想的な形で表現できたのはリヴァプールだ。ボールを奪うまでの手数の少なさや、カウンターには鋭さが感じられる。1stレグの勝利は当然の結果だった。
余裕のあるリヴァプールは2ndレグで後ろに引いて守るが、シティ側のゴールコースを消すことに長けていた。グアルディオラが起用するシティ側の選手はいずれも個人技に優れており、それを打開しようとするのだがとことん上手くいかない。クロップのゲーゲンプレスがシティの好機をつぶし続けた。泥臭いプレスのみの守備なのではなく、相手のシュートコースやパスコースを消すことが計算されているのだ。
全体的に見れば戦力差で劣るような相手に対しても、このサッカーであればどこでも通用する。まさにCL向けの戦術であり、クロップの下でリヴァプールは勝負強いクラブへと成長した。準決勝でどんなどんでん返しがあっても、それはもはや驚きではない。
試合をコントロールしたのは!? バイエルンVSセビージャ
ドイツ王者のFCバイエルン・ミュンヘンはセビージャFCと対戦。マンチェスター・ユナイテッドFCを破って勝ち上がったセビージャだったが、それでもバイエルン優勢と見る声は少なくなかった。
しかし、エベル・バネガを中心としたセビージャの流動的な攻撃は絶えずバイエルンのゴールに迫る。守備面ではエスクデロが身体を張り好守備を展開。
ただ、バイエルンの両翼から切り込んでくるロッベンやリベリーの攻撃はもっとインパクトがある。ゴールに繋がらずともスルスルとリズム感のある攻撃を繰り返し、セビージャの守備陣を後退させていく。バイエルンはグアルディオラ、アンチェロッティ時代を経て、こうした攻撃が得意になった。相手を後退させることができれば、中盤やバイタルエリアには広い空白が生じ、そこにボールを回し試合をコントロールすることが可能になるのだ。1stをリードして終えていたこともあり、バイエルンからは余裕が感じられた。
堅実でしたたかなバイエルンのサッカーは準決勝でも通じるサッカーだ。
課題の残る結果に レアル・マドリードVSユヴェントス
レアル・マドリードCFとユヴェントスFCの一戦は、CLでも屈指の好カード。昨シーズンのCLの決勝戦と同じ組み合わせとなった。対戦を重ねる両者は「最強の矛と盾」と称され、注目度の高い試合である。
1stレグを0-3で敗れていたユヴェントスは、逆転を狙うべく序盤から激しい攻撃を展開。マドリードは1stレグの余裕があるためか、守備のゆるさが否めない。ずるずると自陣への侵入を許し、右へ左へと大きく振られる。マンジュキッチのヘディングでの2得点にしても、3点目を呼び込んだマチュイディの駆け込みにしても、隙を突かれたことに端を発する。こうした甘さは各国の強豪を相手にするCLでは致命的となる。
合計スコア4-1で勝利できたのは、1stレグで活躍したクリスティアーノ・ロナウドの得点力のおかげであり、準決勝には課題が残る結果となった。試合終了後にジネディーヌ・ジダン監督の表情に明るさが感じられなかったのは、自身の古巣と戦ったことだけが原因ではないだろう。