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【変わる夏】プレミアリーグの移籍期間短縮化がもたらす功罪

2018 3/1 17:10dai06
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短縮のきっかけは、チームづくりの時間確保

2018-19シーズンより、プレミアリーグは「新シーズンが開幕する週の木曜日午後5時」を移籍の最終締め切り日時とした。この移籍期間の短縮化が目的とするところは、新シーズン開幕時のチームづくりの時間を確保するためだ。

これまでプレミアリーグは8月中旬には開幕していた。これは、同月末まで続く移籍期間の真っただ中である。つまり、8月中旬に新シーズンを担うチームを編成したタイミングでは、まだまだ選手が流出してしまう可能性がある。チーム状況が定まらないまま、約半月戦っていかなければならないのが現状だ。

新シーズンの主力として期待していた選手が移籍期間終了間際に移籍してしまえば、急な調整を余儀なくされる。意図しない状況で新シーズンが本格化していくのだ。このような状況は、主に選手を売る側にまわらなければならない中堅クラブなどの足枷となっていた。

しかし今回の短縮化によって、チームの編成が定まった状況で新シーズンを戦えるようになるだろう。「君は、今日の試合ではうちのクラブにいるけれど、次の試合では敵になっているのではないか?」といった疑いを持つ心配もなくなるはずだ。2017年夏には、FCバルセロナ(以下、バルセロナ)への移籍を望んだフィリペ・コウチーニョがプレシーズンへの帯同を拒否し、最終的にはトランスファー・リクエストを出すに至った。

結果的にこの夏コウチーニョは残留したが、調子を上げきることができないまま半年後にバルセロナへ移籍している。このような事態によって関係がこじれる可能性も少なくなり、選手もクラブもフェアな関係で交渉を行うことができ、チーム状況に平和をもたらすかもしれない。

シーズン終了間際の事前交渉が増える可能性あり

当たり前のことだが、移籍期間に入れば移籍の噂や交渉は自然と増えていき、そのなかから実現する移籍も増えてくる。しかし移籍の交渉そのものは夏の移籍期間よりも前、たとえばシーズン終了間際の3、4、5月頃から水面下で行われている。

移籍期間が短くなることにより、これまで以上に事前交渉が早く行われ、その件数も増えていく可能性がある。夏にチーム編成する時間を確保するために移籍期間の短縮化を行うのだが、今度はシーズン終了間際の移籍騒動が巻き起こる予感がする。

また、シーズン終了間際に成績が傾くと、そのクラブに所属している選手は「早めに交渉を始めて、もっと勝てるクラブに移る準備をしておかなくては」と考えるようになり、シーズン終盤戦に集中できなくなるおそれがある。そういった選手自身の意識の変化だけでなく、そこに近付く他クラブからの関心も増えるようになり、サッカーメディア界隈はとても騒がしくなりそうだ。

シーズン開始時点での安定と、シーズン終了間際の安定でいえば、前者を優先すべきかもしれない。しかし、順位争いが激しいシーズンの場合は、後者が揺らぐことによる影響も考えものだ。

もちろん、こうした騒動を楽しみにしているサポーターの方もいるだろう。成績が傾くクラブを脱出しようと思う選手がいることも、別に特別な話でもない。クラブや監督からすれば冷や汗ものではあるが……。

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