2001年生まれの超新星、ピエトロ・ペッレグリ
2018年1月にASモナコ(以下、モナコ)に加入したピエトロ・ペッレグリ。彼はなんと2001年生まれで、ジェノアCFCに所属していた頃には15歳280日でセリエA史上最年少デビュー、16歳72日目には歴代3位の若さで初得点を記録した。日本でいえば久保建英がJ1でゴールを決めるようなものだろうか。しかも、初ゴールとなった2016-17シーズンのASローマとの一戦では相手選手が後方に迫るなか、倒れ込むような形でGKとの1対1を制してゴールを決めていた。
まだまだ若い彼だが、その身長はすでに196cmとかなりの大柄。初ゴール時同様に恵まれた体躯で相手をいなしながら、ゴールに突進する姿が期待できる。
加入が決まったモナコは、これまでにもキリアン・ムバッペやトマ・レマル、ティエムエ・バカヨコなど多くの逸材の発掘・育成に成功してきた。そんなモナコであれば、ペッレグリをトップクラスの選手にすることが可能だろう。バルセロナやレアル・マドリードのように、リーグやCLを制覇することが至上命題のようなクラブに移籍しなかったのは賢明だ。もちろん、モナコの活躍も近年は顕著で、ペッレグリはクラブの躍進を支えた先達に続くことが期待されている。
イタリアが誇る生粋の点取り屋、アンドレア・ベロッティ
セリエAのトリノFC(以下、トリノ)に所属するのが、アンドレア・ベロッティだ。2017-18シーズン現在セリエCで戦うUCアルビーノレッフェのユース出身で、その後USチッタ・ディ・パレルモ(以下、パレルモ)に移籍。
パレルモのセリエB優勝に貢献し、2015年8月にトリノへと移籍した。同じ街には永遠のライバル、ユヴェントスFC(以下、ユヴェントス)がいるがトリノサポーターにとってはこのベロッティこそがクラブのアイドルであり、打倒ユヴェントスの旗頭でもある。なお、パレルモはそのユヴェントスでエースを担うパウロ・ディバラも輩出しており、優れた彗眼の存在をうかがわせる。
ベロッティは圧倒的なまでの実力を誇り、どんな角度、コースからでもゴールに迫り、試合を決定づけることができる点取り屋だ。2016-17シーズンにはリーグ35試合に出場し、26ゴール7アシストを記録。同シーズンのトリノの得点数71のうちの3分の1以上をベロッティが記録していたことになる。当然、ベロッティの評価はうなぎのぼりで、多くのクラブから注目を寄せられるようになった。
2018年のワールドカップはイタリア代表の出場がないため、ベロッティの代表での活躍もお預けとなる。世界を舞台に活躍すれば、さらなる飛躍も期待できたがこればかりはどうしようもない。しかし、すでに盤石の評価を築いているベロッティであれば、ビッククラブから声がかかるのは時間の問題だろう。後はそれをトリノサポーターが良しとするか、そして彼らを満足させられるだけの移籍金を払えるクラブがどれだけ存在するかだ。
やはりジャマイカは韋駄天の国なのか、レオン・ベイリー
陸上競技ではジャマイカのウサイン・ボルトが伝説的存在となったが、同胞のレオン・ベイリーもサッカー界の伝説的存在となるかもしれない。
2017-18シーズンにKRCヘンクからバイエル・レバークーゼン04(以下、レバークーゼン)に移籍したベイリーは、ボルト同様に優れたスピードとフィジカルを誇る選手だ。相手を置き去りにする韋駄天ぶりと、相手の包囲網を引きちぎるように駆け抜けるそのスタイルは観る者を魅了する。左サイドは彼の独壇場となっており、2017-18シーズンはリーグ19試合出場時点で8ゴール5アシストと十分過ぎる出来だ。1997年生まれの若者とは思えない落ち着きぶりは、多くのクラブが関心を寄せられている。
彼のようにスピードとフィジカルを兼ね備える選手は、特別珍しい存在ではない。しかし、その圧倒的な韋駄天ぶりに加え、ゴール前での落ち着きは20代前半、他選手のそれではない。ブンデスリーガでも強豪のレバークーゼンで経験を積むことは極めてポジティブな要素であり、このまま成長を続けられれば今後10年以上サッカー界のトップに君臨する選手となるだろう。
ドルトムントが保持する至宝、クリスチャン・プリシッチ
蜜月の関係を結んでいたはずのユルゲン・クロップが解任されて以来、BVボルシア09e.v.ドルトムント(以下、ドルトムント)は多くの選手を放出してきた。ヘンリク・ムヒタリアン、オーバメヤン、ウスマン・デンベレなど、いずれもどこのクラブで主力を担う選手だ。ただ、そんな最中でもクリスチャン・プリシッチは保持し続けている。
クロアチアにルーツのあるプリシッチだが、代表は出生したアメリカを選択。イングランドでのサッカー経験を経て、2015年2月にドルトムントへ加入した。加入以来、スタメンで出場し続けるシーズンをまだ送れてはいないが、それでもドルトムントは彼を大切にし続けている。2016-17シーズンには、半数が途中出場ではあるもののリーグ29試合に出場し、3ゴール6アシストを記録。2017-18シーズンはスタメン出場を飾る回数に恵まれるようになり、ここにきて一気に成長を遂げている。
優れたスピードと柔らかなドリブルを武器にするプリシッチは、アメリカ代表ではすでに主力だ。2017年にはA代表で9試合に出場し、6ゴールを4アシストを記録し、同年のアメリカ年間最優秀選手賞を受賞。存在感の大きさをアピールし続けている。アメリカの英雄的存在、クリント・デンプシーとはまた違った魅力を持っており、これからの飛躍にさらなる期待が持てる。