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ダービーマッチを知ろう ドイツ・ブンデスリーガ編

2017 9/13 14:03跳ねる柑橘
サッカー、バイエルン・ミュンヘン、ドルトムント
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ダービー・マッチ:プライドが激突する特別な一戦

「ダービー」と聞くと何を思い浮かべるだろう?イギリスの都市名や競走馬のレース、またチーズの種類にもダービーというものがある。サッカーの世界でのダービーとは、「熱狂」を象徴する言葉だ。本拠地を隣り合わせにするクラブがその地の覇権を争う一戦や、あるいは伝統的なライバルクラブとの決戦、それがダービー・マッチなのだ。

今回ご紹介するのは、観客動員数で世界1位のサッカーリーグであるドイツのブンデスリーガで行われるダービー・マッチだ。これまでに日本人選手が多く挑戦してきたこのリーグには、どのようなダービーがあるのだろう。

勇猛果敢なドイツサッカーはローカルダービーが多い

ドイツサッカーの特徴を一言で言うなら、勇猛果敢ということになる。どんな劣勢に置かれても、決してあきらめないドイツ人の屈強な体躯に宿る強い精神力は「ゲルマン魂」とも形容されることがある。そして高い規律や勤勉さゆえに、戦術理解度が高い選手が多い。ここが日本人と共通しているとも言われており、実際に多くの日本人選手がブンデスリーガで活躍してきた。

そんなブンデスリーガだがダービーという側面で見てみると、同一都市内でのダービーが少ない。どこの都市にも複数のクラブがあり、そこはヨーロッパの他国と共通する。しかし、ある1クラブが強豪で他方が2部リーグ以下の常連であることがほとんどで、スペインのマドリー・ダービーのようなものがブンデスリーガで行われることはほとんどない。その代り、地域内の覇権争いとなるローカルダービーが大いに白熱する。今回はそんなローカルダービーを取り上げる。

ルール・ダービー(ボルシア・ドルトムント対シャルケ04)

【初対戦1925年 通算150試合 ドルトムント51勝 ドロー41 シャルケ58勝】 まずはルール・ダービーだ。ルール工業地帯のゲルゼンキルフェンに本拠地を構えるシャルケ04とドルトムントに本拠地があるボルシア・ドルトムントの一戦だ。日本ではルール・ダービーと呼ばれることが多いが、現地では「レヴィア・ダービー」(レヴィアはドイツ語で「地域」の意味)と呼ばれるほか、コーレンポット・クラシカーとも呼ばれる。国内屈指の両チームの対戦とあって白熱し、その盛り上がりはドイツでも随一だ。

ドルトムントには香川選手、シャルケには内田篤人選手が所属していることもあり、日本人にもなじみの強いチームの対戦である。香川選手とルール・ダービーにはエピソードがある。移籍初年度の2010-11シーズンの第4節のダービーで、「自分が2点取って2-0で勝つよ」と豪語したが、試合結果はその通り2得点。現地サッカー雑誌で最高評価を獲得した。

どちらも歴史のあるクラブであり、初対戦は1925年までさかのぼる。これまでに150試合を戦い、シャルケが58勝、ドルトムント51勝とシャルケが若干リードしている。

ラインダービー(ケルン対ボルシア・メンヒェングラートバッハ)

【初対戦1962年 通算85試合 ケルン27勝 ドロー20 メンヒェングラートバッハ52勝】
(※ライン・ダービーの試合数、勝敗はリーグ戦のみの統計)

ドイツ西部を流れるライン川の川沿いには複数の大都市があり、各都市にクラブの本拠地を構えている。ケルン、レヴァークーゼン、ボルシア・メンヒェングラートバッハ(BMG)など強豪がひしめいている。これらのクラブには日本人選手も所属しているということから、私たちにもなじみが深い。ケルンには、ヨーロッパ初の日本人選手である奥寺康彦さんや槙野智章選手(現浦和レッズ)らが所属したほか、現在は大迫勇也選手が所属している。BMGにも大津祐樹選手(現柏レイソル)が所属していた。

ライン川沿いのクラブの対決を「ラインダービー」と呼ぶが、中でも白熱するのはケルン対BMGの一戦だ。ケルンはブンデスリーガ初代王者であり、BMGは強豪バイエルン・ミュンヘンと2強時代を築くなど、どちらも古豪だ。
そんな両者のライバル関係が決定的なものになったのは、1973年のDFBポカール決勝での試合である。この試合を決定づけたのがBMGのMFギュンター・ネッツァーだ。後半終了間際の91分にピッチに出たネッツァー選手だが、その直後の93分に決勝点を決めたのだ。延長戦にもつれこむ直前で優勝をさらわれたケルンは、この試合でBMGへの敵対心を燃えあがらせた。戦績を見てみると85銭で52勝と、BMGが圧倒している。

ノルト・ダービー(ハンブルガーSV対ブレーメン)

【初対戦1927年 通算152試合 HSV53勝 ドロー42 ブレーメン57勝】
ノルトとは北、つまりノルト・ダービーとはドイツ北部のダービーのことだ。この一戦を戦うのは、ハンブルガーSV(HSV)とヴェルダー・ブレーメンだ。両者とも北部の雄として長らくブンデスリーガを戦っており、北ドイツの覇権を争うライバル関係を築いている。戦績はほぼ五分で、実力は伯仲している。

このダービーを語るうえで欠かせないのが、2008-09シーズンだろう。両者ともDFBポカールとUEFAカップで準決勝まで勝ち上がっており、このことで18日間で4試合もダービーが行われたのである。1戦目となったポカール準決勝は120分を戦い1-1、PK戦でブレーメンが勝利したが、なんとこの試合がダービー初のPK戦であった。
続く2、3試合目はUEFAカップの準決勝で、1stレグはHSVが勝利したが2ndレグでブレーメンが逆転勝利。アウェーゴールさで、ブレーメンが決勝進出を果たした。そして4戦目となったリーグ戦でもブレーメンが勝利。4連続ダービーで負け越したHSVはこのシーズン優勝争いに絡んでいたが、4戦目の敗北が響き優勝争いから脱落することとなった。

デア・クラシカー(バイエルン・ミュンヘン対ボルシア・ドルトムント)

【初対戦1965年 通算111試合 バイエルン51勝 ドロー30 ドルトムント30勝】
ドイツにおける「クラシコ」と言えるのが、バイエルン・ミュンヘン対ボルシア・ドルトムントの一戦だ。ブンデスリーガはバイエルン・ミュンヘンが優勝回数で他を圧倒している現状だが、その牙城を崩しうるライバルが、ボルシア・ドルトムントだ。実はバイエルンのライバルたるクラブは時代と共に変わってきた。70年代はBMG、80年代はHSVがバイエルンとの優勝争いを繰り広げてきた。そして1990年代からは長く続いた低迷期を抜け出したドルトムントの対抗馬としてバイエルンの覇権に挑む構図が続いている。

戦績はバイエルンが圧倒しているが、2010-11シーズン、2011-12シーズンではドルトムントが5連勝。この2シーズンはドルトムントがブンデスリーガ連覇を果たす。特に2011-12シーズンのポカール決勝では5-2でバイエルンを粉砕し、バイエルン一強時代の終焉かと騒がれた。しかしデア・クラシカーとなった2012-13シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝ではバイエルンが優勝。ブンデスリーガ、ポカールでも優勝したバイエルンはクラブ初の3冠を達成。2016-17シーズンまでリーグ5連覇を果たすなど、その強さは陰りを見せる様子はない。

勇猛果敢な戦いぶりをダービーで目撃せよ!

ドイツの主要なダービー・マッチ。ブンデスリーガは観客動員数が世界一のリーグであり、どのクラブでもスタジアムには多くのファンが詰めかける。毎試合盛り上がるのだが、ダービーは別格だ。
デア・クラシカーはリーグの覇権争いだが、ドイツの場合は地域の覇権を争うローカルダービーも大変な盛り上がりを見せる。力の差があっても決して諦めない選手たちと、それを最後まで鼓舞し続ける大勢のサポーター。その熱気あふれるスタジアムの様子も感じながらダービーを楽しんでほしい。

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