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【華麗なるアフロ】緩急のあるブラジル人ドリブラー、ウィリアン

2017 9/13 14:03dada
ウィリアン選手
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華麗なるアフロは世界を相手にする

ウィリアン選手(以下、敬称略)は、1988年8月9日生まれのブラジル人選手。同国の名門SCコリンチャンス・パウリスタ(以下、コリンチャンス)のユースで育ち、2007年には海外へと渡った。

海外初挑戦となるクラブは、ウクライナの名門FCシャフタール・ドネツク(以下、シャフタール)だった。シャフタールにおいては、CLのASローマ戦などで技ありのループシュートを決めるなど、大一番で活躍し、スタメンに定着した。

ウィリアンのトレードマークはボリュームのあるアフロヘアだが、シャフタール時代にはドレッドヘアにしていたこともあるようで、近年のウィリアンとはちょっと違ったイメージかもしれない。

その後、2013年にロシアのFCアンジ・マハチカラ(以下、アンジ・マハチカラ)に移籍し、あのサミュエル・エトオともプレーした。
アンジ・マハチカラはロシア国内でも強豪のクラブだが、ウィリアンが移籍したシーズンに経営が悪化。クラブの縮小を余儀なくされた。
高給取りの選手はいずれも放出され、選手を獲得する際にはごくごく限られた資金内でしか動くことができなくなった。アンジ・マハチカラはこのシーズンで初勝利を挙げるまでに20試合を要し、成績も振るわずに2部リーグへの降格が決定した。

ウィリアンもこの方針転換を受け、英国ロンドンの強豪チェルシーFC(以下、チェルシー)への移籍が決定した。いよいよ世界でトップクラスのリーグでのプレーが始まる。

緩急のある技ありドリブラー!ウィリアンのプレースタイル

ウィリアンは緩急のあるドリブルを得意とし、キャリアを通してピッチの中央やサイドで影響力を発揮してきた。
ボールを持てば急加速し相手陣営を切り崩していく。相手選手との間合いを図ることが得意で、抜けない時にはキュッとブレーキをかけ、1対1の対決に臨む。そこでキックフェイントを入れたり、身体を前へ後ろへと反転させたりすることで、相手選手に綻びをつくらせる。そして綻びを決して見逃すことなく、また一気に加速し抜くことができる。ブラジル人特有の超絶技巧だけに頼るのではなく、多様な崩し方を持っているのがウィリアンなのだ。

また、周囲を見渡せる能力も高いためドリブルを織り交ぜつつのゲームメイク、そして美しく曲がるFKも得意とする。いくつも攻撃のパターンを持つウィリアンは、相手選手のマークを混乱させ味方の攻撃も引き出すことができる、技ありのドリブラーだ。

そのため、攻撃が停滞している時には、ウィリアンにボールが託されることも多い。チェルシーのサイドアタッカーといえば、エデン・アザール選手(以下、敬称略)の名前が挙げられることが多いが、このウィリアンの攻撃にもぜひ注目してもらいたい。

ウィリアンを襲った悲劇と2人に捧げるW

チェルシーに移ってからのウィリアンは、2014-15と2016-17シーズンのリーグタイトル制覇。ブラジル代表への度重なる招集と、順風満帆なキャリアを送っている。モウリーニョ監督、アントニオ・コンテ監督らチェルシーにやってくる名将の下でも信頼を置かれており、スタメンに名を連ねるのは当たり前のことだ。

ただ2016年10月には、不幸が彼を襲った。癌と闘っていた母親の死だ。母親のことが大好きで仕方なかったというウィリアンはひどく落胆し、葬儀に参列すべくブラジルに帰国。チェルシーの戦列を離れた。いつも明るく周囲を和ませるのがウィリアンの個性だが、SNS上で母に捧げた言葉には悲痛なものがあった。
「あなたのことを想っている。永遠にともにあるよ」。彼のこの一文には多くの共感と優しい言葉が届けられた。

ウィリアンの抜けたチェルシーでは、ペドロ・ロドリゲス選手(以下、敬称略)がその穴を埋めた。左右の足を上手く使うことができるペドロは、ウィリアンの分まで懸命にプレーし、皮肉なことにウィリアンからスタメンを奪うほどに活躍した。

8節のレスター・シティFC戦のチェルシーは、ジエゴ・コスタ選手やアザールらがゴールを決め、3-0で勝利。ゴール後の彼らは両手でVサインをつくりゴールを祝した。
おわかりいただけるだろうか。2つのVサインを繋げるとウィリアンの「W」になるのだ。アザールら同僚はウィリアンにエールを送るとともに、彼の母に哀悼の意を示したのがこのサインの意だった。

ウィリアンは、チェルシーのムードメーカーであり、かけがえのない存在だ。彼の母の死は心苦しいことではあるが、この出来事によりウィリアンは、サポーターからも同僚からも、とても愛されていることを示した。

豪華過ぎるチェルシーのサイドアタッカー

チェルシーのサイドアタッカーは非常に豪華だ。ウィリアンにアザール、ペドロ、WBでプレーするヴィクター・モーゼス選手もサイドの高い位置でのプレーが可能だ。

彼らはいずれも優れたドリブルスキルを有し、サイドからカットインする形をとりながらゴールへ近付いていく。カットインすることでマークについていた相手選手は視線のスライドを余儀なくされる。そこに綻びができ他の選手に余裕ができる。その綻びを突き続けるのがチェルシーの攻撃だ。

すでに述べてきたように、ウィリアンもこの動きが得意だ。ドリブラーというとどうしても「個人プレーになるのではないか?」といった懸念がつきまとうのだが、チェルシーのサイドアタッカーにはその心配がない。己の役割と味方との連携を常に考えてプレーができる。

2017-18シーズン開幕戦!最悪の出来のなかに見出した光明

2017-18シーズンの開幕戦、チェルシーは格下のバーンリーFCに2-3で敗れた。補強がままならない上に多くの主力を欠いた試合であったが、それにしても出来がひどかった。キャプテンのギャリー・ケーヒル選手の退場、攻撃のファクターであるセスク選手の退場はあまりにも嘆かわしい。

そんななか、ウィリアンは状況を打開すべく献身的なプレーを見せていた。前線のバチュアイ選手がディフェンスラインを上手く抜け出せないことを悟ると、ゲームメイクだけでなく積極的にドリブル突破を試みた。退場による人数の減少で守備に隙があれば、ウィリアンが前線からプレスをかけにいった。

後半59分には新加入のアルバロ・モラタ選手が出場し、1ゴール1アシストを記録。ウィリアンと同じく前線での果敢なプレーを見せつけ、コミュニティー・シールドの出来を不安視していた声を沈黙させた。チェルシーの新たなエースストライカーとして活躍してくれるだろう。

ウィリアンは大きな悲しみから抜け出し、調子を取り戻しつつある。自慢のアフロヘアとドリブルスキルを発揮し、これからも欧州の大舞台を駆け抜けてくれるだろう。

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