「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【伝統と革新が息をする】セリエAで注目すべき監督に迫る!

2017 8/25 10:07dada
Massimiliano Allegri
このエントリーをはてなブックマークに追加

強過ぎるというマンネリ脱却へ!マッシミリアーノ・アッレグリ

セリエAで圧倒的な強さを誇るのがユヴェントスFC(以下、ユヴェントス)だ。2016-17シーズン終了時には遂にリーグタイトル(スクテッド)の6連覇を達成。CLでも上位に食い込むなど、イタリアのクラブでは圧倒的な強さを誇っている。

そのユヴェントスを2014-15シーズンから率いているのが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督(以下、敬称略)だ。彼は前任のアントニオ・コンテ監督(以下、敬称略)の急遽の退任を受け招聘された。
ライバルクラブであるACミラン(以下、ミラン)からやってきたために、この選択に異議を唱えるサポーターも多かったが、その声は見事な采配によってかき消された。

コンテ譲り、いやイタリアに根付く3バックシステムを巧みに操り、堅い守備と速い攻撃を展開していった。経験豊富なサミ・ケディラ選手、マリオ・マンジュキッチ選手(以下、敬称略)らベテランを軸に据えながら、パウロ・ディバラ選手(以下、敬称略)といった若手も起用した。

しかし、アッレグリはコンテより受け継がれてきた3バックシステムを2017年に入り変化させた。突如として4-2-3-1システムを使い始め、新しい風を吹かせ始めたのだ。
本来はトップの位置に置くべきマンジュキッチをサイドに置いたり、スピードが一番の持ち味であるディバラをトップ下に置いたりと、変化に富む布陣で戦い方の刷新を図っているように思える。

ユヴェントスは国内での名誉と強さに揺るぎはない。この強さにマンネリを感じるくらいだ。
だがその一方で、CLなどの国際的な大舞台では、あと一歩という惜しい結果が続いている。今のユヴェントスに必要なのは、アッレグリが実践しているように戦い方の多様性を育てていくことだろう。海外のクラブと戦っていくには、一辺倒の戦い方ではいけないことは重々承知だ。

アッレグリの挑戦はまだまだ続く。

中田英寿とも同僚だった!エウゼビオ・ディ・フランチェスコ

ASローマ(以下、ローマ)は転換期を迎えている。
2016-17シーズン終了をもって、クラブの生ける伝説であったフランチェスコ・トッティ選手(以下、敬称略)が退団を表明し、一つの時代が終わった。
クラブは常に彼とともにあった。 ピッチでの彼のプレーは素晴らしいが、彼の発言により監督の去就が慌ただしくなることや、采配を巡ってトラブルになることもあった。「トッティ=ローマ」、影響力絶大な彼をそう表現しても間違いではないだろう。

それまでローマを率いていた、ルチアーノ・スパレッティ監督も同じタイミングで退任し、後任には日本の中田英寿氏とも同僚であったクラブOB、エウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督(以下、敬称略)が就任した。
ディ・フランチェスコは、いくつからのクラブで監督をこなしてきたが、極めて流動的でアグレッシブなサッカーを展開していくことで知られる。USサッスオーロ・カルチョを指揮していた頃は、選手たちに激しいプレッシングを求めた。他クラブの大物選手たちを潰すためにFWまでもが守備に参加し、これだけのハードワークをこなすのは、肉体的に厳しいものがある。
事実、ディ・フランチェスコはFW陣を固定することなく、ローテーションを組むような形で起用することが多い。

トッティが去った今、ローマの選手起用のあり方は極めて自由だ。多くの選手がディ・フランチェスコの下で出場機会を与えられ、ブレイクする予感がする。

ヴィンチェンツォ・モンテッラ

2017-18シーズンのミランは、多くの新戦力を確保した。アンドレ・シウバ選手、ハカン・チャルハノール選手、フランク・ケシエ選手、そしてユヴェントスの主軸だったレオナルド・ボヌッチ選手らだ。
中国資本を取り入れたことで金銭的に余裕ができ、スクテッドの獲得に向けて全力を挙げていくものと思われる。

監督はこれまでに幾度となく就任と退任を繰り返してきた。クラブOBであるクラレンス・セードルフ氏、フィリッポ・インザーギ氏までもが、短期間でお役御免となる事態は異常だった。

しかし、そんな悪循環も終わるかもしれない。ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督(以下、敬称略)は、2016-17シーズンの就任以来、限られた戦力を上手く操ってやりくりしてきた。マヌエル・ロカテッリ選手、ジャンルイージ・ドンナルンマ選手といった国内選手の活躍も目立つなか、スピード感のある4-3-3のシステムも機能していた。

会長であったベルルスコーニ氏はこのモンテッラの戦術に苦言を呈したこともあった。
「私にはミランンのプレースタイルへの確信がある。それが我々との30年の間のなかでクラブに成功をもたらしてきた。2トップの下に1人置くことだ。1トップに2人のWGを置くことではない」、このベルルスコーニの言葉は、好調を維持してきたモンテッラには少々手厳しいだろう。

だが、そのベルルスコーニはもういない。ミランはモンテッラ、そして多数の新戦力とともに革新の時を迎えている。

銀行マン「リーグを制覇できなければ辞める」、マウリツィオ・サッリ

SSCナポリ(以下、ナポリ)を率いる、マウリツィオ・サッリ監督(以下、敬称略)は元銀行マンだ。 選手としてプロでの経験はなく、普通の銀行マンとして過ごしつつ1990-91シーズンより小さなクラブの監督業を並行して行うようになる。

しかしその二重生活に思うところがあったのか、2001-02シーズンに率いたイタリアの6部リーグに所属するACサンソヴィーノ指揮時には、銀行に辞表を提出。クラブには「リーグを制覇できなければ、監督業を辞める」と通達。この一大決心が功を奏し、クラブは見事そのシーズンを制覇。サッリも少しずつ名を高めていく。

2012-13シーズンからエンポリFCを率いると、セリエBで優勝や巧みなゾーンディフェンスを駆使し手堅いサッカーを展開した。
この活躍が認められ、遂に2015-16シーズンからイタリアの強豪ナポリを率いることとなった。
ナポリのオーナーであるアウレリオ・デ・ラウレンティス氏は、何かとお騒がせなオーナーで、監督との仲がいつも心配になるところだが、サッリのことを「彼は私と同じでよく本を読んでいる、素晴らしいことだね」とコメントし、関係は至って平和的なようだ。

新天地での挑戦!ルチアーノ・スパレッティ

ローマでトッティとの関係に苦慮したスパレッティは、インテルナツィオナーレ・ミラノ(以下、インテル)の監督して新しい挑戦を始める。
インテルは2017-18シーズンに向けての補強が今ひとつ進まない。ライバルクラブであるミランが凄まじい勢いで補強を進めているため、この状況を危惧するサポーターも少なくない。

スパレッティに求められるのは、限られた戦力でも安定的に順位を引き上げていくことだろう。タイトルを狙うのは、戦力的には正直なところかなり厳しい。それでも選手を上手く操ることのできるスパレッティならある程度の位置につけることは可能なはずだ。

ローマ時代に生み出したゼロトップシステムを起用し、中盤でスペクタクルなサッカーを展開することができるのではないだろうか。