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【2016-17リーガ・エスパニョーラ優勝】レアル・マドリードCFを分析!

2017 8/3 12:07dada
レアル・マドリードCF旗
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これぞマドリード!レジェンドと歩んだ最高のシーズン

2016-17シーズンのレアル・マドリードCF(以下、マドリード)は、最高のシーズンを過ごした。 前シーズン途中から指揮をとるジネディーヌ・ジダン監督(以下、敬称略)が新鮮な気持ちで挑んだシーズンだった。
現有戦力をしっかりと保持しつつ、一つ下のカテゴリーであるレアル・マドリード・カスティージャからマリアーノ・ディアス選手をトップチームへ昇格。アルバロ・モラタ選手やルーカス・バスケス選手ら、控えの選手に一層の厚みをもたらしシーズンへ臨んだ。
シーズン終盤の第33節、未消化の試合を残しつつも宿敵FCバルセロナ(以下、バルセロナ)に敗れ一時は首位を奪われた。あわやという結果が予想されることもあったが、結局はリーグを制し、CLまでも圧倒的な強さで手中に収めた。
CLの連覇は史上初。しかも、その偉業がかつてのレジェンド、ジダンとともに成し遂げられたのだから、サポーターにとっては文句のつけようがない。実に12度目のCL制覇、最高のシーズンだった。

ジダンの編み出したローテーション術とマドリードの美学

このシーズンのジダンはローテーションを組んで戦いを続けた。
マドリードに所属する、実に20人にのぼる選手が、約1000分の時間プレーしていた。エースであるクリスティアーノ・ロナウド選手(以下、敬称略)はこれまで3000分台であることが通常だったが、このシーズンではリーグで約2500分しかプレーしていない。もちろん、これには加齢による衰えを考慮してのこともあるのかもしれないが、ロナウドは絶対で試合に出せば必ずと言って良いほど結果を出す。そのことを彼自身がわかっているし、プレー時間が伸びていないことを本人は快くは思わないはずだ。

だが、そんなロナウドを手懐けられるのもジダンのレジェンドたる所以だろう。ジダンはロナウドをしっかりと休ませながら、ここぞという場面では素晴らしいパフォーマンスを発揮させた。ロナウドはCLの決勝トーナメントでは2試合連続ハットトリックを決め、決勝戦のユヴェントスFC(以下、敬称略)相手にも2得点を挙げる活躍を見せた。
加齢が危惧される選手の扱いは難しいものだ。いくらクオリティが高くとも、そのクオリティを100%で出すことのできる時間は限られる。そのことは選手であったジダン自身がよくわかっているのだろう。

マドリードというクラブは常に勝利を求められる名門だ。負けることは許されないし、出し惜しみして不甲斐ない試合をサポーターに見せるわけにはいかない。
彼はこのマドリードに根付く美学を熟知していた。監督となり古巣に帰って来てからも、この美学を追及すべくローテーションという形で結果を出した。
前任のラファエル・ベニテス監督は、選手とサポーターらの心を掴むことができず短期間で解任されてしまった。彼は自身の解任を、後任のジダン就任の話を聞いて悟ったという話もある。何とも残念な話だ。

この轍をジダンは踏むことはないだろう。サポーターと選手の心も、そしてクラブの美学も彼とともにある。一致団結したマドリードに死角はなくなった。これから続く彼の長期政権の訪れを感じさせるようなシーズンだった。

セルヒオ・ラモスの決定力とキャプテンシー

マドリードでキャプテンを務めるのがセルヒオ・ラモス選手(以下、敬称略)だ。彼はここぞという時に得点を挙げる素晴らしいDFだ。試合終盤のゴール前での彼のヘディングシュートは脅威だ。マドリードでの彼のこの1発が、いくつもの勝利を手繰り寄せている。2016年8月のUEFAスーパーカップのセビージャFC戦でも93分に得点し延長戦に突入した結果、マドリードは勝利を収めている。

2016-17シーズンの彼の得点はなんと10点。自身のベストが2014-15シーズンの7点であるから、この数字は非常に素晴らしいということになる。DFというのは、優れた守備力を持っていれば十分だ。しかし、名門クラブのマドリードに所属するからには、それだけではいけない。ラモスは得点力により、チームの勝利に大きく貢献することができるマルチなDFだ。

守備面ではSB時代からの武器であるスピードと当たりの強さで、相手選手に容赦ないプレスをかけていく。相手選手たちと衝突するような場面があれば、キャプテンとしての悠然とした気迫をもって対峙する。どんな時も彼の後ろ姿には心を動かされる。ついていきたくなる男というのは、彼のように背中で語る男なのだろう。

課題はクラシコの惜敗のみか…

マドリードにおける唯一の悔いは、クラシコでの残念な結果だけかもしれない。12月の第1戦では1-1で引き分け、年が明けて4月の第2戦では2-3での敗北。しかも、ホーム試合だっただけにサポーターの気落ちも大きかった。試合内容もラモスの退場など、後味の悪い試合となった。
試合中に、流血しつつもリオネル・メッシ選手(以下、敬称略)は圧巻のパフォーマンスを披露し続けた。同点ゴールに加え、試合終了間際に決勝ゴールを奪った彼は、マドリードの観客たちに自身のユニフォームを掲げた。スタジアムのサポーターはメッシに怒号を浴びせたが、メッシの姿は堂々としていた。これでもかというほどにユニフォームを見せつけ、勝利を確信していたようだった。
これだからマドリードとバルセロナのクラシコは面白い。ドラマチックな展開が当たり前のように待っている。
マドリードにとって、このシーズンのクラシコは非常に苦いものだった。試合で巻き起こるスペクタクルは、バルセロナのためにあったようなものだ。直後にリーグを制したことが唯一の救いかもしれないが、このままで終わるマドリードではない。必ず次のクラシコでは、勝利を奪うはずだ。そして、メッシがやったなら次はこちらの番で、次はカンプ・ノウでユニフォームを掲げるマドリードの選手が出るかもしれない。

選手層の厚さとマドリードならではの歯がゆさ

前述したように、マドリードは選手層が非常に厚い。特に中盤には、トニ・クロース選手、イスコ選手、カゼミーロ選手、ルカ・モドリッチ選手、マルコ・アセンシオ選手(以下、敬称略)らがひしめき合っている。このシーズンでは冷遇されたが、ハメス・ロドリゲス選手だっている。彼らはいずれも一流の選手だ。

彼らはローテーションを組まれてはいるものの、若きアセンシオにはもっと成長の機会を与えなくてはならないだろう。彼はスペインの至宝とも評される選手で、向こう10年は攻撃のタクトを振れる天才だ。別のクラブであれば、間違いなくシーズンを通してスタメンに名を連ねるだろう。
おそらくこの問題は、ジダンも歯がゆく思っているはずだ。勝利を求められるが故に、選手を育てたり、試したりといった機会は限られる。一瞬の妥協も許されないのだから、いくらクオリティがあっても、若い選手よりは経験のある選手を起用するのは致し方のないことだ。

マドリードはこれからも勝利を求めひた走るだろう。相思相愛のジダンとマドリードが、どんなクラブを作り上げていくのか楽しみでならない。ジダンの起用によって輝くベテランや目覚める若手は、これからも大勢見つかるはずだ。その一瞬一瞬を、私達サッカーファンは見逃すわけにはいかない。

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