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【やはり速い】ジャマイカ発のスピードスター!ラヒーム・スターリング

2017 8/3 12:07dada
ラヒーム・スターリング
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ジャマイカで生まれ英国で育ったラヒーム・スターリング

プレミアリーグのマンチェスター・シティFC(以下、シティ)に所属するラヒーム・スターリング選手(以下、敬称略)は、イングランド代表のスピードスターだ。
彼は、イングランド代表の各U年代の代表でもプレー経験があり、A代表への選出も当たり前になっている。 しかし、彼は1994年にジャマイカの首都のキングストンで生まれ、3年間をこの国で過ごしているため、英国とジャマイカの二重国籍を有しているのだ。
その後10歳でQPRのユースに入り、15歳の時にはリヴァプールFC(以下、リヴァプール)のユースへとステップアップ。
リヴァプールのトップチームでのデビューは17歳と107日の頃だ。それからというものの彼は驚くほどのスピードでスターダムを駆け上がっていく。

ジャマイカ生まれはやはり速い?スピードスター誕生

彼の持ち味はそのスピードの速さにある。 ボールを持ってから彼は一気にトップスピードへ到達し、サイドを駆け上がることができる。
陸上のウサイン・ボルト選手に代表されるように、ジャマイカ生まれのスポーツ選手はどうしてこうも速いのだろうか。 スターリングは身体の反転も上手く、相手選手らの間隙を縫うようなドリブルが持ち味だ。キュッと止まってキュッと加速するような彼のこの動きを読むことは難しい。
スティーブン・ジェラード氏(以下、敬称略)やルイス・スアレス選手(以下、敬称略)らと充実の攻撃陣を形成し、2013-14シーズンは優勝へあと一歩というところまで迫った。
スターリングは国内選手かつリヴァプールの生え抜きということも相まって、クラブのアイドルとしての立ち位置を獲得していくことになる。

シティへの移籍!スターリングに向けられた愛憎

リヴァプールに欠かせない存在となったスターリングだったが、2015-16シーズン開幕を前に事態が急変し始める。
度重なる契約延長のオファーを拒否し、移籍する構えを見せ始めたのだ。彼に対してはジェラードが残留を求めるように働きかけたともされるが、スターリングの遺志は固かった。
このことに対してリヴァプールのサポーターは激怒。移籍先の候補には、シティやチェルシーFC、アーセナルFCなど、同じプレミアリーグのライバルクラブの名前が並び始めた。
スターリングを「金の亡者」「裏切り者だ」とする見方も大きくなり、彼の家族に向けられる目も日に日に厳しくなった。かつて彼に向けられた愛情は一転、憎しみとなって彼へ降りかかった。
結果的にスターリングは、約80億円もの移籍金を置き土産にシティへ旅立った。 後に彼はこの移籍に対して「簡単な決断だった」と語ったが、これもリヴァプールサポーターの半ば呆れに近い反感を買った。
当時のリヴァプールは前年にスアレスが去っていたこともあり、クラブからスター選手がどんどんと抜けていくことにサポーターは耐えられなかったのだろう。よりタイトルが期待できるであろう、シティに移籍するスターリングの気持ちはわからないでもないが、やはりサポーターの気持ちもわからないでもない。
当時、21歳以下で史上最高額となった移籍金の額の大きさが、サポーターにとってのせめてもの救いだったかもしれない。だがそれでも、その移籍金をタイトル獲得には繋げられておらず、リヴァプールにとっては歯痒い時間が続いている。

シティとスターリング、そしてグアルディオラ

シティに移籍したスターリングだったが、プレーの内容は芳しくなく移籍金の額に見合う働きを見せられないまま2015-16シーズンを終えた。このことに対して獲得は失敗だったとするサポーターも日に日に増えていった。
さらに毎年のように多額の資金を投じても、タイトル獲得に近付けるような試合をできない。2013-14シーズンから指揮をとる、マヌエル・ペジェグリーニ監督の立場も次第に危うくなっていく。彼は2016年2月、シーズン中にも関わらず契約満了をもっての退任が決定する。後任にはグアルディオラ監督(以下、敬称略)が決定した。
グアルディオラを監督に据えたことで、シティには優れたブランド力を手に入れた。シティが強豪と呼ばれるようになってからはまだ歴史が浅く、名門と呼ばれるには難があった。サッカー界でも随一の名将とされるグアルディオラがやってきたことは、シティの歴史に新たな1ページを刻んだ。彼の指導を求めてやってくる選手の存在や、新しい戦術によって目覚めるであろう選手の誕生も期待された。
その筆頭がスターリングだった。
彼は2016-17シーズンから好調を見せ始める。低調なプレーに終始していた昨シーズンとは打って変わって、活き活きし始めたのだ。グアルディオラが標榜するポゼッションサッカーに取り組むことに熱心になった。ペナルティエリア内でボールを持っても、無理に突破を試みてボールをロストすることが減った。周囲との連携も上手くなり、ゴールを演出できる選手へと成長を遂げた。
グアルディオラ自身も「サイドから中央へ向かって切り込むことができる。チームメイトとも連携してプレーできる力を持っている。ファンタスティックな選手だね」と絶賛した。
まだ若い彼は、この名将の下で更なる進化を遂げるかもしれない。 グアルディオラの戦術も、この先さらに浸透していくはずで、他の選手達との相乗効果による好調も見られるのではないだろうか。

タイトルの可能性と絶対の存在ではなくなったルーニーの後継

イングランド代表は、長い間若手選手が不作と言われてきたが、その流れはもう少しで変わるかもしれない。
スターリングやエリック・ダイアー選手、デレ・アリ選手といった、プレミアリーグの最前線で活躍するトップクラスの選手が生まれているからだ。
さらに2017年の夏に開催された、U20のW杯ではイングランド代表が優勝している。決定力とピッチでの展開力や堅守に至るまで、この若きイングランド代表は素晴らしい動きを見せた。
将来的には、彼らがスターリングと相まってプレーするのも年齢的に可能で、そうなればイングランド代表の陣容は恐ろしいほどのクオリティとなるだろう。当然、他国のA代表と戦っても、見劣りせずタイトルを狙える可能性が存分にある。
前述のようにスターリングはグアルディオラの下で、周囲への視野が広がりつつある。粗っぽさの目立っていたパスワークも改善されてきており、彼よりもさらに若い選手達を引き立てる動きもできるのではないだろうか。
奇しくもイングランド代表は、代表を牽引してきたウェイン・ルーニー選手の存在が絶対ではなくなってきている。 この穴にはまる選手が、スターリングであっても良いのではないだろうか。